ホームページを創って公開する土台 「レンタルサーバ」
「レンタルサーバ」 とは、サーバ を貸し出すこと、一般の個人向けでは主に ホームページ (ウェブサイト) やアプリを公開・配信 するための ホームページスペース (ストレージやデータベース、サーバに関する機能全般) を貸し出すサービスのことです。 ホスティングサービスと呼ぶこともあります。 略して 「レンサバ」 とか、サーバの 誤変換当て字 である 「鯖」 を使って 「レン鯖」 と呼ぶこともあります。
用途や予算に応じて無料・有料、各種機能のあるなし、データの 保存 容量や転送速度、転送量制限のあるなし、あるいは業者の国内・海外など、様々な選択肢があります。 単に HTML や 画像 などのファイルを アップロード して外部公開できるだけのものもあれば、メール や 掲示板、チャット、ゲーム、ブログ や Eコマース (店舗)、wiki などの CMS (コンテンツ管理システム) や、そのための CGI・php・データベースなどの設置・稼働ができたり、独自ドメインの 設定 ができるものもあります。
自由度は予算さえ許せば何でも可能な自社・自宅サーバには及びませんが、面倒な管理や OS の アップデート、バックアップ なども業者にお任せなので運用が楽なのは助かります (契約内容によります)。 また知識や技術力があって使いこなせれば、レンタル中はサーバの仕様自体は変更できなくても、許された範囲内でかなり自由に使える点がレンサバの魅力です。 もちろんより自由度の高い契約に切り替えることもできます。
何を基準として選ぶかは用途次第ですが、一般的なホームページに求められる代表的な機能は メジャー なサービスならどこもおおむね満たしているので、通信速度やストレージ・転送量の容量、障害やそれに伴う復旧や メンテナンス の頻度、そして料金がレンサバ選びの大きな要素でしょうか。 その他、2011年の東日本大震災以降は大規模災害時のシステムの継続性 (企業などの事業継続性/ BCP に寄与する能力) が改めて重要視されたり、同人 の世界では規約でアダルトが扱えるかどうかなどが気になるところでしょう (後述します)。
料金支払いは初期費用の他、月額とか3ヶ月払い、半年払い、年払いなどで対応しているところが多く、初めて使う業者は無料お試し期間がある業者を選んだり月額から始めるか、ネット での評判に頼って検討してみるのが良さそうです。 価格が品質に直結しがちでもあるので、とくに膨大なアクセスが予想される場合は、最初から上位プランを選ぶ方が無難かもしれません (下位プランだとすぐに転送量オーバーで止まってしまいがちです…)。
大小さまざまなサービス業者が存在
国内で個人向けの利用者が多いのは、さくらのレンタルサーバやロリポップ!(lolipop!/ GMOペパボ)、エックスサーバー(XSERVER)、コアサーバー (CORESERVER/ GMO)、コノハウィング (ConoHa WING) などでしょうか。 いずれも簡単な申し込みですぐに利用でき、利用料金もわずかな初期費用と個人向けの低額プランなら月額数百円程度の固定料金制となっています。 アクセス解析サービスを行っている忍者ツールズの忍者ホームページ、独自ドメイン取得や管理サービスを行っているお名前.com のレンタルサーバも、面倒なあれこれをひとまとめにできることから利用する人も少なくありません。 この他、国内外で大小さまざまなサービスが存在します。
業務用としてよく使われるのはこれらのサービスの上位プランの他、Amazon の AWS あたりですが、AWS や業務用でよく使われるサービスはサービス内容や料金の体系もかなり異なり、個人で気軽に利用できるような感じではありません。 管理画面などは 「わかっている人向け」 ですし、例えばアクセスが増えて転送量が一定の数値を超えるとその分高額の従量費用がかかることもあります (一般的には一時的にサイトが凍結されるだけみたいなのが多い)。
なお自社でサーバを立ち上げて管理している業者もいれば、大手のレンタルサーバを借りて、そのサーバ領域やデータ転送のための帯域を細かく分けて リセール しているレンサバ業者もいます。 大手業者のサーバは性能は良いものの高額なため、こうしたリセール業者が間に入ってうまく調整してくれるわけですね。 何らかの機能に特化したサービスを比較的安価に大手業者なみのパフォーマンスで提供しているような業者もいて、目利きができると 費用対効果 の高い運用ができるかも知れません。 また特殊用途として、匿名性・秘匿性の極めて高いレンサバなどもあります。
