短い言葉や文章でぐっと興味を惹きつける… 「キャッチフレーズ」
「キャッチフレーズ」(catchphrase) とは、主に何らかの商品やサービス、イベント や、あるいは社会運動や政治活動などなど、何らかの物品やアクションなどを簡潔な短い フレーズ (語句・言葉) で表現し、人々の興味・関心を引くためのもののことです。 キャッチ (catch/ 捉える・掴み) のフレーズということですね。 スローガン (slogan) や単にキャッチと呼ぶこともあります。
似たものにキャッチコピー (catchcopy) や惹句があります。 結果的にほとんど同じ意味で使うこともありますが、コピーや惹句に比べると指し示す範囲がより広く、必ずしも商品や運動そのものを端的に表現していない場合も含まれます。 商品や運動が展開する中で生じた言葉が、象徴的なものとして後付けでキャッチフレーズだと 認知 されることもあります。
人気のキャッチフレーズは流行語になったりネットスラング化したり
どのようなフレーズがキャッチ効果を持つかはケースバイケースですが、一般的には印象的で見聞きする人たちの心に響くような、魅力的な言葉を選ぶことが多いでしょう。 短くするのは、長いと覚えるのが難しい上に、感情に直接的に働きかける効果が薄くなると考えられているからです。 また誰に届けるか (ターゲット層) と、どんな場面で用いるか (広告や宣伝といった プロモーション なのか、それとも自己PR や講演会なのか、文章なのか音声なのかとか) によってもどんなものが最適かが変わります。
一般的には文字や音にして10文字からせいぜい20文字程度以内、ポスター や チラシ、パンフレット などに用いる際には一行か二行程度に収まり、文章をじっくり読ませるというより文字が視覚的に目に入った瞬間に意味が理解できるものが適しているでしょう。 また歌などの歌詞に用いた際に、韻を踏んだような心地よさ、はっきり聞き取れて繰り返し使える軽快さも必要かも知れません。 日本で使われるものは原則として日本語が多いのですが、カタカナ日本語化したような英単語が使われることもあります。
あまりに特徴的でよく知られているもの、日常 の会話などで使い勝手の良いものは、それがそのままある種の流行語や おたく用語・ネットスラング になる場合もあります。 例えば商品宣伝用のものなら、花王の洗濯用コンパクト洗剤 アタックの 「驚きの白さ」 とか、イギリスの大手電気機器メーカー ダイソン の 「吸引力」、くさやの埼玉銘菓・十万石まんじゅうの 「うまい、うますぎる」 などはその代表格と呼べる存在です。
社会・政治関係のものは SNS で拡散されたり
社会運動や政治の部分では、選挙などを通じてそれぞれの団体のものが使われます。 自陣営の存在を有権者にアピールするだけでなく、支持者らを鼓舞するような勢いのあるものがよく話題になり、SNS で ハッシュタグ を用いた 共有・拡散 にも使われます。 ネット で好意的にせよ批判的にせよよく触れられるのは、自民党が2012年に安倍晋三総裁の元で発表した 「日本を、取り戻す。」 でしょうか。 こちらは反自民党の側から安倍さんの滑舌を揶揄する形で 「日本をトリモロス」 などと表現されることもあります。
一方、2008年のアメリカ大統領選挙での民主党バラク・オバマ候補陣営のキャッチフレーズ 「Yes we can」(イエス・ウイ・キャン/ そうだ、私たちはできる) と 「change」(チェンジ) は日本でも流行し、とくに 「change」 は、ネットスラングとしても他の チェンジ と合わせる形で広く使われるようになっています。
また2016年以降にドナルド・トランプ候補陣営が用いた 「America First」(アメリカ・ファースト/ アメリカ第一主義/ 第一次世界大戦中にアメリカの孤立主義を訴える言葉として広まった) は、形を変えてその他の国でも保守的な傾向を持つ政治勢力によってよく使われるようになっています。
アイドルのキャッチフレーズは独特の存在感
キャッチフレーズはあらゆるものにつけられますが、とくに おたく の世界では、最近はあまり使われることがなくなったアイドルらがデビューした際のキャッチフレーズがよく話題になっていました。 有名なのは松田聖子さんの 「抱きしめたい!ミス・ソニー」(1979年) とか中森明菜さんの 「ちょっとエッチな 美新人娘 ミルキーっこ」(1982年) でしょうか。 1980年代のアイドルにはだいたいこの手のキャッチフレーズがプロダクションによってつけられていましたが、ファン のみぞ知るといった存在で、あまり一般に広まることはなく、半分 ネタ として扱われる程度でした。
人気アイドルの 妹 を募集みたいなオーディションもよく行われ、選出されたアイドルに 「〇〇の妹」 みたいなキャッチフレーズもつけられていました。 例えば芸映プロが 主催 した新人発掘コンテスト 「HIDEKIの弟・妹募集オーディション」 で優勝した河合奈保子さんの 「西城秀樹の妹」(1980年) という触れ込みはよく知られています。 ドラマなどで人気アイドルの妹役でデビューしたアイドルにそうした渾名がつくこともあります。 松本伊代さんの 「田原俊彦の妹」(1981年) なんかが有名ですね。
その後はファンによってつけられた愛称が尊重されたり、雑誌などのメディアがつけた印象的な紹介文の渾名化などが用いられるようになり、アイドルにプロダクション側からあからさまなキャッチフレーズがつけられることは減りました。 広く知られているものとしては、ファンがネットに上げた福岡 ローカル のアイドル グループ 時代のイベント写真が 「奇跡の1枚」 と話題になり、その後 「1000年に1人の美少女」(2013年) と呼ばれた橋本環奈さんがいます。 声優の世界では、週刊ヤングジャンプやリスアニ! (Lis Ani!) での逢田梨香子さんの紹介文をファンが使った 「声優界最高の美女」(2017年) は話題となっています。
一方で地下アイドルなどではプロダクションや本人がキャッチフレーズをつけたり考えたりの伝統が、その後も脈々とが残っていたりもします。 いずれにせよ、戦国武将などにつけられた渾名やプロレスラーなどの二つ名に近いものでしょう。 内容的には大げさだったり 盛り すぎな表現のものも少なくありませんが、半分ネタとしての面白みを含めて、ファンらの間で使われているようです。
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