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世界ランク

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日本の中では底辺だけど、世界の中で比べたら… 「世界ランク」

 「世界ランク」 とは、主に 掲示板 2ちゃんねる における 露悪自虐的ネタ として、他人が 不幸 によって転落する様を喜んだり、何らかの優位性を誇って他者に対して マウント を取る、あるいは自分より下の存在を見つけることで不本意な自分の社会的地位への不満から目をそらすなどといった様々な ネガティブ・負の感情から生じた独特の ニュアンス を持つ ネットスラング概念 です。

 例えば自分が一般的に見て不幸な状態、無職や 引きこもり非モテ で社会的な 底辺 だと思われがちな位置にいたとします。 友人知人は社会で頑張っているし、街中を歩けば幸せそうな人が大勢いるし、報道などで見る同年代の人々の活躍を知ると、とても惨めな気分になっても来ます。 しかしそれは同じ日本人同士で比べているからで、海外の発展途上国、それもアフリカなどの最貧国と呼ばれるような国々の生きるか死ぬかみたいな人たちと比べると、遥かに恵まれた 環境 にあると云えます。

 なんだかんだいっても日本は先進国、それも世界第三位の経済大国であり、日本という国に生まれた時点で世界人口の上位数%に位置する成功者 (生まれる国ガチャの勝者) であると云えなくもありません。 すなわち 「日本ランクでは底辺かも知れないが、世界ランクなら上位だ」 というのが、この言葉の根本的な考え方のひとつとなります。

他人が失敗して転落すると、自分が何もしなくともランクが上がる

 そもそも 「他人の不幸は蜜の味」「メシウマ」 などと昔から云うように、他人が失敗や不幸ごとで転落していく様を目の当たりにしたり、あるいは社会的に成功している人の足を引っ張って失敗や転落に誘うことに喜びや楽しみ、快感を覚える人は少なくありません。 逆に他人が成功したり社会的地位を築き上げる姿を見ると、羨望や嫉妬による悔しさ、自らの不甲斐なさや不遇さに対する怒りなどから辛さを感じたり苦々しく思う人も多いでしょう。

 2ちゃんねるといった匿名系の掲示板や ネット の世界では、こうした 「負の感情」 から生じた 書き込み は数多くあります。 それに対して 「他人を 叩いた り成功者の足を引っ張ったところでお前の境遇が改善したり社会的地位が上がるわけではないぞ」 との反論もされますが、こうした考え方から転じて、ある種の開き直りの概念として登場したのが 「世界ランク」 なのでした。

 世界ランクの考え方では、自分より上の立場だと思われる人間 (高学歴やお金持ち、社会的成功者、イケメンリア充 など) が失敗したり不幸に見舞われ高い社会的地位から転落すると、それに伴い自分の社会的地位、すわなち世界ランクがその分相対的に上昇するといった考え方を取ります。 だから転落した相手をさらに突き落とすようなネットにおける叩きや不謹慎ネタを正当化するものでもあるのですね (繰り返しになりますが、あくまでネタとしてです)。

言葉が広がる中で、字義通り・フラットな意味で使われることも

 なお2ちゃんねるを中心に世界ランクといった言葉が ネット で広く使われるようになると、こうした 「負のニュアンス」 が言葉から削ぎ落ちて、単に言葉通りの世界ランクとして使われたり、あるいは 「ネットのない時代に比べ世界中の情報が容易に手に入るようになったことで、自分がいかにちっぽけな存在かを思い知ること」 といった、ある意味で ポジティブ な意味への転換なども起こります。

 例えば頑張って イラスト を描いて自分ではうまく描けたと思って周囲の友人らも褒めてくれて得意満面になっていたけれど、いざネットに 投稿 しようと同じようなイラストを検索したら、自分より遥かにうまい人など無数にいることを知るでしょう。 「世界ランクが可視化されることで身の程を知った」 あるいは 「自信喪失する」 といったニュアンスでも使われたりします。

 またスポーツや ゲーム において プレイヤー のランキングに世界ランクが使われることは珍しくありませんし、そもそも世界ランクという言葉自体がごく 普通 の日本語であることもあり、2ちゃん的な使い方を知らない人もいます。 ランキング自体もあらゆるものにつけられがちなものでもあるため、ネットにおける世界ランクには様々な意図や文脈があります。

 なお2ちゃん的な世界ランクに近い概念は、2ちゃんねる以前の掲示板 (「あめぞう」 や 「あやしいわーるど」)、あるいはネット黎明期の人気サイト 「自動アンケート作成」(自アン) の各種ランキングネタがありましたし、さらには 草の根パソ通 などでも類似の考え方や言葉があります。 美女・美男談義とか最強談義・威力談義といった序列ネタは お題 としては陳腐なものですが、とはいえやっぱり盛り上がるんですよね。

何だかんだいって人間はランキングが大好き

 「自分はこいつらよりはずっと上だ」「上を見て嫉妬し、下を見て安心する」 という負の感情の有形無形の発露が、別に2ちゃんねるだけにありがちなものではない点は押さえておきたいポイントです。 国際的な調査機関が行う国別の 「幸福度ランキング」 とその逆である 「不幸度ランキング」 は毎年ニュースになっていますし、そもそも昔からある身分制度や宗教における魂の序列や世界の階層といった考え方、あるいは学校におけるスクールカーストなどなど、人間誰しもこうした感情を多かれ少なかれ持ち合わせているものでしょうし、ネット時代はそれが露骨に可視化されただけだと云えます。

 「2ちゃんで世界ランクとか騒いでる連中が キモイ」「メシウマとかドン引きする」 という話は世の常識があるとされる人たちの口からはよく聞く話ですが、別に2ちゃんや特定の板に限った話ではなく、多くの人間の中身はこれを書いている 筆者 も含め、しょせんそんなものなのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年4月7日)
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