きっちりしつつも適度なゆるさ 「抜け感」
「抜け感」 とは、ファッションにおける着こなしや演出に対するスタイルや考え方の一つです。 一般的な言い回しでは 「さりげない着崩し」「力まずに優しく感じられる 雰囲気 の隙」 みたいな意味になります。 似た言葉に 「こなれ感」 も。 元々はファッション誌などで、アパレル業界などの着こなし方のアイデアを元に、おしゃれで粋な着こなし方のポイントやアクセントの一つとして提唱され広まったものとされています。
例えばある程度フォーマルな場での着こなしには、しっかりした仕立てがされ、かつ手入れも行き届き、さらに着用者の体形や雰囲気にもマッチした上で、厳格なルールやマナー、TPO に則った服選びと着こなし方が求められます。 しかしそれではあまりにかっちりしすぎて堅苦しくなったり、キメキメすぎて親に着せられた七五三の衣装のようになり、逆にダサくなってしまったりもします。
抜け感は、押さえるべきところは押さえつつ、洒落っ気のあるさりげない崩しをワンポイントのように入れてかっちりしすぎ感を押さえます。 無造作感やラフな感じをわざわざ工夫して取り入れるのですね。 とはいえ、あえて崩しているのか崩れてしまったのかは分かりにくく、それを他者にアピールできるかどうかはかなりのセンスが必要なばかりか、「抜け感が分かる人」 が周囲にいないとどうしようもない部分があります。
おしゃれやファッションなど自分がしたいようにすれば良いだけですが、分かる人に囲まれている、あるいはそういう人に友人として選ばれること自体も、かなりハードルが高いものなのかもしれませんね。
イラストなどアートワークにおける抜け感
ファッションの世界で使われる抜け感ですが、アート全般にも似た 概念 や感覚があります。 それは イラスト といった視覚的なものもそうですし、文章といった 字書き でも用いられることがあります。 ビシッと決めながらもどこかにゆるさや遊び心がある、しかもそれが押しつけがましくなく、わざとらしくもなく、しゃれた感じで出せるのは相当な才能です。
またファッション同様、イラストなどは画風やタッチの流行がありますし、それは文章においても同じです。 ちょっと時代が変わると基本そのものが変わってしまい、基本を少しだけアレンジする抜け感も変化します。 いつも抜け感を出せる人は陰で努力や研究をし続けているのでしょうし、筆者 のようなサボり癖のある人間には眩しい才能や性格だったりします。