同人用語の基礎知識

〇〇警察

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単なるネタなのか知識自慢のマウントなのか正義感なのか…「〇〇警察」

 「〇〇警察」 とは、何らかの熱意を持っていたり特定分野に詳しい人が、他者の言動を調べて監視したり、マンガアニメ といった作品の 設定 やディテールを詳細に検証したり誤りを指摘したり、あるいは他人にそれを解説しているような状態を指す言葉です。 そうした行為を 「行き過ぎだ」「無粋だ」「野暮だ」 と批判的に示す場合もあれば、単に 「その分野にめっちゃ詳しい人」「特定班」 程度の意味で使う場合もあります。

 ネットおたく の界隈で使われたケースでは、同人 における人気 ジャンル である 「東方Project」 において、東方で活動している サークル作家 などが東方以外のジャンルに手を出すことを快く思わない東方の ファン が監視活動するさまを、ネタ・本気も含めて 「東方警察」 と呼ぶケースが話題となりました。 2010年代に流行した ネットスラング としての 「〇〇警察」 は、これが大きな発端のひとつでしょう。

 また誰かの イラスト などが別の人のイラストや写真・未購入の フリー素材 などのトレス・パクリだと指摘する 「トレス警察」、中世ヨーロッパ風の物語に中南米原産で当時ヨーロッパには存在しなかったジャガイモやトマトが登場することを指摘・批判する 「ジャガイモ警察」「トマト警察」(あわせてジャガトマ警察)、アニメ版 「艦隊これくしょん」 に登場する軍艦を 擬人化 した キャラクター公式 イラストで、空母系キャラが持つ弓矢の構えの不備の指摘、それに対する熱心な艦これファンのある種行き過ぎた反応で話題となった 「弓道警察」、文章で 「…」(三点リーダー) をひとつだけ、あるいは 「・・・」 などと中黒 (・) で記述することに目を光らせる 「三点リーダー警察」、着物の着付けや和装の知識・教養にうるさい 「着物警察」 なども、よく知られるものでしょう。

 本来、「監視する」「批判や晒し行為など何らかの私的なペナルティを与える」 ことと、「何かに詳しくて間違いなどに厳しい」 とは、それぞれ別の概念です。 しかし同じ 「〇〇警察」 と呼ばれ、またそれぞれの行動が密接に関係していることもあるので (ある程度詳しくなければ誰かを監視したり批判することもできないでしょう)、同じような意味として使う場合もありますが、厳密に分けて考える人もいます。

 これらの指摘や批判には、「一方的で病的なこだわり」 から積極的に他者を攻撃するような人によるものもあれば、単なる知識自慢で他人に マウントを取る のが目的なだけの人、あるいは野暮だと自分でもわかった上でファン活動の一環として面白おかしくネタとしてツッコミを入れて楽しんでいるだけの場合もあります。 しかし細部にこだわるすぎる面倒くさい人、攻撃的で指摘魔・クレーマーとも呼べるような一部の人の存在によって、小さな指摘や楽しみ方の一つとしてのツッコミにまで過剰に 「〇〇警察呼ばわり」 して批判・腐すような使い方も多くなってきています。

「〇〇警察」「〇〇ポリス」「〇〇コップ」「〇〇刑事 (デカ)」…いろいろある呼び方

 こうした 「〇〇警察」 あるいは 「〇〇ポリス」 といった考え方や言葉そのものの使い方は、テレビのバラエティー番組や情報系番組などで、有識者やタレントが VTR や出演者らに 「ダメ出し」 をする企画などで度々行われていました。 ファッション評論家が取材に応えた街中の 一般人 のファッションにダメ出しをしたりアドバイスをする、タレントが警察官風の衣装を身に着けテレビ局の通用口に検問を張って通行するタレントを停止させ持ち物チェックをする、などといった企画です。

 これらの企画やネーミングのさらなる源流というか パロディ の源泉に、番組改編時の緊急スペシャル番組でおなじみの 「警察24時」 あたりがあるのでしょうが、「監視する」「取り締まる」「検挙する(ダメ出しする・ツッコミを入れる)」 という一連の行為は 「〇〇警察」「〇〇ポリス」 という名称から容易に想像でき、使い勝手が良いので広まっているのでしょう。 似たような使い方は、うるさ型の多いマニアックな趣味の世界において、知識豊富で異常に詳しく、また正誤の判断や特定が迅速にできるような人を指して、かねてから見かけることがありました。