ちなみにネットを利用したファイルのやり取りにはサーバが必須ですが、個人間の端末同士を直接つなげるなどしてサーバを介さないデータのやり取りをする方法もあります。 これらは ファイル共有ソフト (p2p) と呼びます。
同人サイトの場合、アダルトのあるなしがひとつの分岐点
同人関係のサイトを立ち上げる場合、アダルト (エロ・18禁) の要素があるかないかでも選択肢がだいぶ変わります。 国内向けにサービスを提供している無料もしくは安価なレンサバはおおむね非エロ・健全 な内容のみ許可しており、エロも OK となると業者向けの比較的高額なレンサバしか選択肢がないこともあります。
エロと云っても実写エロ、それもセックス描写などがあるものと、イラスト でちょっとお色気がある程度ではだいぶ取り扱いや印象が違いますが、エロ禁止のレンサバで18禁絵やエロサイトを公開すると アカウント が凍結・BAN されて利用できなくなったり削除されたり、「エロ禁止サーバでエロサイトをやっている」 などと第三者に指摘され、最悪の場合は 炎上 が生じる恐れもあります。
また女性向けの同人サイトに特有というかありがちな 検索よけ とか パスワード請求制 といったアクセスの制限などでは、.htaccess の設置や metaタグ の利用が欠かせません。 ホームページスペースによってはこれらの設置や設定ができない場合があり、その場合もそれに適したレンサバを選ぶ理由となっていることもあります。
うちのサイトも 同人用語 を解説する都合上、エロな内容は避けて通れず、当初はニフティのホームページサービスを利用していたものの、内容にエロが入るようになったことや同サービスのリニューアルなどもあり、独自ドメイン+自家サーバに切り替え、その後はアダルトも OK な業者向けレンタルサーバに移行しました。 一部の女性向け用語の解説などでは、クイズ制 などに配慮して検索よけをする必要にも迫られていて、プロバイダのスペースでは機能的に不十分だったこともあります。
国内のアダルト業者 OK のレンサバは、当時アクセスが多かったこともあって正直 趣味 で払うにはかなり厳しい額の負担でしたが (うちは アフィ とかもほとんどやってないし、コミケ の時期などはアクセスが跳ね上がって一時的に基本料金に加えて10万円を超えるような従量費用がかかったこともあります…)、しばらくするとレンサバ自体の利用料金もだいぶ下がり、現在はアメリカの安価なレンサバを年契約でずっと使っています。
ちなみに仕事や趣味で前述した大手レンサバは一度くらいはだいたい使っていますが、AWS はもちろん、国内ではやっぱりさくらは安定していますね。 さくらは原則アダルト禁止なので仕事でクライアント用のサーバの設定やウェブサイトの 運営 をしただけですが…。 なおアダルトが規約上大丈夫なサーバでも、日本の法律に違反する内容のもの (局部 露出 などの わいせつ表現 や 児童ポルノ) や 割れ物 の配布などは 普通 に警察がやってきて逮捕 案件 です。 間違っても うp しないようにしましょう。 画像掲示板や アップローダー の運営も要注意です。
手軽に利用するならホームページスペースも
標準的なホームページを開設するだけなら、無料や有料のホームページスペースが便利でしょう。 とくに有名なのは ジオシティーズ (GeoCities/ 塩) やその日本版 (和塩) で、 1990年代から2000年代にかけて個人向けホームページ作成の代名詞ともなっています。 その他、ニフティや Yahoo! をはじめ大手プロバイダはおおむね無料か安価なサービスを持っており、こららの利用が手っ取り早いと云えます。
サービス内容や機能はそれぞれですが、ジオシティーズのように利用者が HTML で自由に作成ができるホームページタウン形式や、ftp を使ってデータをアップする形式のものなどがあります。 ただしこちらはあくまでホームページスペースであり、サーバそれ自体をレンタルしているわけではありません (なおジオシティーズは、海外版は2009年、日本版は2019年にサービスを終了しています)。
日本ではこの他、携帯電話 (ガラケー/ フィーチャーフォン) での利用を前提とし、主に女子中高生らによく利用されていた魔法のiらんど などもあります。 これらはケータイホムペなどと呼ばれていました。








