同人用語の基礎知識

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Cosplay/ Costume Play

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筆者は小学校の頃、自作ハカイダーの着ぐるみ着てました… (;_;)

涼宮ハルヒのコスプレの例
涼宮ハルヒのコスプレの例

 「コスプレ」(Cosplay) とは 「コスチュームプレイ」(Costume Play) の略で、マンガアニメゲーム などの キャラ が身につけているのと同じような衣服を制作・着用して、そのキャラになりきる行為のことです。 「コス」 や 「コスプレイ」 といった呼び方もあります。

 コスプレを行う人の事は 「コスプレイヤー」 と呼び、略して 「レイヤー」 と呼ぶこともあります。 また女性のコスプレイヤーは女性レイヤー、男性のそれは男性レイヤーなどとも。 同人作家などのペンネームや通信上の ハンドル 同様、芸名的な名前を持つ人も多く、そうしたものは、コスプレネーム (CN/ コスネーム) などと呼んでいます。

 なおコスプレイヤー個人のオリジナルなコスプレやそのための衣装は オリコス と呼び、それとの対比で既存作品キャラのコスをキャラコスや版権コスと呼ぶこともあります。

コスプレの定義は、突き詰めると結構複雑です

 コスプレの定義の問題とも関連しますが (後述します)、鉄道会社などの制服を身につけるものや、軍装、すなわち軍服を身に着けるのも、現在では広義でコスプレと呼ばれているようです。

 子供ショーや特撮でお馴染みの “着ぐるみ” やロボット物などに似せて作った “張りぼて・かぶりもの” を身につけるのも、かなりきわどいですがコスプレと呼んでいます (造形コスプレ、「ガワコス」「着ぐるみコスプレ」「特撮コスプレ」 とも)。

 また、本来は着ぐるみで表現するようなキャラを、そのまま人間の状態でメーキャップなどで表現する場合は、「擬人化コスプレ」 と呼んだりもします。 またコスプレする事は、コスる とか 「化ける」 とか呼んでいるようです。

 当初は 同人イベント などで、一部の目立ちたがり屋が行う一種の余興のようなものでしたが、おこなう人が増え、またマスコミなどでコスプレがクローズアップされるにつれ、ひとつの自己表現の手段としてこの世界で一般化しました。 1995年頃からは、同人イベントなどとは直接関係のない、コスプレのみを目的としたイベントや集まり (コスパ など)も、人気を集めるようになりました。

コスチュームプレイ、コスプレのルーツと語源は…

 ところで 「コスチュームプレイ (Costume Play)」「コスプレ (Cos-Play)」 の語源、由来ですが、欧米では時代衣装を着て楽しんだり、あるいは時代劇そのものなどを表す言葉として元々存在していた言葉でした。 日本では戦後しばらくしてから舞台演劇用語として、「衣装稽古」 の意味として使われていましたが、これが転じたもの…とする意見が一般的ですね。

 もっとも 「コスチューム」 も 「プレイ」 もずっと以前から、もはやカタカナ日本語となっている言葉でしたし、単純にその2つを組み合わせて作った、いわば和製英語の典型だとも考えられます。 なお、現在日本でいう 「コスプレ」 にあたる趣味や催しは、欧米では長らく 「Masked Party (マスカレードパーティー)」 などと呼んでいましたが (欧米のSF系のイベントでは風物詩ともなっていて、日本のSF大会でも後に登場)、近年では転意し逆輸入した 「Cosplay」 との表現も目立ちます。

コスプレ名称の誕生、そして一般への拡散

 ちなみに 「コスプレ」 なる言葉が現在の意味として登場し、広まって言った時期は、アニメ ファン・特撮ファンなどが衣装を自作、着用するようになってから、実はだいぶ経ってからでした (だいたい 1982年〜1983年頃でしょうか)。 コスプレの第一号は誰なのか…は、今となっては人類のルーツを探すに等しい難しさでしょうね。

 一般的には、コミケの前身にあたるSF系のイベント (日本SF大会の第17回) で、エドガー・ライス・バローズ (Edgar Rice Burroughs) の 「火星の秘密兵器」 の表紙 イラスト の登場人物、もしくは手塚アニメ、「海のトリトン」(1972年4月1日〜1972年9月30日放映/ 全27話/ 朝日放送系列) の扮装をしたのが、いわゆる 「コスプレ」 の第一号とされていますが (火星の秘密基地の扮装をトリトンの衣装と見間違えた)、それ以前にも似たようなことをやっていた人は大勢いたと思います。

