イベントは会議室で起きてるんじゃない! 「現場」
「現場」(げんば) とは、物事が実際に起こった場所、何かを実際に行っている場所、最前線といった意味の言葉です。 「現に起こった場所」 であり、一般には 「現場」 と 「現場以外の場所」 との対比として使われますが、場所ではなくその瞬間 (実際に何かが起こったその時、リアルタイム) を指すこともあります。
日常においても、何らかの作業の計画や指示を行う管理部門と、それを実施する場を現場部門 (作業現場) と呼んで区別したり、予想や想像、机上の空論ではないリアルな現実を現場と呼ぶなど、様々な使われ方をします。 中でも建設現場や撮影現場といった 「体を使った仕事」 を指すことが多く、「現場仕事」 と云えば、一般的には肉体労働を伴う仕事を指すことが多いかもしれません。
同じ現場仕事でも IT 関連業務では、出先をオンサイト (on-sight) と呼ぶことが多いでしょう。 ベンダーが社員や技術者を 開発 や保守のために客先へと派遣・出張 させたり 常駐 させるといったサービス提供となり、この形のサービスをオンサイト型と呼ぶ場合もあります (業務内容による)。 逆はオフサイトです。
ライブやコンサート、各種イベント、現場あれこれ
一方、おたく の世界では、主にアイドルや声優といった芸能関係のライブやコンサート、舞台といったリアルな世界で行われる イベント を 「現場」 と呼んだりします。 これは芸能界で実際に歌う、演じるなどの場 (ステージやスタジオ、ロケ地) を現場と呼ぶことに由来します。 また大声で声援する、オタ芸 を打つなど、肉体を使った応援だとの意味もあれば、テレビやラジオ、ネット を通じた楽しみ方や応援の仕方があるため、それとは異なり費用も時間もかかる 「現地へ実際に行く」 という行為に、ファン としていくばくかの自負を込めて呼ぶようになったものとなります。
またサイン会とか握手会、コミケ といった 同人イベント といった話をする時に、非おたくの 一般人 が周囲にいる際は 「現場」 だとカモフラージュとなって気取られずに口に出しやすくなるという利点もあります。 これは居酒屋で公務員などが世間話として仕事の愚痴をこぼす時などに、勤め先の役所を 「うちの会社」、市長や区長を 「うちの社長は」 などと表現してぼかすのと同じでしょう。
ちなみに現場中心のファン活動をしている人は 現場組 と呼び、おたく用語 としての現場や現場組の対義語は、ジャンル や カテゴリ によって異なるケースはあるものの、一般に 在宅組 と呼ばれるケースが多いでしょう。
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」
現場がらみの流行語もあります。 もっともよく知られているのは 「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」 でしょう。 大人気を博したテレビドラマ 「踊る大捜査線」 の劇場版 「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間」(1998年10月31日公開) において、刻一刻と状況が変わりながらも現場に情報を与えず対策会議やズレた命令を下す上層部に対し、主人公 の青島俊作が無線を通じて怒りをあらわにしたセリフであり、劇場版の広告にも使われたため、同作を代表する名セリフの一つとなっています。
またこのフレーズは 「〇〇は□□で起きてるんじゃない! △△で起きてるんだ!」 といったアレンジ可能な使いやすい テンプレート としても流行し、様々な改変版が作られています。