同人用語の基礎知識

ご都合主義

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右に左に意見が変わったり無理矢理に辻褄を合わせたり… 「ご都合主義」

 「ご都合主義」 とは、都合の良い悪いによって立場や意見をくるくると変えてしまう人や考え方、それに伴う無理矢理な辻褄合わせなどを指す言葉です。 人の言動に対して使うこともあれば、マンガアニメ といった創作物の 物語 の展開について使う場合もあります。 良い意味で使うケースは稀で、一般的には揶揄や批判の文脈で使われます。

 もちろん都合や状況、その時々の 環境 の変化に応じて自らも変わることは別に悪いことではありません。 しかしそれがあまりにあからさますぎたり、自分で都合や状況をある程度コントロールできる創作物の物語でそれをやられると、信頼感が持てなかったり、いかにも物語が架空の作り物めいて見えて説得力も喪失し、白けてしまう部分はあります。

 とくに物語は作品に登場する キャラクター やその心理的変化、作中の出来事や事件などを通じて提示されるので、途中でキャラの性格が豹変したり、いきなり物語の辻褄を合わせるためだけのキャラや事件が追加されたりなど、どこかに無理矢理感が出てきてしまうものです。 ピンチになったら都合よく仲間や強い武器が手に入る、複雑な状況や問題をありえない強引な方法で簡単に解決してしまうなどが代表的です。 なかでも一度 死ん だキャラが生き返るなどは、ご都合主義の最たるものでしょう。 というわけで、一般的には出来の悪いありきたりな物語、お約束 の展開や 予定調和 の集合体のような作品を揶揄したり批判する文脈で使われます。

「ご都合主義」 と 「デウス・エクス・マキナ」

 似たような言葉には上記の予定調和の他、古代ギリシア演劇で用いられた言葉をラテン語訳した 「デウス・エクス・マキナ」(deus ex machina) もあります。 「機械仕掛けから出てきた 」 などと訳されるこの言葉は、舞台上に 降臨 した神様役の 演者 がクレーンのような機械を使って登場することに由来します。 演劇の物語で登場人物らに困難や悲劇が襲っても、突然現れた神があっさり解決してしまうさまをあらわし、それがそのまま演劇の脚本、ひいては物語や エンタメ 全般でご都合主義の意として用いられるようになっています。 神様は全能かつ万能なので、介入したら何でも解決できてしまうわけですね。

 ご都合主義にせよデウス・エクス・マキナせよ、一般には避けるべきという考えが支配的です。 それらを使わなくても済むようしっかりと物語を作り、適切な前振りや 伏線配置 して自然な形で受け手の理解や感情を誘導するのが大切です。 しかし一方で、上手く使えば驚きや意外性を与えることもできます。 そもそも現実の人生だって、ありえないこと、信じられないことが突然目の前に現れるなどはしばしば起きることです (真実は小説より奇なり)。

 また過去の流れや先の展開、物語の整合性、矛盾の回避などを一切無視し、その場の ノリ や勢いだけで突き進むライブ感のある作品もあります。 これはこれで ツッコミどころ満載 みたいな笑われ方をしつつも、そのノリや勢いがあまりに激しく熱い場合は、それはそれで面白いし評価されることもあります。

議論の場における 「ご都合主義」

 ネット掲示板 などで、状況によって自分の意見をコロコロと変える人は、揶揄として 手の平ドリル と呼びます。 手の平返しを強調した ネットスラング ですね。 現在進行形のニュースなどは新しい情報が入るたびに状況が変化しますから、あまり 脊髄反射 して断定的な レス をするとどうしようもなくなるので、とくに 固定ハンドル で活動する人は注意するようにしましょう…。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年3月14日)
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