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不要不急

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無駄かと思いきや、経済を回す大事な燃料だった…「不要不急」

「不要不急の外出は控えて」 政府、感染拡大防ぐため」朝日新聞 DIGITAL (2020年2月17日)
「不要不急の外出は控えて」 政府、感染拡大防ぐため」
朝日新聞 DIGITAL (2020年2月17日)

 「不要不急」 とは、必ずしも必要ではないし急ぐ必要もとくにない、優先順位の低いこと、やらなくてもいいことといった意味の言葉です。

 ただしことさらに ネット などで使われる場合は、2020年に世界的な感染拡大を引き起こし、日本においても多数の感染者や死者を出している新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の感染防止のための呼びかけ 「不要不急の外出は控えてください」 に由来します。

 こうした呼びかけを国や自治体が行い大手メディアなどでとくに大きく報じられたケースでは、2月17日に政府の専門家会議がテレワークの促進や時差出勤とともに不要不急の外出を控えるよう呼びかけたケースや、3月25日に東京都の小池都知事が週末の不要不急の外出自粛を都民に呼びかけたケースがあります。

 これらの呼びかけはいずれもその後、似たようなフレーズとなって繰り返し行われることとなり、併せて広く継続して人々の話題となり続けています。

3密、マスク、不要不急、8割…様々な感染拡大阻止策

 2019年末に中国武漢で初確認されたこの感染症は、日本では当初、2月3日夜に横浜港の大黒埠頭沖に停泊したクルーズ船 「ダイヤモンドプリンセス号」 での感染拡大によって注目を集めました。 3,711人の乗員乗客を乗せた同船では、時間と共に感染が拡大。 政府の対応などに批判が高まりますが、この段階では市中感染がほぼ生じておらず、どこか遠い出来事のような空気がありました。

 しかしその後、ヨーロッパ、ついでアメリカにも感染拡大が波及。 世界中で感染爆発 (パンデミック) が生じ都市封鎖 (ロックダウン) などが相次ぐ中、日本においてもじわじわと感染者が増加します。 政府は前述した2月17日の専門家会議の要請を皮切りに、2月28日から全国一斉での休校通知、4月7日から東京・大阪・神奈川など1都1府5県で緊急事態宣言も発令し (その後全国に拡大)、あわせて感染予防のための様々な自粛要請や注意喚起も行っていました。

「外出自粛「不要不急」とは 各自治体、目安づくりには慎重―新型コロナ」時事ドットコムニュース (2020年3月27日)
「外出自粛「不要不急」とは 各自治体、目安づくりには
慎重―新型コロナ」時事ドットコムニュース
(2020年3月27日)

 要請などで代表的なものには 「3つの を避けましょう」(密閉・密集・密接 を避け、濃厚接触 による感染を防ぐ) や 「マスク をしましょう」「こまめに手洗いをしましょう」 などがありますが、「不要不急の外出、帰省や旅行など都道府県をまたいだ移動は極力避けましょう」「最低7割、極力8割程度の接触機会の低減を目指しましょう」 との呼びかけも行われていました。

 誰かが感染すれば別の人に感染させるかも知れず、それが広がると重症者も増える、死者も増える、だから人との接触を出来る限り避けて、まずは自分が感染しない・感染させない行動をという訳です。 これらは 「行動変容」 と呼ばれ、そうしたことを行う生活は 「新しい生活様式」(ニューノーマル) と呼ばれました。

 ただしこうした要請は法律に基づくものではなく、あくまでお願い レベル の注意喚起であり、国民には移動の自由も認められています。 法の不備や、そもそも新型コロナウイルスのことがまだ良くわからないといった状況もあり、具体的に何が不要不急で何がそうでないのかといった基準は設けられませんでした。

 これには 「国や自治体はきちんと基準を示せ」「国民が混乱する」 といった批判もある一方、「お上に決めてもらわなければ自分にとっての不要不急も分からないのか」 といった反論もあります。 とはいえ8割程度の接触機会の低減はかなり厳しい数値であり、また明確な基準や目安がなければ結果的に過剰反応を招いて行き過ぎた自主規制が起こることも考えられます。 感染拡大と人の往来がなくなることによる経済活動の急激な縮小の間にあって、判断がとても難しいところではあります。

