まずはこれがなくては始まらない! 「サーバ」
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| ネット時代はサーバがあってこそ (寐津菟かき子) |
「サーバ」(サーバー/ server) とは、ネットワーク 上でサービスやデータを提供するコンピュータやソフトウェアを総称する言葉です。 一般的には複数の端末やその端末で動くアプリケーション (利用者側のクライアント) からの要求 (リクエスト) を受け取って、それに応じた処理や応答を返す役割を持ちます。
言葉そのものは英語の server で 「奉仕する」「提供する」 を意味する serve、それを行う役割の人、すなわち給仕人とか奉仕人を意味する server が由来となっています。 自分 (自社) で立ち上げたものは自前サーバや自宅サーバ、あるいは自社サーバ、サーバを貸し出すサービスは レンタルサーバ (レンサバ) と呼びます。
日本では 誤変換当て字 で漢字の 「鯖」 がサーバの意味としてしばしば用いられ、前述の立ち上げ主体にそって自社鯖とかレン鯖と呼んだりします。 サーバを管理する人はそのまんまですが サーバ管理者 (鯖管) で、鯖缶と書くこともあります。
サーバの用途は様々ですが、一般の利用で多いのは インターネット の ホームページ や各種サービスを提供する Webサーバ、メール の送受信をするメールサーバ、データやファイルをやり取りするためのファイルサーバやデータベースサーバなどがあります。 ユーザが外部サーバと情報のやり取りをする際に、ユーザの代わりにアクセスして安全性や利便性を高める プロクシサーバ などもあります。 プロクシを通した接続では IP がプロクシのものにできたりもするので、接続元を偽装・秘匿するための中継サーバとして使ったりもします。
「サーバ」 と 「サーバー」 どっちが正しいか問題
「サーバ」 と 「サーバー」、語尾を伸ばすか伸ばさないかという呼称問題があります。 日本では製品やサービスの品質や安全性、性能などを定めた国家規格 (産業標準化法) でカタカナ語の3音以上の場合は語尾を伸ばさない (長音を付けない) と定められており (JIS Z8301規格)、規格上は 「サーバ」 が正解です。 ただし慣用的にサーバーと呼ぶこともありますし、一方が必ず正しいというわけではありません。 英語話者の発音も人によって違うしどちらとも取れる感じですし。
その後2019年には規格が改訂され、今度は 「サーバー」 が正しいとされるようになりました…。 こちらもサーバーを原則としながらも旧表記であるサーバが間違いだとまでは定めていないので、ちょっと曖昧な感じです。 まぁコンピュータとコンピューターとか、似たようなあれこれはカタカナ語にはつきものではありますし (他にも メイド とメードとか)、言葉は時代とともにかわるものでもあるので難しい問題です。 なおこの改訂の際に、JIS規格の名称も日本工業規格から日本産業規格に、あわせてロゴマークなども変更されています。
物理サーバと仮想サーバ、様々なサーバの形
サーバには様々な種類がありますが、大きく分けると物理サーバと 仮想 サーバがあります。 物理サーバはサーバ用に作られた高い処理能力や大容量のメモリ、信頼性の高いストレージや万が一の場合を想定した冗長性のある 電源、および過酷な使用に耐える堅牢性や冷却機構を備え、長期間・24365 稼動を前提に設計されたコンピュータ本体を指します。 この本体にサーバ用の OS と各種サーバのソフトウェアをインストールしてサーバとして使用します。 ハードウェアサーバと呼ぶこともあります。
物理マシンとしてのコンピュータ本体の基本的な機能は他のコンピュータとさほど変わらず、一般に広く使われているパソコンでも OS やソフトウェアをインストールすればサーバとして使えますし、HTML ファイルや 画像 をリクエストに応じてちょこちょこデータ送信する程度ならそれでも十分です。 ただし長期間の連続運用など、ある程度過酷な運用をするなら性能や安全性の上でちょっと厳しいかもしれません。
ちなみにうちのホームページを自家サーバで何年間か運用していた時は、使わなくなったノートパソコンを使用していました。 サーバを建てたのは サークル の仲間だったんですが、省電力だし内臓バッテリーでも稼働するので UPS (無停電電源装置) もいらなくてそれで十分だったんですね。 サーバの OS は UNIX系やLinux系、Windows系がありますが、うちは Windows NT (現:Windows Server) でした。
仮想サーバは物理サーバ (ハードウェア) の上で 起動・稼働しているシステムの上でさらに稼働するものを指して使います。 物理構成によらずに複数のサーバが必要だったり、柔軟な分割・統合を行いたい場合に、ハイパーバイザーを用いて1台の物理サーバ上に複数の仮想サーバを建てて運用できる点がメリットです。 バーチャルサーバの他、ハードウェアとの対比でソフトウェアサーバと呼ぶこともありますが、一般的には webサーバやメールサーバといったアプリケーションとして使うためのものをそう呼ぶことが多いでしょう。
また物理・仮想そぞれの仕組みをネットを介して提供する場合は クラウド サーバと呼びます。 有名なのは AWS や Azure、GCP、さくらのクラウドなどのプロバイダが提供するクラウドサービスで、自社で物理サーバを立てたり仮想化して管理するより手間もかからず、費用対効果 に優れた運用が可能な点が特徴です。
これらは特定のプロトコルやサービス (HTTP、SMTP、FTP、SQLなど) に従って通信を行い、利用目的や頻度に応じて選ばれたり組み合わされたりして活用されます。 ただし末端の利用者はその仕組みを理解する必要はなく、あくまでクライアント側のシステムを介して間接的に利用することとなります。 ネットワーク (通信網) そのものと並び、現代の IT、あるいは情報化社会である現代においては社会全体の重要なインフラのひとつといって良いでしょう。
個人向けのレンタルサーバやホームページスペースはとにかく手軽
おたく や 同人 の世界で意識されるのは、自分でサーバを建てなくても利用でき、自分や サークル のホームページをネットで公開するためのレンタルサーバでしょう。 サーバの管理 (自分が利用できる領域のみ) ができればメールや 掲示板、チャット はもちろん、ゲーム を動かしたり、ブログ や wiki などの CMS (コンテンツ管理システム) や、そのための CGI・php・データベースなどの設置ができたり、使いやすいように 設定 ができるものもあります。
一方、単にホームページを作るだけなら、ホームページスペースと呼ばれる手軽に利用できるサービスもあります。 拡張性は自宅サーバやレンサバには及びませんが、充実した テンプレート を持ち、css などが理解できていればある程度自由にカスタマイズができるものもあります。 メールや掲示板、チャットや アクセスカウンター、アクセス解析などなど、基本的な機能もいちいちそれ用のアプリをインストールせずともクリック一発で設置できるのも便利でしょう。 操作が簡単なのが大きなメリットです。 またパソコンがなくとも携帯電話で簡単に立ち上げられるものもあります。