 実は 筆者 も、石森章太郎先生の作品 「人造人間キカイダー」(1972年7月8日〜1973年5月5日/ 東映) 本放送中に、敵役のハカイダーの着ぐるみを作って着用していました。 当時人気絶頂だったハカイダー (サブロー) に憧れた、後の版権コスプレと同じ動機と意図を明確に持った 「コスプレ衣装」 でした (小学校の文化祭で着用しようと用意したもの)。 衣装の内容は千葉のおばさんに縫製してもらった背中チャックの一体型全身黒スーツに黒いビニールを全体に貼り付け、豆電球による電飾も 装備、頭にはサラダボール、一部ダンボールも使いましたが (^-^;)、自慢じゃありませんが、小学生 レベル ではけっこう本格的なやつでした。

 またこれは筆者だけの話ではなく、ウルトラマンのウルトラ警備隊あたりのユニフォームを本物ソックリに作って着ている知人もいましたし (当時は裁縫を内職にしてる母親って結構多く、子供服なんかは親が作るって 雰囲気 が結構ありました)、中学・高校や大学の文化祭や体育祭、学園祭の仮装行列で映画やマンガやアニメのキャラに扮するなどは、1960年代はじめには全国でその例を見ることができます。 また地域のお祭りの出し物としての仮装行列のルーツは、もっともっとはるかに古いでしょう。

 年代的には、筆者の世代よりも、もう6〜7年は 「おたく文化」 の本流がさかのぼれますから、学校行事以外で人知れずコスプレを楽しんでいた人って、意外に多かったのかなとか思います。

竹の子族に対抗?して、トミノコ族なんてのもいました…

 そういや、コスプレが仲間内の楽しみから雑誌などメディアに登場するようになった最初は、雑誌の 主催 で原宿で行われたガンダムのイベントでした。 当時はコスプレイヤーとかレイヤーなどと呼ばず、トミノコ族 (ガンダムを作った富野監督のファンの意、コス衣装もガンダム系がメイン) と呼ばれていました。 その頃に一世を風靡していた 「竹の子族」 の向うを張っていた訳ですがw、雑誌「ファンロード」 の 1980年8月の創刊号には、この時の模様が 『出現トミノコ族』 なんて紹介されています…。

 そのしばらく後、「Dr.スランプ アラレちゃん」(1981年4月8日 〜 1986年2月19日/ 鳥山明原作/ 東映動画制作/ フジテレビ系列)ブームが起こるのですが、アラレちゃん風のメガネや髪型、服装を真似るのは 「アラレちゃんファッション」 と呼んでいて、まだコスプレとは呼ばれていませんでした。 ただ作品中にアラレちゃん自身がゴジラの着ぐるみを着用しているようなシーンが何度も登場し、期せずして 「キャラの扮装」 を肯定的に描写していたのは興味深いですね (こういった描写はそのちょっと前の 「マカロニほうれん荘」(少年チャンピオンにて 1977年から 1979年まで連載) などでも、パロディ の一種として頻繁に見かけていましたが)。

 多くのファンが、アラレちゃんのコスチュームだけでなくキャラの言動を真似て 「ほよよ」 なんて口にしていたのも新鮮でした。 結果、アニメキャラの扮装をするのはアニメや特撮ファンを中心に巷でも大いに流行り、それをメインにコーナー 「ていらあ・ふぁんろ〜ど」 なんてのが人気を得たのもこの頃でした。

うる星のラムちゃん登場で一気にコスプレ名称が一般化

 そしてその後、「コスプレ」 名称誕生と 「コスプレ」 の一般認知度を一気に上げる作品が登場します。 高橋留美子先生の 「うる星やつら」(1981年10月14日〜1986年3月19日/ キティ・フィルム制作/ フジテレビ系列)です。

 この作品のヒロイン、ラムちゃんの扮装をして イベント会場 に現れた女性がブレイク、そのお色気のあるショッキングな 「いでたち」 が、雑誌だけでなくテレビなどが群がりこぞって 「コスプレ」 を流行らせたきっかけになったんですね。 まぁ考えてみれば、トリトンの服装やガンダムの服装では 地味 で興味のない人が見てもあまり面白いものではありませんものね。

