笑えるネタか、看過できない差別表現・地域分断か…「地域蔑称」
「地域蔑称」 とは、もっぱら日本国内の各地域を、それぞれの生活習慣や文化、外面的なイメージを基に 名前もじり の形で面白おかしく揶揄・レッテル貼りするものです。 元々お国自慢といった形で自分の出身地や居住地域を好意的に紹介したり、その逆に異なる地域を悪しざまに語るなどは昔からあるものです。 これが ネット の時代になり、面白事件や レス を 元ネタ にした笑えるものとして作られるように。 一方で一部では ネタ や言葉遊びでは済まない レベル の地域差別にもなっています。
ネット以前から使われており全国的にも比較的知名度が高いのは、埼玉県と ダサい を組み合わせた 「ダ埼玉」 でしょう。 大都会東京の隣にあって、どこか垢ぬけなくて 芋 っぽい中途半端な地域だという意味です。 また 掲示板 2ちゃんねる で広がったものに、大阪や大阪人の気質や 民度 の低そうなパクリ・犯罪行為などを嘲笑し、韓国の人たちとオーバーラップさせた 「大阪民国」 があります。 一方、2011年の東日本大震災の際に直接的な震災被害が比較的軽微だったにも関わらず、我先にと食品などの買い占めに走る見苦しい人たちが続出した東京を、中国の人たちのそれとオーバーラップさせて 「トンキン」 と呼ぶこともあります。
この他、自然環境が厳しい北海道を、北海道庁が1998年に作ったキャッチコピーを元ネタに 「試される大地」 と呼んだり、警察の職務質問で外国人に勘違いされたという コピペ から生じて群馬県を未開の秘境呼ばわりする 「グンマー」、大量の水を使ううどんが好きな県として知られる香川県を 「うどん県」、1993年に起こったいじめ事件 (山形マット死事件) が元となる山形県の 「マット県」、武闘派の暴力団がいてロケットランチャーなどの武装品が度々発見されるなどしている福岡を 治安 の悪い地域として 「修羅の国」 と呼ぶこともあります。
こういった言葉は全ての都道府県にあり、それぞれの地域に住む人たちが 「自分が住む地域が一番だ」 との郷土愛に基づく自負の上で他の地域をネタとして 煽る 限りにおいては 「対等の煽り合い」 で 「お互い様」「どっちもどっち」 な部分もあります。 香川県のうどん県呼びのように、当初は近隣地域に対する水資源の使いすぎや渇水への影響を揶揄するものだったのが、後にはうどんのおいしさをアピールするものともされ、とうの香川県が観光用の プロモーション に活かす ポジティブ なものにもなっています。 しかしこれらとはまた異なる 「都会と田舎」「東日本と西日本」 といったくくりや、前述した韓国や中国といった他国 (もっぱら 特定アジア) への差別感情や蔑称などとも一部が一体化し、先鋭化してしまうこともあります。
ネットが登場する以前、ひと昔前までの地域ネタというと、京都を揶揄するものがありました。 「ぶぶ漬けどうどす?」(お茶漬けはいかがですか) が遠回しな 「そろそろお帰りください」 の挨拶になっているとか、東京に行くことを上京ではなく東下りと呼ぶといったアレです。 京都人ならではのいけず (意地悪) で気位が高い様を示す エピソード として散々語られますが、これも現代にあってはさすがに地域蔑視に近いよなとは思います。
なお国内だけでなく、外国にも国名でそれを行うことがあります。 やはり韓国・北朝鮮・中国あたりが バリエーション も豊富ですが差別的で救いのないものが多いですし (ここではいちいち書きません)、イギリスなら 「紅茶の国」、ロシアなら 「おそロシア」 あたりが穏当な感じでしょうか。 単に蔑称の カス を接尾しただけの 「アメカス」(アメリカ)、「ブリカス」(イギリス) などもあります。
逆に 出羽守 とされる人たちが、欧米先進国、とくに北欧の国々と日本とを比較して、日本を 人権 や福祉に関して遅れた国、地獄 のような国だとする 「ヘルジャパン」 もあります。 また2013年に国連の拷問禁止委員会にて日本の上田人権人道大使が行った発言内容が委員会で他の出席者らから笑われ、それに対して大使が発したシャラップ (Shut up!/ 黙れ) が話題となる中で、発言内容にあり笑いの元のひとつにもなった中世 (本来は the Middle Ages、発言では middle age (中年) を揶揄した中世日本、あるいは中世ジャップランド (日本の蔑称 JAP を使ったもの) などもあります。 この他、いわゆる左寄りやリベラルとされる人たちが、人権や先の戦争に関する歴史問題に関して日本に様々な侮蔑的なレッテルを作って貼っては嬉々として使っています。