 前述した 「東方警察」 や 「弓道警察」、あるいはほぼ同じ時期に話題となった 「フォント警察」(2014年に小学4年生になりすまして衆議院解散選挙に異議を唱えるサイトが立ち上げられた直後になりすましが発覚・炎上 した事件で、サイトに使われたフォントなどを即座に特定した人たちなど) などの 「警察」 という言葉がどこから来て互いにどう影響しあったのかはわかりませんが、シャレの効いた呼び方としておおむね2010年代中頃から対象を問わず広く使われるようになっています。

 なお1990年代くらいには、「〇〇ポリス」 の他、「〇〇コップ」(Cop) という云い方もありました。 主に 18禁エロ い話題で自らの性的こだわりに沿ったツッコミやウンチクを入れるスタイルなどがあり、この辺りは 「ロボコップ」(1987年)「電脳警察サイバーコップ」(1988年) あたりのネーミングが影響していたのでしょうが、詳細は不明です。 当時はわりとこの 「〇〇コップ」 って名称は見かけましたね。 また 「〇〇刑事」(〇〇デカ) といった呼び方もポピュラーです。 これらは2010年代の 「〇〇警察」 に比べると、ずっとずっとネタとしてのニュアンスが強い言葉でした。

2020年の新型コロナウイルス感染症に伴う自粛で 「自粛警察」

「自粛警察」危うい正義感 強まる圧力「店シメロ」―専門家が警鐘・新型コロナ」 時事ドットコムニュース (2020年5月9日)
「自粛警察」危うい正義感 強まる圧力「店シメロ」
―専門家が警鐘・新型コロナ」 時事ドットコムニュース
(2020年5月9日)

 2019年末に中国武漢で初めて確認され、2020年初め頃からは世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)。 日本でも感染拡大阻止が急務とされ、感染者が多く出た都道府県などで自粛要請がでたり、同年4月7日からは人の移動や接触を減らすための強い自粛要請を伴う緊急事態宣言が国から出されるなど、社会生活に大きな影響を及ぼすこととなりました。

 そうした中、自粛しない人、あるいは自粛を無視しているかのように見える人に対して、一部の人が強いバッシングを行うようになりました。 具体的には、休業要請がされている中で営業を継続している飲食店や娯楽施設などへの 電凸 による苦情や非難の貼り紙、帰省や旅行など都道府県をまたいだ移動に自粛が要請されている中での他県ナンバーの車に対する嫌がらせ、暴言、さらにそれらへの SNS掲示板 などでの晒し行為や誹謗中傷の 叩き行為 などです。

 ネットでは、こうした人たちを批判的に 「自粛警察」 と呼ぶようになり、主に ツイッター などで ハッシュタグ化 するなど大きな話題に。 その後大手メディアなども行き過ぎた自粛圧力や相互監視や嫌がらせを 「自粛警察」 と呼ぶ報道を繰り返すこととなり、流行語のような形になってしまいました。

 その他の〇〇警察もそうですが、自分は正しい、正義 の側にいるのだと思うと、人はしばしば強い攻撃性を発揮します。 また自分以外の多くの人がそれを叩くことで、きっかけは自分の不快感やイライラを原因とする怒りであっても、「大勢の人が怒っている」「正義は自分の方にある」「これは自分個人の感情や私怨ではなく正義の怒りだ」 と極端な方向へ走りがちです。 本来人間には多かれ少なかれ攻撃性があるのだと思いますが、日ごろは罪悪感や反撃リスクなどから自制心が強く働き、表には出てこないものです。 しかし正義はその罪悪感を蒸発させ、多数派の中にいることで反撃リスクも忘れさせ、自分の攻撃性を正当化する力があります。 そのうち感覚もマヒし、叩くことに快感を覚えるようになるかも知れません。

 いったん自粛警察がこうした形でクローズアップされると、今度は正義感にかられた自粛警察叩きなども反対に起こるようになっています。 立場が入れ替わっただけでやっていることは同じです。 こうした 「自分が正義の側、多数の側にいる」 というある種の高揚感や怒りとうまく付き合えれば、自分だけでなく社会も明るくなると思うのですが、この辺りは 筆者 もつい囚われがちな方なので、簡単に答えなど出せない難しい問題だと痛感します。

 とりあえず SNS などで他人や社会、その他ありとあらゆることに毎日文句や愚痴ばかり云っている人とか、バズ ってもいない自分と同じような アカウントツイート を検索で探して必死に フォロー する、RT しまくるなどしている人とは、ちょっと距離を置いた方が精神衛生上も良いでしょう。 またそうした行為を自分が行っていたら、その原因はどこにあるのか、お風呂にでも入って ほかり ながらのんびり考えてみるのも良いのかもしれません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2016年1月7日)
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