 ちなみに 「うる星」 放映開始の翌々年となる1983年4月3日開催の 「コミックマーケット23」 では、警察の要請により、扇情的なコスプレは禁止、すなわちコスプレイヤーのコスプレ状態のままでの会場からの外出が禁止となりました。 ラムちゃん (と、それに影響を受けた半裸状態のコスプレ) がいかに短期間で流行り猛烈に存在感を獲得したのか良く分かるエピソードです。

同人世界とエロ業界、「コスプレ」 名称使用はどちらが先なのか…

 ところで良く出る茶飲み話に、「果たして 「コスチュームプレイ」「コスプレ」 なる名称を作り出した (当てはめた) のは、アニメ同人ファンだったのか、それともアダルトビデオやポルノ映画、ピンク映画、性風俗関係の人たちだったのか」、ってのがありますね (^-^;)。 実はいわゆるアダルトビデオが本格的に登場した時期 (ビデオデッキ の本格普及) とコスプレが脚光を浴び始めた時期は、ほぼ同じ時期なんですね。

 この言葉が生まれ、広まった当時の筆者のおぼろげな記憶からいうと、アニメ同人ファンが先で、その後しばらくしてからエロ業界がそれをパクッたような感触があります。 理屈で考えても、それ以前には、少なくともポルノ映画、ピンク映画では、「コスチューム」 などとひとくくりの呼び方はせず、例えば 「看護婦もの」 とか 「女学生もの」 とか 「尼さんもの」 とか、個別にきちんと表していました。

 というか、ポルノ・ピンク映画の画面の中では、あくまで登場人物は実際の 「看護婦さん」 だったり 「女学生」 そのものだという 「設定」 なのですから、仮装・扮装・なりきっている事を表す 「コスチュームプレイ」「コスプレ」 を、わざわざタイトルや ジャンル で謳う必要性が感じられません。

 ついでにいうと、前述した 「うる星」 のラムちゃんのコスプレでメジャーとなったレイヤーさんの中に 「一本木蛮」 さんという、その世界では極めて有名なクリエイターさんがいらっしゃいますが、彼女の活躍をパクッてラムちゃんの格好をしてエッチをする、「六本木ナントカ」 ってAV女優が当時いたのは、「アニメファン発祥、AVパクリ」 の、強力な傍証になるかと思います。

 以下は余談でどうでもいいですけれど、筆者はそのちょっと後に一本木蛮先生と同じ雑誌で何年間かずっとマンガを連載してました。 現在はめっきりご無沙汰となっていますが、作品もご本人も非常に魅力的な方でした。 筆者が パソコン通信 を始めたきっかけをくれた恩人でもあります。

コスプレの大雑把な流れ

 ちょっと脱線しましたが、まとめるとすると、

 1) アニメや特撮のキャラの真似、扮装をする楽しみは昔からあった。
 2) 雑誌などで取り上げられた後、コスプレと云う呼び名がつき、定着した。
 3) アダルトビデオなどで 「コスプレ」 ものが、ブームに。その後、性風俗にも。

 …って感じでしょうか。

 ただ当時はあまり横のつながりがあるようでなかったので情報も少なく、う〜ん、こうだったんだよ、とか断言する勇気は全く持ってありませんけどね 。 ただアダルツ業界の影響がこの手の用語の普及などに大きな影響力を持っているのは間違いなく、例えば18禁アニメ、いわゆるエロアニメなんかは欧米のスラングで HENTAI と呼ぶのですが (後に意味が 拡散)、これなんか完全に、日本のアダルトアニメを ネット で違法配信している業者が乱用していたのがそのまま定着したって感じですし、良い悪いはともかく、それだけ勢いのあるジャンルの人たちなんでしょうね、作り手送り手と受け手全てが。

 そういえば 「コスプレ」 の本格的な 商業 利用に関しては、実は 「同人」 やら おたく やらの世界で行われたのは、エロ系のそれらに比べかなり後でした。 マンガやアニメなどの古書古物の専門店 (「まんだらけ」 など) で店員にコスプレをさせたりと云った付加サービスとしてのコスプレは比較的昔から行われていましたが、現在 秋葉原 などで数多く見かける メイド喫茶、「コスプレカフェ」 なんかは、実は 1999年7月と 12月に期間 限定 でキャラクターショップ 「ゲーマーズ」 スクエア店のイベントスペースに設置された 「Pia キャロレストラン」 が最初でした (その前年に、「東京キャラクターショー1998/ 主催/ ニッポン放送」内にて、イベント出展の形での特設レストラン 「Piaキャロット」 も存在)。

