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作品の設定やムードをあらわす便利な言葉に… 「世界観」

 「世界観」(せかいかん) とは、人や人の集団、社会などが、「世界はこういうものだ」 と見たり感じたり考えたり、あるいは信じていることを指す言葉です。

 例えば閉ざされた山の中に住んで 一生 を終える人たちは、世界は山だらけで木々やごつごつとした岩でできていると考えるでしょうし、小さな島に住む人たちは、世界は海に囲まれた水と空でできていると思うでしょう。 生活はそれぞれの環境に強く依存しますし、それに沿った歴史や文化、価値観、道徳、思想を育みますから、それぞれで山や海を中心とした体系化された世界のありようが解釈され規定されるでしょう。

 山に住もうが島に住もうが、あるいは1万年前だろうが100年前だろうが現代だろうが、物理的な世界のありように違いはないはずですが、それを解釈する人間によって、同じ世界でも全く違うものに見えているはずです。 こうした違いこそがそれぞれが持つ世界観となります。

どう見えるかではなく、どう構築されたものかをあらわす言葉に

 これは創作物の世界でも同じで、「この作品の世界観が好き」 なら、その作品を通じて見えてくる 「作者の世界観が好きだ」 や 「その世界の住人 (キャラ) が見ているであろう世界観が好きだ」 というのが本来の意味になります。

 これを読者や視聴者らが 「作品や作者の世界観」 と表現するのは言葉としてはやや誤用ではあります (価値観などと同様、意味は通じますが)。 しかし後には拡大し、単に創作物における作中世界の描き方や法則などの 設定、舞台、キャラの造形や考え方、行動、作中で生じる様々な出来事などをまとめた作品全体のムードとか 雰囲気 とか描かれ方全般をあらわす言葉としても使われ、近年ではこちらの使われ方の方が多いかもしれません。

 誤った使われ方をした言葉がむしろ誤った意味で定着するのは おたく用語ネットスラング 以外の一般用語でもままあることでもあるので、そのうちこちらの意味も 「正しい」 とされるようになるかも知れません。 そもそも歴史好きの人たちは、特定作家の思想や価値観、国家観に基づく作品などを 「○○の歴史観」(例えば司馬遼太郎さんの作品世界に流れる歴史観を司馬史観と呼ぶなど) と呼んでいましたし、作者やゲーム・シナリオメーカーの持つ世界観は設定の積み重ねなどによって構築され公にされるので、「設定や作風を世界観などと呼ぶのは誤用だ」 という意見は、ちょっと言いすぎな気もします。

 なお世界観という言葉が作られたのは1790年に哲学者イマヌエル・カントが 「判断力批判」 という著作で用いたもの (Weltanschauung) が最初とされています。 元々は哲学用語でしたが、その後汎用性の高い学術用語として様々なものに当てはめて使われるようになり、さらに俗語化。

 日本で世界観という言葉が創作物に盛んに当てはめられるようになったのは ゲーム (とくに TRPG) やそれに近い場所からだと考えられています。 プレイヤーがゲーム世界の住人・参加者となってその世界の設定やルールの下でどう行動するのかとか、創作シナリオや リプレイ で原作の持つ 雰囲気 をどう活かして発展させるのかと云った部分が言葉のニュアンスとしてマッチしたからとか、単に知的で学術的な言い回しが好まれたとか理由は様々です (異論もあります)。

世界観の統一とリアリティ

 創作物における世界観は、現実の世界に対する見方などと同様に、ある程度の一体感や統一感、規則性が必要です。 それがないと 読者 や視聴者は作者や作中キャラの考え方や行動に共感や納得感を得られず、物語に無理やりな感じがしたり、強い違和感や不安感を覚えてしまう原因となりかねません。

 例えば現在の多くの日本人の世界観で云えば、超能力や魔法などは存在せず、ものごとは物理法則によって動いていると思っている人がほとんどでしょう。 社会の仕組みやルールなども、一部の宗教国家などを除けば、それが前提となったものに定まっていることが多いでしょう。

 もし当たり前のように超能力や魔法がある世界を創作物で描くなら、こうした点を考えて舞台や設定を創らないと、単なるご都合主義な世界に見えてしまうかも知れません。 このあたりをどのくらいまで作り込んで説明し過ぎないように物語の中で説明するのかは、リアリティラインとか 架空世界の設定バランス と呼ばれる作者の腕の見せ所、創作の醍醐味でもありますが、これが空回りすると 「どうしてこのキャラがこういう行動を取るのか全く理解できない」(感情移入できずに白ける)、「物語ではなく世界観の説明ばかり見せられている」(設定の説明やそのためのセリフ ばかりでつまらない) になりがちでしょう。

 なお似たような文字列に 世界線 があります。 こちらも本来の意味から離れ、いくつかある パラレル な世界、if の世界のひとつといった意味で使われることが多いでしょう。 例えば歴史の仮定の話をする中で、「本能寺の変が起こらなかった世界線」 といった使い方をします。 似たような概念の 同人用語 には 別軸 もあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年9月12日/ 項目を分離しました)
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