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自己評価が低いのか、単なる処世術か…「自虐」

 「自虐」(じぎゃく) とは、自分で自分のことを虐めて苦しむこと、「自虐ネタ」 とは、自分を必要以上に低く貶めるような表現をすることです。 おたく界隈 や一部の ネット の世界においては、こうした自虐的な言動を行う人が比較的多いとされ、ある種の 「おたくっぽさ」「ネット民 の特徴」「根暗陰キャ な人のやりがちな しぐさ」 のような扱いをされる場合もあります。

 これらの人たちがしばしば自虐表現を行うのには、様々な理由があります。 まず他人に対して威張り散らしたり、見栄を張って自分を大きく見せることにあまり価値を感じていない、むしろ嫌悪を覚えるという点があります。

 これは別の云い方をすると自己評価があまり高くないことにもつながりますが、生まれつきのものとか親の育て方の影響からそういう性格になった…などと短絡的に考えると、問題が見えなくなるでしょう。 もちろんそういったケースもあるのでしょうが、むしろ何かにこだわったり寝食を忘れて極端に没頭する過程で一度は満足感や優越感を覚えつつも、すぐに自分より優れたものに触れ、「上には上がいる」 との謙虚さが過剰に出てしまっているのでは、という感じがします。

 もう一つは、子供の頃などに他者から傷つけられた経験が深く心に刻まれ、「他人に傷つけられる前に自分でその部分を ネタ やギャグとして出してしまう」「つい セルフツッコミ でお茶を濁してしまう」 という防衛的な心の動きから生じる言動もあるのでしょう。 「どうせ私なんて何やってもダメなんです」 という相手に、「その通り、お前は何をやってもダメだ」 と面と向かって云う人はあまりいないでしょう。

 とくに一部の年代の おたく にとって、1980年代から1990年代に吹き荒れた 「おたくバッシング」 は大きなものがあったので、その影響は小さくないかも知れません。 アニメマンガ が好きなだけで罵倒され、世代によっては深刻ないじめ問題などもあり、「自虐でもしないとメンタルが持たない」「まともな学校生活が送れない」 ような人たちもいました。 それはとてもとても、不幸 なことです。

やりすぎると、結果的に自分と同じ属性の人を誹謗する結果にも…

 自虐は処世術としてそれなりに有効ではありますが、こうしたことを繰り返し自分で云うことで、それがどんどん自分の中で積み上がり、自明の前提となり事実となり、負のスパイラルに陥ってしまう場合もあります。 口癖のように 「ダメだ」「キモくてすいません」 のような言葉を使うのは、やめた方がいいかも知れません。

 こうした言葉は、自分自身に強い自信 (よくわからない無根拠のプライドもどきや イキり ではない、揺るぎないしっかりした自信) が持てた時とか、あるいは逆に 「ダメな自分もダメなりにかわいい」 と思えるような心境になった時に、「面倒な人間関係を気楽にするため」 で使うくらいが、程よい使い方なのかなという感じがします。 それらがまだ身についていない若いうちは、自分をもっと大切にしても良いと思います。

 また不特定多数が触れる可能性があるネットなどでの度が過ぎた自虐は、自分と同じ趣味や 萌え属性 を持つ人に対する罵倒や加害行為につながりかねないので、より一層の注意が必要でしょう。 おたくや 腐女子 が自虐のつもりで自分の好きな趣味を 「キモくてすいません 」 などと云うと、それを好きな別の人を傷つけてしまうかも知れません。

 とりわけ2000年代以降の若い人たちの間では、いわゆるおたく的な趣味は当たり前のものとなり、またオタクバッシングも遠い昔のイメージとなっています。 筆者 もわりと自虐的な性格で、そうしたことを文章にしがちなのですが、それをわざわざ若い世代に見せても意味がない、むしろ 害悪 が多いのかなという気がします。 あまりに尊大になってもそれはそれで困りますが、度が過ぎた自虐は、誰のためにもならないのかなとしみじみ思います。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年9月21日)
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