 常設のコスプレを売りにした喫茶店は、上記特設のコスプレメイド喫茶の成功を受けての 2000年2月、「ゲーマーズカフェ」 が最初ですから、イメクラなどいわゆる風俗店などでこの種の店舗が作られるのに比べ、10年以上は遅れていたといえます。 このへんも、アダルト業界コスプレ発祥説の原因になっているのかも知れませんね。

 なおアニメや特撮に限らず、例えば江戸時代の歌舞伎役者を当時の庶民が真似たり、あるいは戦国時代に雑兵が著名戦国武将の真似をしてみたり…と、見てくれで英雄や ヒーロー、ヒロインになりきる行為やパフォーマンスは、実は昔っからありました。 「フィギュア」 と 「根付」「マンガ」 と 「鳥獣人物戯画」 との関係もそうですが、日本発祥のカルチャーの多くが、過去にちゃんとルーツや原型を求められるのは、「さすが日本、歴史のある国よのぉ」…なんて、変な感心をしてしまいます。

コスプレの定義とは…? 仮装・扮装との境界線は…

キャンペーンなどでもコスプレ姿が増加
キャンペーンなどでも
コスプレ姿が増加
ガンダムカフェのコスプレ店員
ガンダムカフェでも
コス店員がお出迎え

 コスプレの定義の問題とも密接な関係があるのですが、コスプレ名称の一般的普及が進むにつれ、現在では衣服で楽しんだり、あるいはそれによってある種の自己表現を行う趣味を広くコスプレとまとめて呼ぶようになってきていますね。

 人によって定義は違うのでしょうが、プレーンな 「おたく用語」「同人用語」 としての 「コスプレ」 からの見地に立った場合、厳密にはいわゆる 「仮装」 と 「コスプレ」 とを一緒にするのは混乱の元であると思われています。

 「仮装」 と 「コスプレ」、あるいは単なる 「奇抜なファッション」 との境界線は難しいのですが、衣服の出典であり着用の動機でもあるキャラクターになりきるタイプ (そのキャラに愛着を持っているからこそ) の同人的コスプレ趣味と、単に衣服のみに着眼した趣味とは、少なくとも行う自分自身の中では、明確に区別した考え方が適当でしょう。

 一方で、例えば ミリタリー ファンが軍服等を着用する、鉄道ファンが鉄道会社のユニフォームを着用する、メイドファンが著名メイド喫茶店のメイド風制服を着用する、などという場合は判断は微妙です。 思い入れがあるから服を着るという点では、同人的コスプレとまったく同じ動機、気分でのことだと思いますので、区別するのも野暮というものでしょう。

 イベント会場でもこうした人たちは多く、現在では広義でコスプレとする考え方が 普通に なってきています。

コスプレと思想信条と趣味の集まり

 ちなみにミリタリーファンの軍服着用についてですが、イベント会場でそれらを身に着けて行動する際には、思想信条を 匂わせ ないのが重要ですね。 本人にその気がなく、単なるネタであっても、極端な軍人口調での会話や集団での示威行為などは、端から見ていわゆる街宣ウヨクな人との区別が付かなくなりますし、何と云っても他のレイヤーさんから極端に嫌われます。 本人にその気がある場合は、コスプレの集まりではなく、政治集会に行くべきでしょう。

 政治的 テーマ だけでなく宗教などもそうですが、こうした思想信条などは、「趣味」 や 「娯楽」 ではないはずです。 趣味や楽しみのために集まっている人たちの輪にそれを装って入り、他人の作品に自分のそうした主張を一方的に混ぜ込んで発表するのは、重大なルール違反で卑劣な振る舞いだとわきまえましょう。

 なお実在軍服のコスと云えば、上記のような 「男性のミリタリーファン」 が 定番 でしたが、後に 「ヘタリア」 の人気などもあり、BL ファンの女性による着用のパターンが2000年代になって増えてくるようになりました。 女性による実在軍服のコスがそれ以前になかったわけではありませんが、非常に目に付くようになったのは、「ヘタリア」 以降かと思います。 この場合には、例えばナチスドイツの軍服のように、政治的に トラブル を招きかねないものもあったりしますので、一部のイベントでは着用を禁止している場合もあります。

コスプレイヤー仁義なき戦い…?

