イエスかノーで答えろっていったじゃん! 「誤った二分法」
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イエスかノーか!! いったいどっちなんですかっ!! (寐津菟かき子) |
「誤った二分法」 あるいは 「虚偽のジレンマ」(嘘のジレンマ) とは、議論における 詭弁 のひとつで、自分たちに都合の良い二択の質問を作って相手にイエスかノーで答えよなどと詰問して誤った回答を誘導したり、その誤った二択内容の質問や訂正を求める相手に 「イエスかノーで答えてください」 と同じ質問を繰り返し、相手が論点をすり替えたように見せかけるものです。
分かりやすい例として、何らかの規約を改正しようと云う議論が行われているとします。 変更したくない側が変更したい側に向かって、「あなたは〇〇の改悪に賛成ですか? 反対ですか?」 みたいな質問をするなどは典型と云えます。 イエスと云えば 「改悪に賛成」 になりますし、ノーと云えば 「変更を否定」 したことになります。 しかし規約を変更したい方は、別に改悪したいわけではなく改正したい訳ですから、「悪」 と云われても困ってしまいます。
あるいは選択肢が3つ以上ある問題で、質問者が都合の良い2つだけを選んで 「どちらにしますか?」 と問うなどもよくあるパターンです。 掲げられた2つ以外の選択肢が望ましいと思う人はどちらも選ぶことができず、こちらも困ってしまうでしょう。
当然、回答を求められた方は回答をする前に 「改悪はおかしい、質問を変えてください」「別の選択肢があるはずですが?」 と当たりの反論や説明を求めることとなりますが、すると今度は 「イエスかノーかで答えるように言ったはずですが聞こえませんでしたか? 答えたら何かまずいことでもあるんですか?」 と、相手が論点をずらして簡単な二択を避ける不誠実な人間、あるいは答えられない何かがあるような印象を周囲に与えてきます。 これでは議論が先に進まなくなってしまいます。
議論の場以外に世論調査の設問で使われたり
こうした姑息な質問の仕方は、議論の場だけでなく、何らかの意図を持ったアンケートや統計調査などでもしばしば行われます。 前述した例で云えば 「憲法改悪に賛成ですか反対ですか」「侵略戦争に賛成ですか反対ですか」 みたいな設問です。 当たり前の話ですが改悪に賛成する人などいないし、今どき積極的に他国に 侵略 を仕掛けようなどと人前で主張する人もいません。 まともな知性があれば設問自体がおかしいとして回答拒否をするでしょう。
この種の議論で おたく に近いところでは、児童ポルノ法 に関するあれこれがあります。 児童ポルノ とは現実の児童が性的被害に遭う様子を撮影した 画像 や 動画 などのことですが、児ポ法の制定や改正を推進する側は、自分たちに都合の良い言葉やレッテルを用いてイエス・ノーの踏み絵を迫ります。 児童ポルノに賛成ですか反対ですかと問われれば反対するしかありませんが、彼らのいう児童ポルノに現実の児童などまったく無関係の創作された マンガ や アニメ の架空の キャラ の描写が含まれていたりします。
誘導的な二択の回答をする前に 「あなたのいう児童ポルノに架空のものは含まれていますか?、もしそうならその部分では逆の立場です」 と答えるのは当然でしょう。 その状況で 「イエスかノーで答えてください」「論点をずらさないでください」 と云われても困ってしまいます。
意見や世論を誘導したい側がアンケートの集計や統計をまとめる際に、質問内容を隠して 「反対が〇%だった」 などと主張するケースもあります。 こうした誘導的な二択はしばしば政治的な団体や大手メディアなどが世論調査と称して行いますが、調査方法と質問の内容が提示されなければどんな数値が出ても判断しようがなく、何の意味もありません。 しかし新聞などが大きく 「反対が〇%」 などと報じれば、その数字だけが独り歩きし、何やら明確なエビデンスと意味のある情報だと判断する 残念 な人もいます。
受け取る側にしっかりした メディア・リテラシー や、少なくとも一度立ち止まって 「それは本当のことなのか?」 と疑う程度の意識は持ちたいものです。 とくに ネット の時代になり、SNS を通じて情報の 拡散 がされやすい現代だからこそ、大切なことでしょう。 それは誤った世論誘導に加担するみたいな大きな話だけではなく、自分の評価を落とさないといった小さな部分でも大切なことです。
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