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出禁

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我慢の限界を超えて絶縁宣言 「出禁」

 「出禁」 とは、出入り禁止のこと、問題のある客や取引先に対し、お店や企業、あるいはライブや イベント が開催される 会場 などへの出入りを拒否することです。 単に施設への立ち入りや利用を禁じられるだけでなく、施設に近づくこと、店やイベントに関する特定の人物 (例えばアイドルや店員、コスプレイヤー など) との、店や施設以外の全て、ネット を含むあらゆる場所での接触を同時に禁じる場合もあります。

 通常はその店なりイベントなりの常連客・参加者・ファン のうち、円滑な営業や 運営 を妨げる迷惑行為を行う厄介な人を締め出すために行います。 身近なところでは、ファーストフード店でろくに注文もせずに店内に長時間居座って大騒ぎをしたり、書店や商店で万引きを繰り返すような中高生を対象に、個人、あるいは学校ごと出禁処置としたり、ゲームセンターで他の客に粗暴行為を働く客を出禁にする、パチンコ店で不正行為を働いた人を締め出す、つけ払いが効く飲み屋でつけが溜まり過ぎた客を出禁などは、わりと目にするところです。

 一方で、特定の店員や関係者個人に対し、悪意のあるなしは関係なく、付きまとい (ストーカー行為) や嫌がらせ、トラブル、不快な言動などからその個人を守るために行われることもあります。 これらは出禁前に何らかの警告や注意喚起が行われ、それが守られない場合に最後の手段として出禁が用いられますが、極度に酷い場合、例えば暴言や暴行、盗撮 等の場合は、警告なしの一発出禁や警察沙汰もあり得ます。

 また同じ出禁でも、一定期間を過ぎたら解除される期限付きのものと、二度と解除されない恒久的なものの2つがあり、とくに後者は永久出禁とか恒久出禁と呼ぶこともあります。 期限付きのものの場合、1ヶ月とか1年といった時間が経過すれば自動解除されるものもあれば、スポーツの試合などで次の試合とか5試合だけ出禁といった処分もあります。 あるいは謝罪文や反省文を提出すれば解除とか、運営側が個別に判断するといった形になることもあります。

 なおネットサービスにおいて出禁同等の処分となる利用停止は BAN と呼びます。

厄介・ヤラカシ・裏オリキ…迷惑な参加者への最後通牒

 一発出禁となるような相手ならともかく、それなりの期間にわたってお店なりイベントなりにやってくる客は、「常連」「お得意様」 でもあります。 出禁にすることで今後は客や取引先として関わることはなくなるのですから、ビジネス的観点で云えば大きなマイナスでしょう。

 また何度かの警告を経てもなお出禁にせざるを得ないほどの迷惑・不快行為を繰り返すような人は、常識が通じない、まともな人ではない可能性があります。 出禁によって逆切れしたり、迷惑行為がエスカレートしたり、傷害事件などの刑事犯罪に発展してしまうリスクもあります。

 さらに出禁の理由に公平性や正当性がない場合、SNS が普及した現在、出禁された側の訴えによって出禁処置を行った店や企業、イベント運営側が批判に 晒され たり、ことの顛末が 拡散 されて 炎上 する恐れだってあります。

 それでもなお出禁にせざるを得ない、苦渋の決断をしなくてはならないというのは、それだけ出禁された側に非常識で一線を越えた迷惑や不快行動があったと見る意見が多いかもしれません。 実際、ネット上で話題となった過去の出禁にまつわるあれこれを見ると、「最終的に出禁になったが、よくここまで我慢したな」「他の客のためにも、もっと早く出禁にすべきだった」 みたいな事例が多く、もちろん当事者でなければ本当のところは分からないとしても、「人が集まる場を維持するのは大変なんだな」 と同情したくなることが多いものです。

迷惑行為を繰り返す人やグループは、指名手配状態の場合も

 なお 「先行出禁」 といった 概念 もあり、その場合は初回から有無をいわさず出禁扱いとなります。 その店やイベントに入店・参加するのは初めてだけれど、過去に似たような店やイベントで出禁や警告を受けるようなトラブルを何度も起こしており、ブラックリストのようにその情報が業界や 界隈共有 されているケースです (そもそもお店やイベントの 中の人 が同じこともあります)。 札付きのトラブルメーカーみたいな、ある種の有名人のようになっている人もいますから、予防措置として止むを得ないケースもあります。

