それは真犯人しか知らない情報のはず! 「秘密の暴露」
「秘密の暴露」 とは、当事者、とくに犯罪行為において真犯人しか知りえない事実を被疑者や容疑者が知っていて、それを第三者に開陳・暴露することを指します。 例えば殺人事件で警察側から発表されたり報道された公然の事実以外のことを詳細に知っていたり、現場の捜査官すら知らなかったり気付かなかったこと (隠されて未発見だった凶器の行方とか、警察がまだ把握していなかった犯罪行為や被害者の存在など) を知っているなどが代表的です。
一般に犯罪捜査や被疑者の取り調べでは、直接的な物的証拠や目撃者の証言、強い動機や蓋然性といった状況証拠や自白などが真犯人特定のために用いられます。 数ある証拠の中でも秘密の暴露を含む自供や自白はとくに真実性の高いものと見なされており、その後の裁判などでも非常に有力な証拠として判決の決め手になることもあります。
このあたりはミステリーなどの探偵もの・推理ものの マンガ や アニメ でも犯人捜しや犯人を追い詰める初歩的なロジックとしておなじみでしょう。 犯人がついボロを出したり口を滑らせてしまうように探偵や刑事などの 主人公 らが行う会話ややり取りは知的な心理戦や頭脳戦であり、犯人がしかけたトリックの謎解きとともにミステリーの重要な魅力のひとつです。 従って実際の事件や裁判などに当たらない子供や 一般人 からの知名度や 認知 も極めて高い 概念 のひとつといって良いでしょう。
一方で現実の世界においては、実際の警察は必ずしも捜査で得られた情報の全てを発表するわけではなく、またその事件についてどこまで調べがついて知っているか、逆に何を知らないかも、捜査官や警察内部の担当者にしか原則分かりません。 すでに知っていることを 「知らなかった」 と嘘をついて、容疑者に誘導尋問的な取り調べを行い、あたかも自白ではじめて知りました風を装うことだって可能です。 さらに悪質な場合、容疑者の証言にあわせて証拠を捏造したり、逆に捏造した物的証拠が秘密の暴露によって発見されたかのように嘘の調書をでっち上げることすらあります。 実際に警察側らによるこれらの手口による冤罪 (袴田事件) なども起こっており、それが本当に秘密の暴露に該当するのかどうかは個別に慎重な判断が必要となります。
ネットで 「本人降臨」「関係者乙」 の証拠とされることも
秘密の暴露は、犯罪捜査に関わること以外でも使われることがあります。 例えば誰かが嘘をついていて、それを覆す誰も知らない秘密の暴露をうっかり行ってバレてしまうなどです。 「何でそれを知っているんだ?」 というわけです。
また ネット の 掲示板 などでも、当事者しか知らない情報をうっかり 書き込ん でしまい、「本人 降臨」「関係者 乙」 みたいな状況に陥ることもあります。 炎上 やそれに近い騒動が生じると賛成・反対や非難・擁護といった様々な意見が レス されますが、おかしな擁護や炎上の鎮火を意図したものは他の参加者も注目したり警戒しますし、参加者同士が阿吽の呼吸でカマをかけたり誘導的な書き込みをして尻尾を掴もうとすることもあります。
本人降臨となれば炎上や お祭り を 加速 させる 燃料 になりますから、それを狙って表面上は単なる 煽り や反論に見えながら、実際はミステリー小説さながらの頭脳戦が行われているケースも珍しくありません。 匿名掲示板などに慣れていない リテラシー の低い人が 殺伐 とした場にのこのことやってきて、ついカッとなって 脊髄反射 で秘密の暴露をやらかして 自爆 するなどは、ネット上の祭りの華みたいな部分もあります。 なお本人ではなく関係者や友人らが無理に擁護しようとして逆効果となり、かえって火に油を注ぐマヌケな状況は フレンドリーファイア と呼びます。










