同人用語の基礎知識

MAG/ 鮪

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日本の草の根コンピュータグラフィック界発展の、最大の功労者です

 「MAG」(マグ) とは、一昔前まで日本の パソコン通信 の世界において、事実上の標準となっていた CG画像 データフォーマットの事です。 当時日本国内ではNECのパーソナルコンピュータ、PC-98 シリーズが圧倒的な シェア を持っていましたが、その98等用の画像フォーマットとして、オンライン (当時はパソコン通信上) を中心に広く利用されていました。

 それ以前に草の根で広まっていた画像データフォーマット、MAKI の発展形として誕生し、正式名称 “MAKIchan Graphic loader” (MAKI02フォーマット/ MAKIchan Graphic loader is not 鮪だ!) の略からこう呼ばれました。 なお 「鮪 (まぐろ)」 とも呼びますが、上記正式名称のアルファベット略語の語呂合わせから発生し、そもそもは1991年に 草の根BBS の、まぐろBBS方面 (旧まきちゃんNET) 上で開発、発表された事に由来しています。

 作者 は 「マルチペイント」 や 200x40 Pixel サイズの バナー の生みの親としても知られる Woody-RINN さん。 ちなみにかの マルチペイント も当初は 「鮪ペイント」 と名づけられていました。

扱いやすさと高性能、無料もしくは安価なソフトで、CGの世界を席巻したMAG

 特徴としては、簡単なアルゴリズムと高圧縮率性、さらにLHA等の二次圧縮によってより小さく出来る通信向きの軽量さがあります (とくにLHAとの相性は抜群でした)。 色は4ビット 16色までしか (後に256色まで拡張) 使えませんが、これは当時の MS-DOS パソコンやモニタの多くが 16色発色であったためで、非常に現実的で実用性にも富んだフォーマットであったと云えるでしょう。

 またこれは結果論ではありますが、16色しか使えない為に、パレットの扱いやドット単位の色づけが非常に簡単で (ただし死ぬほど面倒ですが(笑)、周囲に近似色を使ってジャギ (線のドットからくるギザギザ) を消したり、違う色を組み合わせて別の色に見せたり、またスクリーントーンのように網状にドットを散らせて グラデーション を表現する (タイリング)… 等の、いわゆる ドット絵 のテクニックが発達した点は特筆すべきでしょう。

 当時も高価な Macintosh パソコンや、あるいは一部でコアな ファン に支持された X-68000 パソコン、さらに後に普及した Windows パソコンなどではフルカラーやハイカラーが使えましたが、人によってはむしろ、16色ドット絵の独特の “質感” が良い…と感じさせるだけの魅力がありました。 もちろん、16色で、フルカラーに負けないカラフルな画面を描き上げる達人も大勢いましたしね。

 なお一般にも広く、また爆発的に普及したのは、(株)シーラボさんから安価 (定価14,800円/ 当時の実勢価格、およそ 9,000円〜 10,000円程度) なパッケージソフトウェアとして発売された、「マルチペイント」 の登場からです。

 残念ながら MS-DOS ベースのアプリケーションを今さら使おうとする人も少ないでしょうし、フルカラーが手軽に使える現在、色数を節約しながらちまちまとドット打ちをする手間を惜しまない人もあまりいないでしょう。 「MAG」は、輝かしい足跡と多くの有名グラフィッカーを残して、通信や創作の世界から消えようとしています。

 ありがとう、MAGっっ (;_;)
  ……といった感じでしょうか。

MAGなき後のネット流通画像フォーマットの行方

 ところでこの 「MAG」 と似たような経緯で広まった画像データフォーマットに、お馴染みの GIF があります。 名称は Graphics Interchange Format の略からで、元々アメリカでパソコン通信の CompuServe において開発され画像データの交換用に使われていたものです。 インターネット の普及とともに、2大ブラウザがサポートしたこの 「GIF」は、「JPEG」 と並んで今や世界標準の画像フォーマットになった観がありますね。

 この 「GIF」、1999年になって、使用ソフトに対しロイヤリティを請求しだしたのは有名ですが (^-^;)(後に JPEGも同種の主張を展開)、この期に及んではMAGの復活など望むべくもなく、長らくMAGでCGを描いていた身としては、非常に残念ですね。

 GIFライセンスについてより正確に云うと、GIF画像の処理に米 Unisys が特許を持つデータ圧縮・伸張アルゴリズム (Lempel Ziv Welch (LZW)圧縮)が必要なため、このGIFの処理機能をもつソフトに対し、同社が特許ライセンス契約を求めるとの発表をしたのが発端です。

 アメリカ企業の特許関連だけに、同社に告訴され負けでもしたら、ばく大な慰謝料支払いを求められる可能性があります。 加えて Windows 2000 ではコモンダイアログの中でGIF画像が表示されてしまうため、Windows上で動くソフトの開発者全てが対象になりうる裾野の広さもあり、市井のフリーウェアソフト作者たちに強い懸念が広がっています。

 ちなみにもう1つの世界標準、「JPEG」(Joint Photographic Experts Group の略) も、2002年になって、特許を持つ米企業 Forgent Networks が特許使用のロイヤリティ支払いを求める主張をしています。 画像フォーマットの話からはそれますが、Amazonの悪名高い 1-Click特許 (1999年)や British Telecom のハイパーリンク特許 (2000年) などなど、アメリカ企業の強欲さ、サブマリン特許そのものの手口の汚さにはヘキエキとしますね (^-^;)。

MAGの画像ローダご紹介

 Windows パソコンや、Macintosh で利用可能な、MAGフォーマットの閲覧が出来る画像ローダをご紹介します。 いずれも一般的評価の定まった、人気 定番 ソフトばかりです (《ぱら☆あみ》メンバもみんな使ってます。

【Susie】 (Windows/ フリーウェア)
【GV】 (Windows/ フリーウェア)
【PixelCat】 (Macintosh/ フリーウェア)

 各画像ローダの詳しいご説明は、各ローダ 公式 ページをご覧下さい。 なおこの《ぱら☆あみ》Homepageの “CG作品館” 内でも説明を行っています。 参考にしてみて下さいね〜 (^-^)。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年3月1日)
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