同人用語の基礎知識

500ウォン硬貨

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自販機で散々使われた500円玉に似た何か… 「500ウォン硬貨」

 「500ウォン硬貨」 とは、お隣韓国で使われている法定硬貨のことです。 韓国の中央銀行である韓国銀行が発行し、価値は為替により変動しますが、おおむね日本円で50円程度となります。 数ある外国硬貨の中でもこの硬貨の知名度が飛びぬけて高いのは、日本の法定硬貨である 500円硬貨と材質・大きさが同じで重量もほぼ同じであり、意匠も似ているため、日本国内において自動販売機や店頭などで悪用されることが非常に多かったからです。

 とりわけ1990年代を中心に被害が相次ぎ、金融や自販機関連企業で頻繁に見かけるのはもちろん、一般人 でも自販機のおつりとして出てくる、コンビニなどで誤っておつりとして渡されるなどで、誰でも一度は自分か友人が手にしたものを見たことがあるものかもしれません。

 その後日本では、自販機の500円玉使用を禁止する、投入硬貨の返却方法を入れ替え式ではなく投入した硬貨がそのまま出てくるプール式に改める、500ウォン硬貨を弾くような工夫や改善をするなど対策を行います。 2000年には500円硬貨そのものの仕様を変えるなど抜本的な対策に乗り出し、500ウォン硬貨 (ドリルなどで削って重さを同じにした変造500ウォン硬貨) を使った自販機荒らしは鳴りを潜めます。

 しかしそれと知った上で手渡しでの支払いなどに使おうとする不届き者は残り、例えば コミケ などでは一時期 「500ウォン硬貨に気を付けましょう」 といった注意喚起が サークル の間で盛んにされていたものです。 実際に国内での流通量はかなりのもので悪用された例もあり、イベント を終えた後にしばしば話題となるものでした。

 同人イベント という性格上、一度に大量使用されるケースはほぼありませんし、1枚2枚使われたところで被害額は数百円ですが、「不正に 同人誌 を入手しようとした人がいる」 という事実だけでも不快ですし、そうした人が自分の大切な本をどう扱うか考えただけでも気分が悪くなるものでしょう。

悪質だけれど、あまりに身近で、罪悪感なく使ってしまうケースも

 一般に偽札や偽貨の製造、およびそれを使った場合は極めて重い罪に問われます (無期懲役または3年以上の有期懲役)。 一方この 500ウォン硬貨の場合、「知らない間に財布の中に入っていて間違えて使ってしまった」 などと言い逃れができそうなのが、こうした不正利用に対する心理的ハードルを下げ、いつまでもなくならない理由でもあるのでしょう (知っていて使った場合は窃盗罪 (10年以下の懲役または50万円以下の罰金) や詐欺利得罪 (10年以下の懲役) などに問われる可能性があります)。

 日本は偽札や偽硬貨が世界に比べても極めて少ない国であり、その信頼性から、日常生活において 「このお金は本物か偽物か」 などと意識することはほとんどないといって良いでしょう。 そもそも記念コインならともかく、日常使いする硬貨で額面が500円レベルの高額なものは世界でもあまり例がありません。

 500ウォン硬貨の不正使用はこうした日本の状況に付け込んで悪用したものであり、またその規模の大きさから何らかの犯罪組織の関与も疑われていました。 さらに500ウォン硬貨の発行が日本の 500円硬貨登場のすぐ後で、日本側からの改善の申し入れも拒否していたため、仮に悪用されたところで相手が日本ならどうでもよいといった考えが韓国政府にあったのではないかなど、様々な憶測を生む結果ともなっています。

 なお500ウォン硬貨だけでなく、10ウォン硬貨や100ウォン硬貨も日本の10円硬貨、100円硬貨とおおむね同じようなサイズや重さ、色となっています。 ただしこちらは少額過ぎて金額的に割に合わないためか、あまり不正利用の話はありませんでした。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年4月10日)
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