同人用語の基礎知識

おもしれー女

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突然出会う、やたらインパクトのある女の子 「おもしれー女」

 「おもしれー女」 とは、女性が 主人公 で男性と出会う作品や、男性が主人公で女性と出会う マンガラノベ といった創作物において、常識外れで突拍子もない問題児、変な女の子のことです。 いわゆる ボーイ・ミーツ・ガール (少年と少女が出会い、そこから物語や事件が始まる) な作品では お約束鉄板 ともいえる ヒロイン属性 であり、しばしば物語の序盤にお相手となる男性と初めて顔を合わせ、その際に奇行やドジ・失敗、さらには罵倒や暴力を行い、それが逆に男性キャラの強い興味関心をひいて、「おもしれー女」 などと好意的に評価されることからこう呼ばれます。

 作品テーマが何であれ、作中の男性女性に恋愛関係が描写される作品の場合、この 「おもしれー女」 が女性主人公になるか、男性主人公と結ばれることとなります。 似たような言い回しに 「変わった女」「変な女」 などもありますが、意味するところはだいたい同じです。 これらの言い回しや意味するニュアンス、概念は、実はかなり昔からあるのですが、物語において格差のある男女の出会いでしばしば使われる 「ありがちなセリフ」 と認識されているだけで、さほど注目が集まることはありませんでした。

「女子高生の無駄づかい」 で 「おもしれー女」

「女子高生の無駄づかい」(カドカワコミックス・エース/ ビーノ)
「女子高生の無駄づかい」
(カドカワコミックス・エース/ ビーノ)

 「おもしれー女」 というある意味でキャッチーなフレーズとなり広まったのは、ニコニコ漫画の 投稿 作品として2014年11月に登場し、その後ニコニコエース (現「コミックNewtype」) で連載され アニメ (2019年7月) やドラマ (2020年1月) にもなった人気マンガ 「女子高生の無駄づかい」(女子無駄) に何度か登場した言い回しがきっかけであり、これが事実上の 元ネタ となっています。

 この作品はさいのたま女子高等学校 (さいじょ) に通う田中望 (通称 バカ)・菊池茜 (ヲタ)・鷺宮しおり (ロボ) 3人の個性的な女子高生が、さらに個性豊かというかひと癖もふた癖もある同級生や教師らと高校生活を過ごす日常系のコメディです。 マンガの時点で多くの ファン から支持される作品でしたが、アニメ化されると一気に知名度も上昇。 アニメ PV では 「個性派ぞろいの JK たちが、女子高生たちを無駄に浪費する学園ガールズコメディ」 との紹介がされています。

 ちなみに同作品におけるこのフレーズですが、イケメン の彼氏が欲しい田中があれこれ出会いの シチュエーション妄想 する中で、イケメンとの間で生じた架空のやり取りとして登場しています。 ゴスロリ姿 の田中が偶然イケメンの超売れっ子アイドルと渋谷の街中で出会い頭に衝突し、素顔を見られて 「正体を知られて騒がれる」 と狼狽するアイドルの胸倉を掴んで 「はぁ? どうでもいいけど早く謝んなさいよ!」 と毒づく姿にアイドルが 「俺を知らない上にそんな口を利くなんて…おもしれー女」 と紅潮しながら云っているシーンがあります。

 さらに話は続き、スランプ気味で自信を失ったストリートミュージシャンやプライドが高い高級レストランのシェフ、公園で鳩に餌をやっている懐の広いイケメンなどとの妄想に続きますが、いずれの場合も最後は頬を赤らめた 「おもしれー女」 であり、その話を聞く菊池が 「またおもしれー女かよ」「さっきからなんだよ、その 「おもしれー女」 ってフレーズ、気に入りすぎだろ」 と問うと、田中は 「なにって、三枚目のヒロインがイケメン落とすには面白路線攻めるしかないだろう」 とその理由を述べています (第1話 「すごい」)。

 これらのシーンは物語の核心部分に触れる男女の出会いではなく、あくまで田中の妄想の中での話なのですが、作品がヒットして話題となった事、使いやすいフレーズでもあり、食パンダッシュ などと同様にボーイ・ミーツ・ガールにおけるありがちなセリフ (および作品の傾向) を表す言葉としても定着したようです。 ちなみに同作品はこのフレーズに限らず、ネタ としてマンガやアニメにありがちなシーンやセリフ、既存作品の パロディ やオマージュがそこかしこに含まれた作品であり、また声優陣も豪華であり、その意味でも色々と盛り上がる作品となっています。

