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手軽にホームページを制作・公開! 「ホームページスペース」

 「ホームページスペース」(HPスペース) とは、インターネットホームページ (ウェブサイト) を制作し公開・配信 するためのプラットフォームや、HTML画像 などのファイルを アップロード するための サーバ を賃貸しするサービス (レンタルサーバ・ホスティングサービス) のことです。 無料のもの、原則無料で一部に有料・課金 要素のあるもの (広告が非表示になるとか URL を変えられるなど)、および有料のサービスがあります。

 無料ホームページスペースで代表的なのはプラットフォーム型で、パソコンで管理画面を操作してページを作成したり、データをアップロードしたり、あらかじめ用意されている テンプレート で大まかな形を作り、管理画面の操作でカスタマイズしていくものが代表的です。 ホームページタウン型とも呼ばれます。

 代表的な存在はジオシティーズ (GeoCities/ 塩) やその日本版 (和塩) で、作ったホームページ (マイページ) は テーマ ごとにジオシティーズ内の ジャンルカテゴリ としても整理され、外部から閲覧できるのはもちろん、全体で一つのポータルのような形となっています。 ネット黎明期から存在し、またその使いやすさから、1990年代から2000年代にかけて個人向けホームページ作成の代名詞ともなっています (海外版は2009年、日本版は2019年にサービスを終了)。 その他、トライポッド (Tripod) やインフォシーク (infoseek) をはじめ無料のホームページスペースはたくさんあり、また Nifty や BIGLOBE、Yahoo!、ASAHIネットをはじめ大手プロバイダも、おおむね無料か安価な類似のサービスを持っています。

 一方レンタルサーバ型は原則としてネットにつながっているサーバ領域を貸し出すものですが、個人向けの手軽なサービスの使い勝手は、プラットフォーム型とたいした違いはありません。 ただし業務用としても使われるサービス形態なため、用途に応じた様々なタイプのものがあるのが特徴です。 自分でサーバを建てるより 費用対効果 に優れた運用ができる点がメリットです。

 いずれも ftp を使ってデータをアップしたり管理画面で 編集 や更新などを行いますが、メール掲示板チャット といったホームページにつきものの代表的な機能や、時代を下ると ブログ や Eコマース (店舗)、wiki などの CMS (コンテンツ管理システム) がそのまま使えるようになっているサービスも増えています。 利用者が個別に好みの機能をつけられるよう、CGI・php・データベースなどの設置・稼働ができたり、独自ドメインの 設定 ができるものもあります。

日本特有の携帯電話ホームページスペースで作る 「ケータイホムペ」

 いわゆるインターネットブームやホームページブームが起こったのは1995年に MS Windows95 が発売されて以降、1990年代後半ですが、日本の場合、これに前後する形で急速に普及した携帯電話 (ガラケー/ フィーチャーフォン)、とくに NTT DoCoMo の i-mode (1999年) を中心とした携帯・モバイル サイトが盛り上がったのが、海外のそれとは大きく異なる特徴でしょう。

 とりわけ i-mode と同じ年にサービスを開始した 「魔法のiらんど」 は若い女性たちから強い支持を受け、自分のホームページを作ったり人の作ったそれを見るだけでなく、プロフィール や日記、画像倉庫、掲示板、アンケート、ランキングなど次々に実装された機能などを通じて、総合コミュニケーションツールや 趣味 が近い仲間との出会いの場としても機能するようになります。

 魔法のiらんど は後に小説 投稿 サービス (ケータイ小説) としても格別な発展と成長を遂げますが、パソコンがなくても誰でもネット上に自分のページを持てる時代を先取りするものでもありました。 一般的には2005年にケータイ小説として連載され大ヒットした 「恋空」 あたりから メジャー な世界でも高い 認知 や注目を得ますが、10代から20代の若い女性、とりわけ中高生女子からの支持はそれ以前からずっと圧倒的で、これら携帯で閲覧したり更新したりを前提としたものは、ケータイホムペやケータイサイトと呼ばれるようになりました。

 同様のサービスは他にもフォレストページ (forest page)、ナノ (nano)、リゼ (Lyze)、エムペ!、フリーページ、モバイルスペースなどもありましたが、主に女性が使っていたサービスの多くはケータイ小説や 夢小説、お絵描きといった文芸創作や 二次創作 と強い親和性やつながりがあり、検索よけ とか 無断リンク の禁止、キリ番リク絵トプ画 といったネットにおける女性同人文化を作り上げたり広めた土台だったと云って良いでしょう。

 これらのサービスはよりスマートで情報発信力の強いブログの登場や 「小説家になろう」(2004年の) などの小説投稿サイトの流行、「mixi」(2004年) や ツイッター といった SNSイラスト に特化した pixiv (2007年) の登場、さらにガラケーからスマートフォン (スマホ) への端末の変化で徐々に衰退します。 しかしアナログ・紙文化である 同人誌同人イベント などの活動や、パソコン通信 やインターネット初期の fj といったニュースグループ、あめぞうや 2ちゃんねる といった大規模匿名掲示板の流れとも一部は合流しながら、それ以前からの同人や おたく腐女子 文化を巻き込みながらその後の ネット同人 (オン専) のど真ん中を築き上げた、ちょっとした小宇宙といっても良い規模感と存在感でしょう。

 この他、後のブログの先駆けでもあった 「さるさる日記」(1999年)、プロフィールに特化した 「前略プロフィール」(2004年) などなど、1990年代後半から2006年あたりまでは、個人が気軽にネットで情報発信できるサービスが次々に登場し、「ネットがあって当たり前」 から 「リアルとネットを分ける意味がないくらい当然のもの」 という時代に入ります。 なお物心がついた頃にすでにネットが普及していた世代 (ネットがない時代を知らない世代) は デジタルネイティブ と呼びます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年8月22日)
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