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強い言葉

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弱い犬ほどよく吠える…話を止めて対話が不可能になる… 「強い言葉」

 「強い言葉」 とは、大げさ・過剰な表現、空威張りのような、中身に比べて意味や語感だけが不釣り合いなほど過激な言葉、あるいは人の感情を突き動かすような力強い言葉のことです。 使われる文脈によって、ポジティブ にも ネガティブ にも受け取られます。

 ネット においては、とくに 殺伐系 と呼ばれる論争やレスバ (レス による バトル) が生じる一部の 掲示板 などにおいて、声が大きいだけの 「弱い犬ほど良く吠える」「負け犬の遠吠え」 のような負の ニュアンス で捉えられることが多い表現かも知れません。 またネットで論争などが過熱し罵詈雑言や煽情的な言葉が飛び交うような状況に対し、「あまり強い言葉は使わないようにしましょう」 といった使い方もあります。 「悪口や誹謗中傷はやめろ」 では火に油を注ぎかねない 雰囲気 の場では、ちょっとオブラートに包んだ言い回しで 自重 を促すのに重宝するという部分もあります。

「絶対」「必ず」 とか 「死ね」「殺す」 とか

 強い言葉の代表格は、「絶対」「必ず」 といった断言系のものでしょう。 絶対とか必ずといった時点でその話の結論や決着がついておしまいになってしまいますし、それを口にした方には大きな責任が伴うことになります。 そこまで言い切っておいて、根拠が示せない、間違いでした、あるいはやっぱりできませんでしたは通らないでしょう。

 また 「死ね」「殺す」 あるいは逆に 「死ぬ」 なども、その言葉が出た時点で話し合いは終わってしまいます。 いずれも人命にかかわる言葉であり、「それを云ったらおしまいよ」 の最終的なものですし、その後それを実行するにせよしないにせよ、その言葉を口に出した瞬間、次のアクションは物理行動の有無に限られ、その人とのまともな会話や意思疎通は成立しなくなったといっても良いでしょう。

 これらの言葉は日常生活でも、とりわけ無責任な子供の口喧嘩などではちょくちょく出てきてカジュアルな使われ方をするものです。 それを見聞きする人の多くは、「どうせ絶対なんて言葉だけだろう」「殺せるものなら殺してみろ」「死ぬといって死んだ奴などほとんどいない」 などと、相手の話をまともに取り合ったりはしないでしょう。 強い言葉を日ごろから気軽に使うような人は自身の言葉に責任を取るつもりがない幼稚・不誠実な人で、「真に受けても意味がない」 ことを経験上知っているからです。 これは机上の空論や俗にお花畑と呼ばれるような空疎な理想論やきれいごと、精神論 や、いわゆる 陰謀論 がまったく相手にされないのと同じ道理です。

 とはいえ、自分の発した強い言葉に自分自身が引っ張られ、勝手に追い詰められて凶行に及ぶ人もいますし、実際にネット上のいさかいが元で殺人事件や自殺 (自死) も起こっています。 死ねだの殺すだのをネットに 書き込ん だら 普通 に警察に通報されて捕まるのが当たり前の世の中ですが、それ以前に、そうした言葉を使う人とは距離を置くのが常識的な判断でしょう。

 同様に強い言葉として、他者への罵倒やレッテルとしての 「犯罪者」「犯罪者予備軍」 や 「差別者」 あるいは 「クソ」「キモイ」「ブス」「基地外」「ガイジ」 などもあります。 あるいは創作物に対して行うセクハラ呼ばわりや 児童ポルノ 呼ばわりなども、言葉の暴力だとして強い言葉とされることがあります。 またそれ自体は強くなくとも、強調する効果の高い言い回しもあります。 例えば 「日本人は」「男性は」「女性は」 といった 主語の大きな 表現とか、最高とか最強、究極、無限といった 最上級表現 などです。 ネガティブな最上級としてよく用いられるものには最悪や地獄 (ヘル)、絶望などがあります。

 これらもネットで注目を集めたり自分を大きく見せるために一部の人がやたらと使いがちな言葉であり、ある意味で 「強い言葉のインフレ」 が生じている部分もあります。 他者を攻撃するきつい言葉 (ちくちく言葉) にせよ、自分を大きく見せるための大言壮語にせよ、何かと大げさな表現が使われがちな現代、その言葉の本来の意味を時々は噛みしめて見るのも、無用な トラブル を未然に防ぐ意味でも有意義かもしれません。 まぁ ネットスラング せよ おたく用語 にせよ、意味が通じる言葉の中でどれだけ強いものを選んで表現するかの競争みたいな部分もあるので、中々難しいものなのでしょうけれど。

「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」

 なお マンガ 「BLEACH」 において藍染惣右介が日番谷冬獅郎に対して発したセリフに 「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」 があります。 人気マンガの名セリフとして、あるいはネット上で相手を揶揄し 煽る 目的でこのセリフを使うことがよくありますが、強い言葉を巡る 解釈 としてこれくらい適切なものもないでしょう。 ネットで使われる 「強い言葉」 という言葉の 元ネタ がこれなのかは議論の余地がありますが、広めた大きなきっかけのひとつであることは間違いありません。

 「弱い犬ほどよく吠える」 と同様、本人は強い言葉で相手を威圧しているつもりでも、自分の実力を知らないうぬぼれによる驕り高ぶりだったり、あるいは逆に自分の恐怖を打ち消すために頑なに強い言葉を使っているだけだったりが、周囲にはバレバレの場合が多いでしょう。 人間、生きていれば強い言葉を使わなくてはならない時もあるのでしょうが、それが今なのかどうかは、立ち止まって考えたいものです。 吐いた唾は呑めぬものです。

人を動かしたり、パワーワードだとして好意的に取り扱われる場合も

 強い言葉にはポジティブな意味ももちろんあります。 苦境にある他者や自分を奮い立たせたり力を与え、前向きな行動につながるような言葉です。 言葉などは文脈や解釈によって受け取り方は人ぞれぞれですし、勇気だの 正義 だのといった言葉は時に空疎で意味のない理想論やきれいごと、精神論だと思われてしまうことも多いでしょう。 このあたりは負のニュアンスと同様、責任や行動が伴わなければ言葉自体も無意味になってしまうということなのでしょう。

 一方、ネットスラングで パワーワード という言い回しもあります。 こちらはほとんど ネタ として扱われることが多い概念で、聞く者に有無を言わせぬ異常なほどの説得力がある言葉、あるいは意味も分からないし辻褄もあっていないけれど、なぜか思わず納得させられてしまう、心が震えてくる魂の叫びみたいな意味で使われます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2018年11月12日)
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