同人用語の基礎知識

青少年健全育成条例

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条例趣旨自体は立派で正しいんですけど…

 「青少年健全育成条例」 とは、各地方自治体がそれぞれに設けている罰則付きの条例で、青少年の健全育成にとって有害なもの (だと思われるもの) を規制する為のものです。 長野県を除く全国都道府県で制定されていて、地域によって 「青少年のための環境整備条例」「青少年保護育成条例」 などと名称が微妙に違う場合もあります。

 なお前提となる青少年の規定は、「小学校就学の始期程度から18歳に達するまでの者」とされているケースが大半です。 ただし条例で定めている禁止事項などの性質上、民法第737条の規定に基づく婚姻により成年に達したものとみなされる者については、保護対象としての青少年からは除外する考え方が一般的です。

 具体的な条例趣旨や設置制定目的の宣言、条例内容や条例文じたいは自治体によって様々ですが、おおむね次のような感じで説明されています。

 自治体と社会の責任を明確にし、青少年の健全な育成に関する理念を明らかにし、施策の大綱を定めその推進を図るとともに、青少年の健全な成長を阻害し、又は非行を誘発するおそれのある行為を規制し、もって青少年の健全な育成を市民とともに図ることを目的とする。

 冒頭で述べた通り、民法第737条の規定に基づき 結婚 した未成年男女をしばしば除外する点をみても、ここで云う 健全 とは、もっぱら 「性的な健全さ」に重点を置いているのは云うまでもありません。 また、いわゆる不良行動 (深夜徘徊や喫煙、飲酒など) を条文化して規制している場合や、親孝行とか社会ルールを守るなどのモラル・道徳に関する文言が努力義務として条文化されている場合もあります。

 しかし中には理解に苦しむものもあり、有名なものでは、栃木県足利市の 「エレキギター禁止条例」 などがあります。 1965年、足利市教育委員会が働きかけて制定されたもので、青少年のエレキギター演奏を禁じ、それを 学校 や 公共施設 で行えないよう制限するものでした。 その後廃止されましたが、制定された際は足利市だけの問題では済まず、全国でエレキギターの追放運動が盛り上がる大きなきっかけの一つともなりました。

 また2010年には、東京都が 非実在青少年、その後 刑罰法規に触れる性行為 (いわば、非実在淫行) を、有害図書 の規制強化の中で造語し実施しようとしているケースなどもあります。

青少年健全育成条例によくある文言

 青少年健全育成条例での主な内容は、青少年に対する、

「有害図書の制限」「有害玩具の制限」「有害興行(映画・演劇等)の制限」
「テレホンクラブ等の制限」「就業の制限」「年齢確認の義務」
および 「淫行の禁止」

 …などですが、同人 の世界に直接的に大きく影響しているのは、いわゆる有害図書に関する規定でしょう。 直接的に…と云うのは、ある 同人誌 が摘発の対象になり 作者 や発行者が処分や罪に問われる…と云う点もさることながら、多くの自治体は 同人イベント (同人誌即売会) 開催 の為の イベント会場 を 運営・管理・指導していて、イベント の開催可否を実質的に左右しうる存在であるからなんですね。

 書籍類や同人誌の内容についての規制や、その回覧会や頒布会の規制は、憲法で保障されている 表現の自由 と密接に関係する内容ですし、どこの自治体も基本的には慎重な対応を行うケースが多いものです。 しかし社会情勢などに大きく左右され、時には行きすぎた規制、理解不能な規制を行う場合もあります。 前述のエレキギター禁止条例もそうですが、1990年代には千葉県の条例改正により 幕張メッセ で コミケ が追放されたり、コミックシティ が開催中止に追い込まれるなど、同人イベントの開催が直接大きな影響を受けたこともあります。

同人イベント存続にも直接的に影響を

青少年イメージ
青少年イメージ

 本来この条例は、いわゆる 児童ポルノ法案 原案などとは違い、作品 の発行自体をほぼ無制限に規制しようと云うような性格のものではなく、18禁 のアダルト同人誌であれば 「青少年に見せない」「買わせない」事を担保する事により、同条例の趣旨にも叶った活動として行う事が可能なはずなのです。

 しかし上記のある県のような極端な事例も含め、一部市民団体などの圧力により恣意的運用が行われやすいと云う問題があります (そもそも マンガ は全て子供向けのもの」「従ってマンガである以上、発行自体を規制すべき」 というような、今どき信じられない乱暴で幼稚な認識の人も、結構多いんですよね、ビックリすることに… (^-^;)。

 まぁ実際は、「青少年に見せない」「買わせない」事を担保する…と云ってもそう簡単に出来る事ではありませんし (表紙にそうした表示 (成年コミックマーク)をしただけで済む事でもありませんし)、こうした問題に対する考え方や対応は、サークルさん、イベントの 主催者さん の側でもまちまちで、おいそれと統一行動が取れるような事でもありません。

 「同人活動やイベントを守るために、みんなで何が出来るか考えよう…」ってな結論も、今となってはお題目のようになってしまっていますが、少しでもこの世界に愛着があるのなら、それぞれがそれぞれなりの努力をする必要がありそうですね。

青少年有害社会環境対策基本法案 (青環法) と呼ばれるものも

 なお 2003年になって、地方自治体ではなく国政 レベル でも新しい動きが見られます。 青少年有害社会環境対策基本法案 (青環法) と呼ばれるものがそれで、いわゆる 「児ポ法」 などとも異なった出自で、マンガや アニメ、ゲーム など図書類に似たような包括網羅的な規制をかけようとの法案です。

 ここしばらくはあらゆる点で、行政の対応に注目して行く必要がありそうですね。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年5月12日)
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