えっと、フィラーというのはですね、えー、あー 「フィラー」
「フィラー」(Filler) とは、隙間を埋めるためのもののことです。 埋める行為そのものを指すこともあります。 壁などの隙間や穴に部材をはめ込む、充填材を流し込む、部屋の空間に何か家具を置くといった物理的なものから、会話の途中で 「えー」「あー」 など意味のない言葉を入れる、動画や音楽の隙間につなぎとして何かの映像や音や文字を入れるなど、あらゆるものに同じような意味で使われます。
おたく・腐女子 の 界隈 に比較的近いところでは、文章の中に 「まぁ」「そう」「でも」「が」 などなど、ほとんど意味のない文字を入れたり、文章を区切らずに接続詞で延々とつなげてしまうような書き方がそう呼ばれます。 また マンガ や イラスト を描く際に、空白や余白が気になってつい何かを書き込んで埋めてしまう、余白が許せないといった振る舞いをそう呼ぶこともあります。
意識して減らすようにしないと、つい出てしまうフィラー
建築におけるフィラーは隙間風を防ぐ、見栄えを 整える など、意味のある場合が多いでしょう。 一方で会話とか文章、絵 などの場合は、意味のない言葉や視覚情報を詰め込むことで全体が窮屈になったり、沈黙・余白による緩急のメリハリがつかずに平坦な印象になるなど、あまり良いことがありません。
とはいえ、作者 や話者の性格にもよるとはいえ、「沈黙や余白」 を恐れる人は多く、とくに会話などでは考える時間を作るためにもつい 「あっ」「えーと」 などと意味がなく耳障りな発音を無意識にしてしまう人は多いでしょう。 これらは俗に 「えーあー症候群」 などと呼ばれ、スピーチやプレゼンではとくに避けるべき悪癖とされています。 フィラーはなるべく意識して避けるようにしましょうというのが一般的かもしれません。
独特のリズム感や 「間」 の演出としても
一見無意味に思われるフィラーも文章などに独特のリズム感やテンポ、あるいは間を作る演出として役立つこともあります。 セリフと地の文とで変化をつけられる効果もありますし、筆が進まない時の最初の一文字として使い勝手が良い部分もあります。
一般に 字書き の間では、無意味なフィラーは減らしましょうというのが常識化している部分もありますが、作品 の傾向や ジャンル によって必ずしもそうだとばかりは云えません。 無意識に出てしまう無駄なフィラーの放置は見るからに作品の完成度を低く見せてしまうものですが、残すものとそうでないものとを精査するだけでも、だいぶ印象は変わるでしょう。
なお 筆者 の文章は無意味なフィラーがそこここにあって、書いている時はリズム感もあって書きやすいんですが、後で読み返すと悪文そのもので我ながらゲンナリすることがあります。 会話では 「えー」「あー」 をほとんど発しないのですが、これは若い頃に意識的になくすよう努力したことがあるからで (滑舌もめちゃくちゃ悪かったので、合わせて必死にあめんぼのうたとかやってました…)、文章も一度ちゃんとやり直したいと思ってはいます。