作品類の内容を吟味し等級をつける 「レイティング」
「レイティング」(レーティング) とは英語の 「Rating」、日本語では格付け、等級付けといったような意味の言葉です。
映画やビデオ、創作物の世界で使う場合には、作品 に含まれる表現内容 (性的表現、暴力表現、反社会的表現 (犯罪、薬物使用、虐待、非合法ギャンブルなど)、および不快残酷表現 (グロテスク、ホラー、排泄、自殺など) について、青少年の心身・道徳観などに対する悪影響などを考え、鑑賞する側の適正な 「対象年齢」 を定め、作品ごとに 視聴者 を区分、規制することを指します。
もっとも分かりやすいのは性的表現、アダルト表現や エロ な表現に対する 18禁 といった規制でしょうか。 それぞれの業界団体ごとに 自主規制 の基準、倫理規定を設け、これを運用するための団体を別途設立して、作品ごとに指定します。
レイティングの前に行われていた検閲
現在の日本のレイティング制度はアメリカの流れを汲む形で戦後に作られていますが、それ以前にも警視庁などによる検閲の形で、映画などに同様の格付けが行われていました。 もっとも有名なのは1917年 (大正6年) 8月1日から当時の東京府で施行された 「活動写真興行取締規則」 で、映画を甲乙2つの種類に分け、全年齢観覧可は乙種フィルム、15歳未満観覧禁止を甲種フィルムと呼んで区別しました。
選定基準は現在はもちろん当時の社会規範から見てもかなり厳しく、乙種に分類できる既存映画があまりに少なかったため、実質的に15歳以下の子供が映画館から追放される事態となりました。 内務省によって所掌され警視庁などに設置された特別高等警察 (特高) による思想・言論・政治活動の取り締まりも徐々に強化され、検閲による上映禁止措置なども行われるようになっています。
また検閲やレイティングと直接的な関係はありませんが、国の機関によって特定の作品を選定する制度も始まります。 文部省によって教育的価値が高い優れた作品を選定する文部省推薦は現在の文部科学省の選定作品として受け継がれていますが、その他に陸海それぞれの軍が日本軍の華々しい活躍を称賛し戦意高揚に役立つ作品をそれぞれ推奨したり、反する映画に制限を加えるなどが行われていました。
アメリカの映画産業などから 「レイティング」 の流れが
現在のレイティングの考え方や仕組みは、元々はアメリカの映画産業が行うようになったものです。 その後日本でもアメリカ統治時代にGHQ主導で 戦前・戦中の検閲を廃した後に実施されています。 表現の自由 に触れないよう、国などの法律による規制ではなく、関係団体が自主的に規制するための指針を設けるものとなっています。
なおこれとは別に、各都道府県が定めている 青少年健全育成条例 中の 有害図書 規制条例 による区分けや規制もあります。 子供向けポルノ追放運動 などの運動により、その規制範囲は徐々に広がりつつあります。
日本国内の主なレイティングを行う倫理規制団体
日本国内における、主な創作物の倫理規定と、その運用・自主規制団体です。
大雑把な区分がされていますが、映像などは映画だけでなくビデオや ゲーム などにも含まれますし、ゲームも家庭用のコンシューマーゲーム機用ソフトとパソコン用のゲームソフトでそれぞれ異なる倫理規定と団体が存在するなど、互いに協力したり住み分けたりしつつ、相互が複雑に関係しています。
映像関連 (一般映画、ポルノ映画、アダルトビデオ含む)
略称
倫理規程の正式名称、もしくは管理団体
「映倫」
映画倫理規程、映倫管理委員会
「映像倫」
映像倫理協議会
「ビデ倫」
日本ビデオ倫理協会
「VSIC」
ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合
「メディ倫」「CSA」
コンテンツ・ソフト協同組合
「全審」「AJVS」
全日本ビデオ倫理審査会
「日倫」「JEJA」
日本倫理審査協会
ゲーム (パソコン)
「ソフ倫」
コンピュータソフトウェア倫理機構
ゲーム (家庭用ゲーム機用ゲーム)
「CERO」
CERO倫理規定
コンピュータエンターテインメントレーティング機構
放送出版関連
「放送コード」
番組編集準則、放送自粛用語
「レコ倫」
日本レコード協会、レコード製作基準倫理委員会
「出倫協」
出版倫理協議会
なお、これら倫理規定や団体に加盟せず、自主的な倫理規定を設けて自主的に販売しているメーカー (自主流通作品、インディーズなど) もあり、同人 の場合も広義でこの 「インディーズ」 に含まれるといって良いでしょう。
ただし 同人イベント や 書店委託 などで 頒布 する場合、イベントの 主催者 の側や書店側が内容を判断し、「頒布禁止処分」「取り扱い拒否」 を行うなどのケースもあります。 通販 や ネット を利用した電子 配信 などの場合は、完全な自主流通になります。
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○ 雑誌や出版物等に関する青少年関連施策