 なお前後して自治体ごとに様々な基準やガイドラインのようなものが示されましたが、これらも当然ながら厳密なものではなく、おおむね 「避けられない出勤・通院と生活必需品の買い出しなど以外」 が不要不急の外出に当たるとの趣旨の呼びかけとなっていました。

繰り返し呼びかけられることで、一般でも頻繁に使われる言葉へ

 不要不急自体は普通の日本語ですが、大手メディアなどで繰り返し何度も 「不要不急の外出は控えましょう」 が呼びかけられると、本来の意味や注意喚起を離れ、あえてこの言葉を使ったりアレンジされた言い回しなども登場しています。 「不要不急の〇〇をしました」 といった 書き込みSNS掲示板 で流行語、ある種の ネットスラング としても行われるようになりました。

 ただし事態が事態だけに、「政府の呼びかけを無視したぜ」 というやや露悪的な ニュアンス はありながらも、実際は外出などを伴わない巣ごもり・STAY HOME (ステイホーム) な行動が当てはめられるケースが多いようです。 例えば 「不要不急の部屋の大掃除をしました」「自宅にこもって友人と不要不急の オンライン飲み会 をしました」 といった感じです。

 また日頃からほとんど家にいるような人からは、「元から人との接触機会はゼロに等しいのに、そこからどうやって7割とか8割とか削減するのか」「そもそも俺の人生や俺の存在自体が不要不急だ」 といった 自虐的ネタ のような声もあったりしました。

「不要不急」 がないと生きていけない人も

「不要不急の外出は控えよう!」政府インターネットテレビ (2020年5月23日)
「不要不急の外出は控えよう!」
政府インターネットテレビ (2020年5月23日)

 一方、飲食業や観光業、エンターテインメント系イベント、遊園地や映画館といった娯楽施設などの遊興産業は客が激減、あるいは営業の自粛を余儀なくされ、雇用情勢や景気の悪化も懸念されることに。 店舗や企業の廃業や破綻も出始め、「雇用や経済を動かしていたのは 「不要不急」 だった」 といった意見も出てくるように。

 また 「不要不急の外出」 によって成り立っている産業がピンチになると同時に、これら 「レジャー」「リクリエーション」 によって仕事などのストレスや疲れを癒したり、日々の生活の楽しみにしている人たちからも悲鳴が上がり始めます。

 これは娯楽や趣味が本業のような おたく腐女子 の人も同様で、「やむを得ない判断とはいえ、コミケ が中止になって辛い」「アイドルや声優のライブに行けないのなら、何のために生きているのかわからない」「できるだけ我慢はするけど、いつまで続くか不安」 といった様々な 「不要不急の外出にまつわる話」 があふれかえることとなりました。

 ほとんどの不要不急の外出は、出勤や生活必需品の買い物、病院通いなどと異なり、それをしないとすぐに生活が破綻したり命にかかわるようなことではないのかもしれません。 しかし気晴らしや潤い、生きる活力を得られるものでもあるので、短い間ならともかく、何週間、何か月と続くと仕事や生活の先行きの不安も合わせ、精神的に辛いものがあります。

 またエンタテインメント系やイベント系の業務に携わる人はフリーランスで安定した収入の確保が難しいケースも多く、こうした状況がずっと続くと自分が 推して いるアイドルや声優・役者・アーティストらの 引退 や、劇団・音楽事務所の廃業・破綻も考えられます。 そうなると感染症が収束しても、二度と楽しむことができなくなるかも知れません。

 筆者 はもともと出不精で仕事もテレワークだったりもするので、普通の人よりは巣ごもり・引きこもり の耐性がある方だとは思いますが、出来るだけ早く気軽に外出できるようになって欲しいと思います。 っていうか、コミケもGWもライブも楽しみがいくつも中止で2020年は3月頃から時間が止まってます…。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2020年4月2日)
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