ネタを鵜呑みにして、地域差別を広げる人たちの存在も
時代を経るにつれ、同じ日本人同士 (平等でおおむね価値観が共通している) のお互い様な憎まれ口ではなく、特定地域への過度の偏見や差別、地域の分断や憎しみを招くといった問題も、少しずつクローズアップされるようになっています。
これはひとつには、2ちゃんねるといった匿名で 露悪的 な場 (参加している人も 「しょせん 便所の落書き だ」 みたいな 自虐 や開き直ったある種の矜持、「嘘やネタとそれ以外を区別しろ」 との最低限の教養や リテラシー を持っている) と異なり、これらが 書き込まれ た スレ の文脈を無視して利用したお金儲けのためのまとめブログや ツイッター のような SNS で 拡散 されたものを 「本気にする」 人が増えて表面化している部分もあります。
とくに SNS で、社会的な問題と深くリンクした内容、例えば女性差別とか外国人差別、昔からある地域差別 (部落・同和問題) や政治問題などとつながった話では、特定地域をただひたすらに悪しざまに表現するような呼称も登場しています。 これらの テーマ で積極的に情報発信する人はおおむね口が悪く、差別反対と云いながらその地域に対する強い偏見や蔑視を助長する発言を繰り返しています。 2ちゃんねるみたいな匿名系の場ならともかく、顕名・実名の場でよくできるものだとちょっと驚きますが、同じようなデマの扇動者や差別者が集って エコーチェンバー となり、一層の偏見や憎悪をばらまく事態となっています。
代表的なのは、2011年の東日本大震災で原発 事故 が起こった福島県を、広島・長崎などでしばしば行われるようなカタカナ表記とした 「フクシマ」 でしょう。 「ヒロシマ」「ナガサキ」 も原爆投下による悲劇の大きさを表現するために一部の政治活動家や団体が ノーモア〇〇 とつなげる形でよく用いますが、福島をそれと同等の扱いとし、「もはや日本のいち地域の名称ではなく、世界的な悲劇の地として記憶させるため」 に、ことさら象徴的に呼んであげつらうスタンスなのですね。
これらはもっぱら平和運動や反原発運動に関わる人たちが好んで行い、これにより福島県の農産物に深刻な風評被害が生じたり、福島県をはじめ東北地域出身者に対するいわれなき差別意識を刷り込み広げる悪影響も生じています。 個人的には放射能被害を実体以上に強調、あるいは捏造や 陰謀論 まで使って誇張し、「ベクレてる」(放射性物質に関する単位ベクレル (Bq) に由来) などといった揶揄表現を嬉々として行うなどは、人として強めの軽蔑に値する行為だと思います。
また2020年12月に長野県の草津町で元町議の虚偽の性被害告発が元で起こった裁判を発端に生じた 「黒岩町長冤罪事件」 では、自称フェミニストを名乗る人たちが虚偽を元に冤罪をかけられた町長やそれを含めた草津町全体を誹謗中傷。 温泉で名高い同町を 「セカンドレイプの町」 などと呼んで大手メディアまで巻き込み常軌を逸したバッシングを行っています。 後に裁判を通じてそれが虚偽だったことが判明しても、ごく一部の例外を除いて自分たちが行った誹謗中傷への謝罪や撤回もなく、その後は知らんぷりをし続けています。
同様に口の汚さで知られるツイフェミと呼ばれる人たちが2020年代中頃から盛んに使う 「さす九」(さすが九州) は、同地域を家父長制や男尊女卑の考えが因習として根強く残る女性差別の遅れた地域であると断じ、個人が経験した真偽不明の体験談を針小棒大に 盛って 語ったり、各種統計や報道といった ソース を無視したデマを展開して男性差別と地域差別の合わせ技で バッシング を行っています。
X (旧ツイッター) では閲覧数 (インプレッション数) によって利益を得たり、多くの人に自分の書き込みが 認知・拡散されることで 承認欲求 を満たしたい差別者が、他責・他罰 なデマや嘘を意図的に広げていて、2ちゃんねるあたりの差別とはまた一線を画す酷さだとちょっとドン引きしてしまいます。





