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主人公色

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熱血の赤、陽気さのオレンジ、主人公の色も様々 「主人公色」

 「主人公色」 とは、マンガアニメ、あるいは特撮ドラマなどにおいて、主人公 となる キャラクター を象徴するような 、イメージカラーやシンボルカラーのことです。 とくに日本の おたく の世界においては、初期の特撮ものの影響から、もっぱら赤色が主人公色や主人公カラーとして認識されています。

 赤 (あるいは朱色) は、紅白というようにおめでたい色であり、また戦国の世の甲冑や旗指物の赤備え (あかぞなえ) から浮世絵の紅絵や紅摺絵、現代の総天然色カラー映画やカラーテレビが普及した後の創作された 作品 の登場人物に至るまで重要な色として扱われてきた歴史があります。 またコントラストが高く、目立つ色でもあります。

カラーテレビと特撮と赤い主人公

 日本でカラーテレビの本放送が開始されたのは1960年、本格的に普及し始めたのは1964年の東京オリンピックあたりからとされます。 とはいえまだまだ庶民にとっては高根の花であり、テレビ局側もカラー放映した番組は少なく、カラー作品のストックも持っていませんでした。 相変わらず一部の番組以外は モノクロ での放映でした。 そこでカラーテレビを製造販売している家電メーカーも販売促進のため積極的にテレビ番組への CM 出稿やカラー番組への提供を行います。

 1967年には特撮のカラー作品第一号とされる東映の 「仮面の忍者 赤影」 が異例の大予算で制作され放映が開始されると人気が爆発。 主人公に赤影、仲間の忍者も青影や白影と色彩を強く意識したもので、後に同じ東映の 「秘密戦隊ゴレンジャー」(1975年) といった ヒーロー の色別戦隊ものにも直接的な影響を与えています。 とくに赤が主人公やチームのリーダー役に選ばれたのは、華やかでインパクトがあり、目立つ色だとイメージされているからでしょう。

 一方の東宝では 「愛の戦士レインボーマン」(1972年) があり、こちらは戦隊ではなくヤマトタケシ一人が直近の 戦闘 に必要とする能力に合わせて7色の戦士 (化身) に変化しますが、全身真っ赤な火の化身・ダッシュ2の他、全体を象徴する太陽の化身・ダッシュ7も、白地に赤を配置した姿となっています。 ちなみにこのダッシュ7は、日本の国旗である日の丸がモチーフとなっています。 1976年放映の「忍者キャプター」 も、主人公・リーダー格の火忍キャプター7が炎 (火の玉) をイメージする赤いスーツでした。 特撮においては、心の内の真っ赤に燃える熱き闘志、正義のために命を懸ける熱血を象徴する色が赤であり、 「赤=主人公色」 を強烈に意識する時代だったと云えるでしょう。

 戦隊やチームものでなくとも、1954年の 「赤胴鈴之助」、1966年の 「ウルトラマン」、1967年 「ジャイアントロボ」、1969年 「魔人バンダー」 1977年 「快傑ズバット」 などなど、名だたるヒット作の多くがもう赤・赤・赤といった感じです。 一般的には緑をイメージする 「仮面ライダー」(1971年) も真っ赤な目に真っ赤なスカーフ、変身ベルトにも赤が効果的に使われており、3作目のV3 (1973年) に至ってマスクも赤になり、主題歌も 「赤い赤い赤い仮面のV3」 で始まります。 赤はモノクロにすると黒になり、モノクロテレビや雑誌のモノクロページに掲載された姿で見てもコントラストがはっきり出るのも好まれた理由かも知れません。

 なお主人公の名前がそのまま作品のタイトルとなっていることを タイトルロール と呼びますが (例えば 「鉄腕アトム」 みたいな)、この際の文字色の赤率もすごいものです。 キャラの外見に赤要素がなくとも、タイトル文字が真っ赤というのは数え上げたらきりがありません。

アニメでも、赤色は特別な色として重く用いられる

 一方アニメでは、1966年にマンガ連載と同時に放映された 「パーマン」、1972年の 「科学忍者隊ガッチャマン」、1974年の 「ゲッターロボ」 をはじめ様々な作品が同じようなキャラごとのイメージカラーを持つヒーローとして描かれていました。 パーマン (パーマン1号/ 須羽ミツ夫) はヘルメットが青であり赤がイメージカラーではありませんが、主題歌の出だしが 「真っ赤なマントを翻し来たぞ僕らのパーマンが」 であり、赤イメージを失っているわけではありません。

 ガッチャマンの主人公、大鷲の健・G-1号やゲッターワンも赤です。 「マジンガーZ」(1972年) も、ボディこそ黒と銀色のツートンに赤と青が組み合わさった配色ですが、必殺技のブレストファイヤーを放つ胸部の放熱板は真っ赤ですし、主人公 兜甲児のコスチュームは真っ赤、Zの頭部にパイルダーオンする小型戦闘機ホバーパイルダーも真っ赤っ赤です。

 もちろん赤をイメージしない主人公もいますし、1972年の 「人造人間キカイダー」 のように赤と青で半々になっているようなキャラもいます。 こちらは人体解剖模型をモチーフとし、動脈の赤 (悪の心)・靜脈の青 (正義の心) とで 「不完全な良心」 を表現すると云う複雑な性格を表しています。 しかし特定の色が主人公をイメージするとか、作品内で特別な重みを持つといった考え方や作法が確立した際に、その大きなルーツのひとつが特撮における初期の作品群で、その中心にあった色が 「赤だった」 とは云えるでしょう。

 これは少女漫画や少女向けアニメなどにも同様の傾向があります。 男子向けと異なり赤だけでなくピンク色の存在感も極めて大きいのですが、「魔法使いサリー」(1966年版)「ひみつのアッコちゃん」(1969年)「魔女っ子メグちゃん」(1974年) などに強い赤色のイメージがあります。 一方で 「魔法のマコちゃん」(1970年) の青、「さるとびエッちゃん」(1971年) のピンクのように赤以外の色をイメージする作品もありますし、こちらも赤一辺倒という訳ではありません。

熱血情熱から陽気な明るさへ…オレンジ色も台頭

 アイドルもののアニメなどで、作品内アイドルグループのリーダーのイメージカラーやメンバーカラーにも赤が使われることがあります。 代表的なのは 「THE IDOLM@STER」(アイマス/ 2005年7月) で実質的にメインヒロイン扱いとなっている天海春香でしょう。 アイマスシリーズは爆発的な人気を博しその後の類似作品に影響を与えますが、この頃になるとアイドルグループのリーダーやそれぞれの作品の主人公といった 概念 がかなりあやふや・流動的なものになります。

 例えば ファン の人気投票で楽曲ごとにグループのセンター位置が変化したり、メディアミックス作品の媒体ごとに主人公が変わったりします。 ちなみに ゲーム 「シンデレラガールズ」(2011年11月) で中心的役割を果たす島村卯月はピンク、渋谷凛は青でした。

 さらに時代を下るとオレンジ色が使われることも増え、その後はオレンジ色も主人公色とする考え方もあります。 代表的なのは、アニメ 「ラブライブ!」 シリーズ (2010年〜/ μ's の高坂穂乃果、Aqours の高海千歌、Liella! の澁谷かのん、蓮ノ空 (スリーズブーケ) の日野下花帆、第四作目の上原歩夢のみピンク) などです。 もちろん赤やオレンジ色ではない色の主人公も存在しますし、それぞれがイメージカラーを持つというアイデアは特撮以外にも様々な分野のコンテンツに存在しますし、それぞれが影響し合っています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2010年10月6日/ 項目の再構成です)
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