同人用語の基礎知識

ダブルスタンダード/ ダブスタ

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首尾一貫しない規範・基準、ダブルスタンダード

 「ダブルスタンダード」(Double Standard) とは、物事の判断基準に一貫性がなく、その時々で都合よく基準・規範が変わってしまう考え方や、そうした傾向を持つ人・団体などを批判する意味の言葉です。 略して 「ダブスタ」、日本語では 「二重規範」「二重基準」 とも呼びます。

 例えばAとB、2つの人間や団体があったとして、そのどちらもが同じ条件下で同じことをしているのに、片方は批判し片方は称賛する。 あるいは、自分も同じことをしているのに、相手がそれをすると批判する。 自分の都合だけで一方は 叩く のにもう一方は スルー (無視) するような状況、つまりは対象によって矛盾した言動、恣意的に変化する意見がそれに当たります。

 こういった状況は、好き嫌いの感情を元とした 「えこひいき」 などが端的な例として挙げられます。 誰だって自分が好きな人や団体が起こした問題は大目に見たり軽く受け取る一方、嫌いなそれが起こした問題は、より厳しく、より強く批判したくなるものです。 また感情的な好き嫌い、偏見や先入観、思い込みだけでなく、ドロドロとした利害関係や硬直した 党派性 によってそれが生じる場合もあるでしょう。

公正中立をうたったり、正義の味方を気取る人たちのダブスタ

 こうした 「好みによって見方が変わる」 というのは、誰だって多かれ少なかれ持っているものでしょうし、感情や利害関係に目が眩み、ダブスタに気づかずにダブスタの言論を繰り返す人もいる一方、ちゃんとそれに気づいて自分の言動を律する意識の高い人や団体もあります。 また個人が自分の好き嫌いで個人的な発言をするのは、やむを得ない部分もあります。

 しかし一方で、不偏不党・公正中立であるべき公的機関、ジャーナリストや評論家、学者、テレビ・新聞などのマスメディア、あるいは平等・普遍的な価値や権利、正論を追求しているはずの人権団体や平和団体、環境 保護団体などが行うダブスタは、単にモラルの問題だけにとどまらず、法的な問題が生じる可能性があったり、自らの主張や運動そのものの正当性を揺るがす 「許されないもの」 ともなるでしょう。

 ネット の世界では、とくにマスコミ関係や人権・平和団体などのダブスタは批判されやすくなっていますが、これはダブスタというよりも、耳障りの良い言葉、誰も反対できない絶対的な価値観 (例えば平和や人権など) を隠れ蓑にした、ポリシーロンダリング、あるいは ポジショントーク 的な狡さ、汚さを感じるからでしょう。

本当に平和や人権のための活動なのか、別の目的があるのではないか…との疑念

 こうした例でよく話題にのぼるのは、「アメリカの核兵器や戦争には強く反対するが、中国のそれらには反対しない」「日本の過去の歴史問題は強く追求するが、それと全く同じ、あるいはより悪質で大規模な中国や韓国、北朝鮮のそれにはだんまり」 などがあります。

 これらは 「核兵器や戦争に反対なのではなく、アメリカに反対しているだけだ」「歴史問題ではなく、日本を叩きたいだけだ」 との疑念が生じますし、そうなのだとしたら、善意の第三者を装って平和や人権などの耳障りの良い言葉、誰も反対できない正論を使わず、「アメリカが嫌い」「日本とは反対の立場だ」 と正直に云うべきでしょう。

 こうしたダブスタ的な主張や政治運動は、その裏に何らかの政治的な意図も感じられ、つっこみやすいことからよく話題になりますが、これはもちろんその逆のパターンもあるわけで (日本やアメリカ、親日国にだけ甘かったり、ダブスタを追求している方にこそダブスタが生じている場合もあります)、しばしば相手の揚げ足取りだけに終始したり、議論が 詭弁 の応酬となっている場合もあります。

必ずしも批判されるだけではない、ダブルスタンダード

 こうした一貫性のない矛盾した主張は批判の対象になりがちですが、全く同じ条件の元で全く同じ行動を本当にしているのかとの判定は、厳密に行う必要があるでしょう。

 例えば人を殴るのはよくないことですが、片方が自分から先に手を出していて、もう片方は相手の暴力に対応する手段として出されていたのなら、批判や評価はおのずと異なったものになるでしょう。 「人を殴るのは悪」 という基準でみたらどちらも同じ悪ですが、「自分を守るための反撃はやむを得ない」 という基準からみたら、悪いのは前者だけになります。 さらにこれらとは別に、「喧嘩両成敗」 で考えれば、どちらも悪いともなるでしょう。 規範や基準のラインをどこに引くのか、条件をどの程度まで加味するのかによって、見解がわかれるのは当然でしょう。

 また、他人に厳しく自分に甘い人は批判されるでしょうが、他人に優しく自分に厳しい人は、それが矛盾した行動であっても、しばしば称賛の対象となるでしょう。 そもそも人間などは、存在自体が矛盾や欺瞞に満ちてもいるわけで、ダブスタだと批判されているものが、本当に批判されるべきダブスタなのかは難しい問題だと云えます。 生まれてから一度もダブスタやえこひいきをしたことがない人も稀でしょうから、お互い様の話でもあるわけです。

 要するに 「ダブスタ」 を認識していて、つじつまの合わない自己矛盾・自家撞着な主張を自分の都合の良いように繰り返しながら恥じ入ることもない見苦しい振る舞いが、批判の対象となるのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2009年10月6日)
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