 ちなみにありがちなパターンとして 認知 されているほどなので、様々な作品で同じようなセリフが思い当たる訳ですが、何はともあれ真っ先に思い浮かべられる存在と云えば、やっぱり 「花より男子」 における主人公 牧野つくしと道明寺司あたりでしょうか。 とりあえず大金持ちとか名家・貴族といった誰もが憧れるような、本人もそれを鼻にかけて上から目線になりがちな男性が、平凡だったりおっちょこちょいで気の強い一風変わった女性に興味を抱く時にしゃべりそうなのが、この手のセリフということになるのでしょう。 その後、つくしと司・花沢類との関係性の中で作品は盛り上げっていきますが、物語を動かす一つの出発点だと云えます。

いわゆる 「勝ちヒロイン」「本命」 となる 「おもしれー女」

 女性主人公の他に複数のヒロインが登場する作品の場合、物語が始まる前から男性主人公と顔見知りの友人や 幼馴染、場合によっては いいなずけ の女性キャラがいて、おもしれー女は途中で転校してくるなり進学して同じクラスになるなり偶然どこかで出会うことになります。

 その後、誰が男性主人公と結ばれるのかが二転三転するエピソードで描かれるわけですが、「おもしれー女」 以外の女性キャラがどれだけ魅力的で健気な存在でも、最後には 負けヒロイン になってしまいがちなのは切ないです。 そもそもその作品と物語が 「おもしれー女との出会い」 から始まる以上、これは当然の結果なのでしょう (身も蓋もありませんが…)。

 またこうした出会い方をする女性キャラが、ことさらに奇行に走ったり ドジっ子 だったり、何か大きな秘密をもっていたり何を考えているかわからない個性豊かな存在なのは、作品を見る 読者 や視聴者に序盤から興味をひき印象に残るような強いインパクトを与える目的と、男性主人公が奇行やドジを笑って受け入れる純粋さや包容力、あるいはそれまで出会った女性とは違う新鮮さ、まっすぐなところなどに退屈な日常からの脱却を示す目的があるからでしょう。

 そのため男性キャラはイケメンで自信満々、大金持ちだったりモテモテの俺様キャラや、逆に何事にも興味関心が薄い 無気力・クール が最適でしょう。 これらの男性主人公が、それまで自分に言い寄ってきた女性とは全くタイプの違う 「おもしれー女」 に引っ張り回されたり尻を叩かれたり、逆にピンチを救ったりして、読者や視聴者にも非日常のあれこれを疑似体験させるわけですね。

 なお異性との恋愛ではなく、ヒーロー ものの作品で男性主人公が男性の相棒や仲間と出会う場合は、そのまま 「おもしれーヤツ」 などとなります。 一方、女性が主人公で男性と出会う恋物語 (ガール・ミーツ・ボーイ) の場合は、女性が男性に対して 「嫌なヤツ!」(…でもちょっと気になる…) あたりからはじまるのがお約束というか 王道 でしょう。

で、「おもしれー女」 はモテるのか

 奇行やドジ、乱暴、感情の起伏が激しい人物は、創作物の中では面白くて魅力的でも、実際に身の回りにいるとストレスを感じるものでしょう。 まして異性で恋人候補となればなおさらです。 しかしそれまでそうした女性と縁のなかった人は、そこに新鮮な驚きや強い興味を持つこともあるでしょう。

 俗に 「吊り橋効果」 と呼ばれるものがあります。 吊り橋やジェットコースター、お化け屋敷など、恐怖や緊張を強いられる環境にいると心拍数が上がって胸がドキドキしますが、このドキドキを恋愛のそれと錯誤して、一緒にいる異性を強く意識してしまったり、恋愛感情や好意を覚えてしまうという現象です。 また好きの反対は嫌いではなく無関心ともよく言われます。 好きとか嫌いという感情は方向性が違うだけで興味関心があることと表裏一体ですし、何かのきっかけで容易に 反転 しうるものです。

 空気のような存在よりは、悪感情であっても強いインパクトや興味を惹起する出会いの方がその後につながりやすいというのは、わりと実生活でも身に覚えがある感情の動きと云えます。 とはいえ、仮にそれで一時的に強く惹かれて好きになっても基本的に長続きすることはないような気がしますが、どうなんでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2020年8月20日)
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