同人における重要概念 「愛」 がないとは…
「愛がない」 とは、同人 における全ての原動力、あらゆる創作活動の根幹である 愛 がないという意味です。 別の言い方をすると、「愛以外の動機に基づいて同人活動をしている」 といった言葉となり、例えば 「金儲けのために作品を描いている」 とか、「自分が目立つため、有名になるために作品を利用している」 なんて意味になって、しばしば強い侮蔑的・批判的なニュアンスを持つ言葉となります。 対義語は 愛がある、愛を感じる になります。
同人の世界、とりわけ特定の アニメ や マンガ、ゲーム の作品タイトルやその登場人物、キャラクター を扱った パロディ や 二次創作 では、「愛以外の不純な動機」 で創作活動を行う姿勢を嫌う傾向が一般的に強く、オリジナル な作品ではあまり使われない言葉でしょう。
ただし 「全体的には愛があるけれど、その登場人物の一部だけに愛が感じられない」 なんて意味で 「愛がない」 を使う場合もあります。 キャラヘイト などが代表的ですが、「愛がない」 自体はごく普通の日本語の云いまわしですし、これは使う人によって意味やニュアンスも様々といったところでしょうか。
イナゴサークルの出現や、トレス作画によるマンガの登場
コミケ などで 頒布 される 同人誌 に描かれた既存作品を 元ネタ としたマンガ作品や小説 (SS/ ショートストーリー) の創作) は、元々はその作品のファンがファン活動の延長として創作するケースが多いものでした。 好きな作品や愛するキャラだから創作する、自分の創作物を通じて同じ気持ちのファンとその気持を 共有 したい、と云う訳です。
しかし同人の世界が大きくなり注目を集め、同人誌即売会 に大勢の人が詰めかけるようになると、人気のある 同人サークル の同人誌の 頒布数 は増大し、「商売としても成り立つ」 という規模になります。 また無数の同人サークルが集う中で、サークルや 作家 同士の人気の奪い合い、ライバル心なども芽生えてくるものです。
こうした同人誌頒布数やサークルの人気が、そのサークルや作家の 「実力」「作品の魅力」 だけで成り立つのなら、それはそれで公平な競争とも云えますが、二次創作の同人活動の場合には、しばしば元ネタとなる作品の人気 (それだけファンが多い) がサークルの人気や同人誌頒布数に直接的な影響を与えますし、人気となるアニメやマンガ、ゲーム作品は移ろいますから、「流行りの ジャンル に追従すること」 が、手っ取り早い人気取りには有効となります。
結果、その時々で旬なジャンルを移ろいお金儲けをする イナゴサークル などが増え、自分の好きな作品 (ジャンル) にこだわり一途に創作活動する人にとっては、「愛よりも売り上げやお金が優先するんだ」 との不快感を覚える原因ともなります。
場合によっては人格攻撃に近い 「愛がない」
もちろん、絵が下手だ、ストーリーが稚拙だ、他人の絵をトレスしてるなんて分かりやすい 「攻撃材料」 があればそこを 叩く のでしょうし、単にその時々で自分が好きなものを素直に描いているだけの よろずサークル などの存在もあります。 そうした叩きやすいポイントがない場合や、「良く分からないけどとにかく気に入らない」 などという場合には (売れているサークルへの僻み、嫉妬からくるものもあります)、ほぼ人格攻撃に近い 「愛がない」 が、批判のための言葉としてとても重宝するのでしょう。
実際に 「愛がない」 を批判のために使う人がいますが、それが本気なのか、あるいは ネタ や軽口、冗談なのかによって言葉の意味は変わりますし、単に人気サークルを僻んで、イチャモンをつけているだけのケースもあります。 またそもそも同人における 「愛」 の定義も、人によって異なるのが当然でしょう。 安易に使うとトラブルの元になったり、友達をなくすこともある言葉なので、使いどころに注意すべき難しい言葉のひとつでしょう。
なお、愛が足りない という云い方もあります。 こちらは、「愛がある」 と 「愛がない」 の中間くらいという意味もありますが、使いどころはもっと気楽で、ほとんど別概念の言葉として使う場合もあります。
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