作者の思想やメッセージ、想いが詰まった 「作品」
「作品」 とは、絵画 などの視覚芸術や文学、音楽、映像、立体造形物、プログラムなどなど、様々な分野で多義的に用いられる 「創造的活動によって生み出された成果物」 を指す言葉です。 歌 (歌唱) や踊り (ダンス)、話芸 (トーク) といった定まった形にならないもの (パフォーマンス芸術)、有体物だけでなくパソコンや ネット を用いた コンテンツ (電子データ/ 無対物) も含みます。 さらには他者が創った作品の批評や 感想 も作品となり得ます。
作品を作った人は 作者 と呼びます。 また作品が優れていれば、傑作や成功作、良作や佳作と呼び、逆にダメな作品は駄作や失敗作となります。
似た言葉に創作物や著作物、制作物、造形物などがあります。 いずれも制作した作者個人、あるいはそれを含む グループ や団体、法人らの創造力を元に、感情や思想、価値観が反映される個々の表現制作物だという点では同じです。 エンタメ のための作品だけでなく、工業製品や道具、食べ物や素材といった 消耗品 など、人が作ったもの全てを含む 概念 となります。
同人 における作品も同様の意味で用いられ、同人として制作された作品は 同人作品、電子化 されたり電子デバイスで制作されたり配布されるものを 電子メディア同人作品や同人ソフト と呼びます。 とくに後者は、1990年代中頃あたりまでは、フロッピーディスク とか CD-ROM による発表が多かったものの、ネットの普及とともに ダウンロード されることで配布したり 頒布 されることから、2000年前後からは DL同人 (ダウンロード同人) と呼ぶことが多いでしょう。
同人における作品
同人作品として創作されるものは作品のそれと同じで、マンガ や 小説、SS、ゲーム、アニメ からフィギュア (ガレージキット)、グッズ、コスプレ まで、あらゆる カテゴリ・ジャンル に及びます。 オリジナル か 二次創作 なのかも問いません。 パフォーマンス芸術は作品としてははなはだ刹那的で リアルタイム・現場 での視聴体験を求めるものですが、音声データや映像にすることで、その他の芸術・文芸・立体作品と同様の取り扱いもできるようになります。
これらは作る人の 「好き」 という感情や 性癖 を形にしたり、思想や価値観を元にした社会的・政治的なメッセージを含んだ自己表現であり、また読んだり観たり聴く人に対する感動やインスピレーションや思考を喚起する意図を含んだものです。 商業 の世界では利益のために作られますし、また同人については、とくに他者との感情の 共有 やコミュニケーションの手段やツールとしての機能が期待されている部分もあります。
究極的には人が生み出すもの全てが作品だと云っても良く、そもそも作品とは何か、表現物とは何かを問い直すことそのものが、創作活動やその源である創作力の本質に迫る考え方なのかも知れません。 商業のように 「お金を稼ぐこと」 とか、公開を前提とした他者からの承認を求める自己表現が目的ならば理由はシンプルですが、実際は非営利で、しかも公開などしない自分のためだけの作品作りもあり、どこからその 「作りたい気持ち」「力」 が来るのかは、人間そのものを問うものでもあるのでしょう。
なお 「人そのもの」 を作品として見なす比喩もあります。 例えば著名な芸術家が優秀な弟子を 「私の最高の作品は、彼です」 と述べれば、これ以上ない称賛の意味にもなるでしょう。 人をあえて物 (品) に喩えることで、意味が深まる部分もあります。 一方で、一般人 がたいした手間をかけてもいない料理やちょっとした手作りの小道具・アイテム をことさらに 「作品」 と呼ぶのは、やや尊大で大げさな云い方にも感じられ、そのギャップを狙ったギャグや ネタ として使うこともあります。