 ところで容姿的に似合わない 「コスプレ」 や女装や男装など 「異性装系」、あるいは極端な フェチ的 な嗜好の出ているもの (本来はこれの意が強い) などは… 「珍装」 とか、「汚装」 などと呼ぶケースもあります。 「コスプレ」 に限らず、同人サークル でも FC でも 共同購入 のためのお買い物サークルでも何でもそうですが、熱心なファンが集まる場所だけに、自分の気に食わない人物に対する 叩き は、容赦がないですね… (^-^;)。

 それ以外にも、古株レイヤーさんの十八番キャラと同じキャラのコスを 新参者 がやっている…すなわちキャラがかぶった、しかも一般的にありふれているキャラならともかく、そのキャラの隠しコス的な限定バージョンコスだったなどという場合は、もうそれだけで場合によっては陰口を叩かれたり、あるいはトラブルになってしまったりもします。

 逆に同じキャラのコスをしていて挨拶とかがなかっただけで、「同じキャラのファン同士なのに冷たい」 なんて云われたり…。 人気レイヤーさんには熱心なファンや、「信者 カメコ」 などと呼ばれる熱狂的なシンパがいたりするので、場合によっては 「もう二度とコスプレなんかするもんか」 みたいな気分にさせられるケースもあるようです。

 どんな世界でもそうですが、「そういう考え方もある世界なんだ」 ってな意識は、持って参加した方が良いと思います。 もちろん、必要以上に萎縮する必要もないんですけど。 「他人に対して寛容になる」 ってのは、こういう世界だと、むしろ自分を守るために有効だったりもしますので、あまりカリカリせず、また変に思い悩まず、気楽に用心深く振舞うようにしたいものです。

細分化してゆくコスプレ事情…

 ちなみに一般的なコスプレと云えば、「衣装を自作して」「自分で着て」「そのキャラになりきる」のが普通ですが、最近では既製品のコスプレ衣装やその中古品を買って着るだけの人や、反対に衣装の自作や型紙の制作のみに熱中している人やサークルなどもいます。 うちコスプレ衣装の自作を中心にしていたサークルによっては、有料で制作縫製の請負を行なっているところもあります (コスチュームの 頒布 って事になりますが、同人誌なんかより単価が高い上に仕上がりの点で客とのトラブルを起こしているケースが多いようですが…)。

コスは専門店などで販売されるものも
コスは専門店などで販売されるものも

 コスチュームのデキ自体がコスプレのデキに大きく作用する上、年々そのクオリティーは上がって行く傾向にありますから、こうした分業化はやむを得ないところなのかも知れません。

 でもやっぱり、キャラになりきる役作りや、また衣装や小物にまで愛着を持って作り上げる “こだわり”は、正統派コスプレイヤーさんなら持っていて欲しいと思いますね (外野の無責任な意見かも知れませんけれど…)。 とくにレンタル衣装でダンパに…なんて ノリ だと、アニメファンだとか同人だとかの匂いが全く感じられませんものねぇ。

 なおコスプレの種類によっては法的に認められていないもの (警察官や自衛官などは、制服や階級章を付けると身分詐称で詐欺罪に当たります) があったり、また同一ジャンル内において、コスプレイヤーさん同士の集まりによる、一種の “派閥” みたいなものの存在もあるようです。 仲のよいレイヤーさん同士で 合わせ を行うのは楽しいものですが、自分勝手でおかしな押し付けをする人もいます。 こうした問題は、コスプレが定着するにつれてマイナス的な意味で表面化する事もままあるようで、ちょっとした配慮や注意は必要になってしまうようですね。

 ところで、第一線を 引退 (?)したコスプレイヤーさんの中には、今度は自分の子供のコスプレに凝る人もいます。 子供が心から喜んで着ているのかどうかは分かりませんが (^-^;)、う〜ん、傍目から見ていて楽しいし可愛いので、これはヨシとしたいですね(笑)。