 ただしこれはこれで 「何もしてないのに過去の罪で今罰する」 みたいなことになってしまうので、それなりの蓋然性や客観的な理由は必要かもしれません。 例えばイベントで持ち込みが禁止されているもの (極端に明るい改造したペンライトとか) を隠し持っていて持ち込もうとしていたなどは、一般の客なら受付で警告の上で没収するといった対応に留められても、過去にどこかで問題を起こしている人や、ネットなどで持ち込みを宣言しているような人なら、「知らなかった」「使うつもりはなかった」 とは考えられず、その場で出禁とすることもあります。 公平性は大切ですが、この場合は理解できる範疇でしょう。 不法転売されたチケットで入場を試みるなども、初めてならその回の参加ができない程度で済んでも、何度も続けば出禁処置です。

 なお出禁は出入りする前に申し渡されるので、イベントのチケット代などは、払い戻されることが多いでしょう。 ただし会場内で暴れる、騒ぐなどで追い出された上での出禁の場合は、一度は入場しているので 退場 の扱いとなり代金払い戻しはないのが 普通 です (とはいえ穏便に済ませるために手切れ金代わりに返金することもありますし、ケースバイケースです)。 また出禁を言い渡されながら無理やり入ろうとしたり、入ったことを咎められ退去指示に従わず退出を渋る場合は、不法侵入や不退去、あるいは威力業務妨害などの罪に問われることもあります。

たぶん、出禁処置される人は、原因もわからないし悪くないと思ってる

 幸い 筆者 は出禁処置を食らったことはありませんし、友人や周囲にもそこまでぶっ飛んだ人はいません。 ただ接客業やイベントの設営・運営などの仕事を若い頃にアルバイトなどでそこそこやっていたので、出禁処置を食らった人は見たことがありますし、経営者や責任者に命じられてお客さんにそう言い渡したこともあります。 前述した内容を繰り返すことになりますが、こういった云い方をしていいものかとは思うものの、ちょっと普通じゃないような人がやっぱり多かったです。

 とくに若い女性店員やキャストによる接客が中心となるようなお店では、時代を下るごとに女性店員やキャストの 「不快だ」「怖い」 という声をより尊重するようになっています。 迷惑行為やトラブルを起こすなどは論外で、異常な頻度で訪れる、態度が馴れ馴れしいなどでも、最初はやんわりと、後には強めの警告をだすようなことは結構あります。 ストーカーという言葉や概念が広まる前の昔はともかく、現在は ヤバイ 客を放置していると大切な (集めるのに多大なコストがかかる) キャストを失ってしまいますし、相手が多少お金を使ってくれる太客だとしても、あっさり切る判断がされる方が多いかもしれません。

 いくら店員やタレントと客の関係、ビジネスの関係だといっても、そこは人間同士の話ですから、何らかのきっかけで意気投合して個人的に親しくなったり、恋愛感情が生まれたりといったことはあります。 しかしその可能性は非常に低く、仕事として接しているだけなのに客側が勘違いしているだけのケースがほとんどです。 ガチ恋 が生じかねないような色恋営業を積極的に行っている店側の姿勢を問う声もありますが、ほとんど全ての客は、それがファンサービスや営業だと知った上で疑似恋愛を楽しむだけの節度を持って利用しています。

 出禁側が相手との距離感がつかめないだけの善人の場合もあるのでしょうから、一方的に断ち切られる状況に同情の余地がないわけではありませんが、やんわりとした警告でもわからないのなら、せめて出禁処置を食らった段階で身を引くくらいの潔さというか往生際の良さは、最低限持ちたいものです。 それでも諦めきれず、「○○ちゃんは自分の事を親しく思ってくれているのに、店や運営側が無理やり切り離そうとしている」 などと思うようなら、しかるべき医療機関などでカウンセリングを受けるなどするべきでしょう。 それは相手のためだけではなく、間違いを犯して人生を踏み外しかねない自分を守るためでもあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年5月29日)
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