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新宿アルタ/ スタジオアルタ

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明日来てくれるかな? いいとも〜! 「新宿アルタ」

スタジオアルタがある新宿アルタ
スタジオアルタがある新宿アルタ

 「新宿アルタ」(Shinjuku ALTA) とは、1980年に竣工した東京都新宿区新宿三丁目、新宿駅東口駅前にある、新宿のランドマークのひとつともされる多目的商業施設です。 ビルそのものはどこにでもある駅前の商業雑居ビルといった感じですが、国内最大の乗降客数を誇る JR新宿駅 (旧国鉄新宿駅) の至近で西武新宿駅の間にもあって、国内屈指の好立地にある施設といって良いでしょう。

 中でも同施設が有名なのは、7階部分に入っていた 「スタジオアルタ」(STUDIO ALTA) の生放送テレビスタジオとしての役割と、駅前広場に向かって設置された 「アルタビジョン」 と呼ばれる、当時としては国内最大の大型ビジョン (600インチ) の存在によってでしょう。

 同スタジオで制作された番組では、お昼の帯バラエティがとくに有名ですが (後述します)、その他にも各種テレビ番組の収録やライブイベント、映画の撮影、文化的な イベント の開催などなど、さまざまなメディア関連の活動が行われ、その一部はアルタビジョンで街頭テレビのように放映されています。

 なお名称のアルタ (ALTA) は造語であり、由来は 「オルタナティブ」(alternative) の単語文字の ALT と A とを組み合わせたものです。 もう一つの選択肢とか代替するものといった意味から転じ、既存のものに対して新しいものを発信する場といった願いが込められています。

昭和末期から平成までの 「国民の目」 の象徴として

 スタジオアルタ部分は開業と同時にフジテレビ系列のお昼の帯バラエティ 「笑ってる場合ですよ!」 の生放送収録スタジオとして稼働しています。 1982年10月からは後番組の 「森田一義アワー 笑っていいとも!」 の収録スタジオとして引き続き月曜から金曜までの週5日間に渡り稼働し、同番組が大人気となり国民的テレビ番組とも呼ばれる中、放送を通じて全国的な知名度を高めることとなりました。 この番組は2014年3月までの長期に渡って放映され (日曜には総集編も放映された)、それを担うアルタは日本でもっとも有名な商業ビルといっても過言ではないでしょう。

 またアルタビジョン部分は、収録中の番組の他、ニュースや広告、アーティストらの プロモーション などを 配信 し、1日20万人以上が通過する駅前からよく見えるだけでなく、新宿駅を経由する走行中の車内からでも見ることができました。 野外大型ビジョンがまだ珍しかった時代、その存在感は抜群なものでした。 大ニュースが起こった際には、そのニュースを報じるアルタビジョンに見入る通行人の が、新聞の号外を手にする通行人や街頭テレビに群がる 視聴者 らと同様に、視覚化しづらい国民の驚きの演出、しばしばその時代を象徴する風景として扱われてきました。

 それは元号が変わるとかどこかで大規模な紛争や災害が起こるとか、毎年の年越しカウントダウン、さらには創作物でリアリティを高めるための演出として同ビジョンとそれを見る通行人らの姿がよく使われがちです。 パニック映画や特撮における大地震や戦争、ゴジラとガメラが暴れればそれを報じるテレビ局の報道番組 (その映画に出資・協賛したテレビ局のもの) が流れるのはお約束? です。

 一方、スタジオ以外の部分には一般の商業ビルと同様に各種テナントが入居し、時代と共に中身が入れ替わります。 6階に位置するアナログレコード専門店 「HMV record shop 新宿」、および4・5階に位置する 「オカダヤ 新宿アルタ 生地館」(2018年8月から閉館まで) は、おたく腐女子、あるいは コスプレイヤー らにとっては独特の地位や知名度を持つ存在かもしれません。

 とくにオカダヤ 生地館は、国内屈指の品ぞろえであり、衣装用の高級生地やエナメルなどの特殊素材が10cmから10cm単位で少量購入でき、コスプレ やドール (着せ替え人形) の衣装作りに重宝する場として 認知 されています。 生地などは実物を見ないと実際の質感などが分かりませんし、オカダヤとユザワヤ (あと駅前からはやや離れるけれど世界堂) あたりは、新宿で服飾品の素材探しをする際の巡回ルートになっている人もいるようです。

惜しまれつつ2025年2月28日に閉館

 国内において抜きんでた存在感を持つ新宿アルタでしたが、「笑っていいとも!」 終了後はメディア露出も減り、その2年後となる2016年3月31日に約36年間にわたるスタジオとしての使用を終了しています。 以降は劇場としての使用が続けられてきました。

 一方アルタビジョンについても、時代を経るごとに野外大型ビジョンが珍しいものではなくなってしまったこと、とくに渋谷スクランブル交差点での4施設4面に及ぶ大型サイネージ群や、同じ新宿の西武新宿駅前、新宿大ガード東交差点に登場した ユニカビジョン (2010年4月/ スマートフォンと連動してイヤホンでクリアな音響も楽しめる)、さらにはアルタとビル1つ道1本挟んだ並びの位置にクロス新宿ビジョンが登場 (2021年7月) し、そこで配信される巨大猫の人気で新宿の顔といったポジションや時代を写す鏡の役割を喪失してしまいました。 おたく的な部分では、ビッグサイト にある大型ビジョン (1996年4月)、秋葉原 の UDXビジョン (2006年3月/ 国内最高画質とされる) の方が馴染みのある時代でしょう。

 とはいえ長年に渡って新宿のランドマークのひとつとして君臨していたこと、新宿を舞台にした アニメ やドラマ、映画や特撮がたくさんあって背景として効果的に描かれていたこともあり、ジャンル を超えた 聖地 としての側面も持っていた存在でしょう。 時代ごとに人々の興味や関心を集める商業施設は生まれますが、これほどの長期に渡って抜群の存在感を持つ施設は、今後はもう現れないような気もします (ビジョンはないものの、渋谷109 あたりも近い存在感を持っていますね)。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2014年9月8日)
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