 なお日本製アニメやマンガ、ゲームの海外ファンによるコスプレも昔からありますが、2000年代になり インターネット が本格的に普及し、さらに 画像 や動画などを 共有 するサービスとか、MySpace や Facebook、Twitter のような国境をまたぐ巨大な SNS が人気になると共に、日本の著名なコスプレイヤーが海外で人気となるケースも生じています。 さらには、日本人コスプレイヤーを真似る、「コスプレのコスプレ」 も海外で生じることになり、独特の進化を遂げてもいます。

楽しむ事と用心する事は両立できます

 肌出し系 とも呼ばれるような半裸状態の女性レイヤーさんのコスプレなどは、会場風紀の問題もあり、イベント存続に直結するかなりシビアなテーマだと云えます。 まぁその問題さえクリアすれば、立派なオトナの女性が行うのであればご本人の分別と責任において行って下さい的な物言いも出来ますが、世の中のことをまだ良く知らない、同人イベントやイベントに集う人の事を良く知らない中学高校生くらいの女性レイヤーさんの怖いもの知らずのコスプレなんかは、観ているとちょっとこちらが心配になってきます。

 コスプレやコス衣装の事も良く知らないのか、あるいは単純に表面的な衣装のかっこよさや可愛らしさだけに目がいっているのか、例えば生足でミニスカートとか、縫製のいい加減な胸元の広く開いたコスチュームでノーブラだとか、あるいはタイツなどを着用しているものの、透け てしまう素材のものであったりなど…。 世の中には、特にイベント会場には、盗撮ローアングラー などなど、アクションカメラ的に (なんぼなんでも古すぎ) セクシーショットを狙っている鬼畜カメラマンだって大勢いる事を忘れてはなりません。 またそうした不心得者を 晒す ための 盗撮の盗撮 も。

 実際、イベント会場などで撮影されたコスプレ盗撮ビデオや DVD などが結構な値段でネットの世界では通販されていたり、コンビニあたりに並んでいる投稿写真誌に掲載されたりしています。 また怪しげなモデルクラブへの勧誘や、一見優しそうなカメラマンから 「一緒にご飯を食べよう」「スタジオでキレイに撮影しよう」 などと妙な誘いを受けたりもします。 頼れる先輩やら師匠やらがいれば良いのですが、友達と連れ立って参加…なんてケースだと、注目を集めたりすると舞い上がって思わぬ失敗をしてしまうかも知れません。

 最悪なのは、八方美人的にまわりの全てのレイヤーやカメラマンに親切にしたがために、その世界では評判の悪いレイヤーやカメラマンに付きまとわれ、結果的にそれらの人たちと 「同類」、あるいは 「身内」 だとまわりから認識されてしまうこと。 こうなると、まともなレイヤーさんやカメラマンさんは近づいてくれなくなってしまったり、自分の知らないところで陰口を叩かれてしまったりします。 せっかくの楽しいコスプレ、イベント参加を、忌むべき思い出の舞台にしなくて済むよう、ちょっと真面目すぎるかな? くらいのノリで望んだほうが良いと思います。

自分の身は自分で守りましょう

 ちなみに筆者にはレイヤーさんやカメラマンさんの知り合いもいますが、女性レイヤーとくに中学高校生くらいの女性レイヤーさんに、しつこく自分の指示するポーズとりを要求するカメラマンさんや、レイヤーさん側からの 「それはできません」 返答にムッとするようなカメラマンさんは 「放置してよし」「逝ってよし」 と思っている方ばかりです (^-^;)。

 妙なカメラマンさんの邪悪な要求に振り回されるレイヤーさん自体にも、「そうやって連中を付け上がらせている」 と、あまり良い印象を持っていない方が多いので、胸を張ってできないことはできないと、きちんと口に出す事が大切です。 そばに面倒見の良い姉さんレイヤーさんなんかがいれば、おかしな撮影をしているカメコを 「ちょっとあんた、何撮ってんの?」 などと叱責し、デジカメやビデオの場合など、「いいから撮ったものを見せなさい、見せられないならこの場でメモリーは没収します」 なんて援護射撃してくれる場合もあります。

 毅然とした態度は、自分の身を守ると共に、何より 「良きコスプレ仲間」「素晴らしい仲間」 を作る、一番の近道だと思います。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年3月11日)
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