手軽にいつでもどこでも写真撮影&共有ができる! 「写メ」
「写メ」 とは、「写メール」(写真メール) のことで、カメラ機能がついた携帯電話が登場した際に、携帯で撮影した写真を 画像ファイル として メール に添付して送受信する機能を指す言葉です。
語源は J-フォン(J-PHONE/ 後に Vodafone、現ソフトバンク) が開始したメールを使った画像送受信サービス名・登録商標 「写メール」 で (後に登場した 動画 版はムービー写メール)、すぐに略語として 「写メ」 となり一般名詞化。 その後は J-フォン以外の携帯キャリアの同種後発サービスも写メと呼ぶことが広がると共に、メールの送受信を問わず、カメラ付き携帯電話で写真を撮ること、撮った写真そのものをも写メと呼ぶようになっています。
携帯で手軽に写真を撮って保存できる、共有できることの凄さ
当時はまだ一般向けのデジカメなどがさほど普及していませんでした。 一部のマニアや おたく な人たちを除けば、それまでの 「フィルム (銀塩) カメラにつきものの現像やプリント (紙焼き) が必要ないデジタル写真の撮影・記録・保存」 に初めて触れるのが写メだったとも云え、それらを含めた代名詞のような扱いを受けていたといって良いでしょう。
当時携帯キャリア各社は NTT docomo が圧倒的シェアを持ちつつも、様々な企業が通信事業に参入したり登場したりで合併などによる勢力図の書き換え、ブランド 名の変更を行っていました。 J-フォンは当初デジタルホンとデジタルツーカーの共通ブランド名として1997年に登場しましたが、2000年に吸収合併によって企業名となり、11月1日に国内初のカメラ付き携帯電話 「J-SH04」(SHARP の第二世代携帯) の発売と 「写メール」 の大々的な プロモーション を行いました。 すぐに爆発的な人気となり、新生 J-フォンは 「カメラ付携帯ナンバーワン」 を キャッチフレーズ に シェア の拡大を図っていくこととなりました。
当時 筆者 はアナログ時代からの docomo ユーザーでしたが、2台持ちするなら J-フォンでしょということで、SDカードスロットがついて撮影画像の取り扱いが便利になったJ-SH51 (2002年) から使うようになりました (その後京ぽん (AH-K3001V/ Webブラウザが乗っていて ホームページ がそのまま閲覧できるとして大人気だった機種) 発売を機に2004年からはJ-フォンと DDIポケット (WILLCOM) の2台持ちに)。 この頃は携帯電話やパソコンの モバイル 環境 もどんどん進化してて、とても楽しかった記憶があります。
現像やプリントがいらないデジタル写真のインパクト
写メの最大のインパクトは、現像やプリントがいらない (カメラ店の現像紙焼きサービスを介さなくて良い) こと、撮った写真をその場で見ることができること、そしてそれをメール (ネット) を通じて簡単にやり取りできることという、今でこそ当たり前ながら、当時としては画期的なあれこれを日用必需品になりつつあった携帯に全部乗せした部分でしょう。
現像やプリントが不要なので現像代やプリント代もいりませんし、カメラ店や現像所には出しずらい写真 (例えば裸とか性器とか わいせつ に該当するもの) も記録できてしまいます。 それ以前にもポラロイドカメラなどでは同じことができましたが、当時の写メ携帯の画質や 解像度 はともかく、コスパ や手軽さでは比較にもなりません。
またそれを離れた第三者とすぐに共有できるというのも大きく、1999年2月からサービスを開始した docomo の iモード(i-mode) とその類似サービスなどと合わせ、世の中や多くの人の 日常 を大きく変革したものだったと云って良いでしょう。 一方で、あまりに写真撮影が手軽に、また個人的に行えるようになったため隠し撮りや 盗撮 のリスクが高まったり、望まない恥ずかしい写真の 拡散 (リベンジポルノ など) が生じるという負の面もありました。
創作物においても 「作内撮影」 の描写に多用されるように
当然ながら創作物の世界でもすぐに写メは取り入れられ、とりわけ エロ い作品における 作内撮影 (エッチな姿を写真や動画に撮る) といった描写に必須のものとなりました。 「写メしようぜ」「写メしちゃだめえ」「写メ消して」 みたいなセリフが、当時流行した二つ折り携帯と共によく見られるようになりました。
それ以前までは、一般に普及していたビデオカメラを使ったものが多かったのですが (こちらも旧来の8ミリ映画 (8ミリシネ) と異なり、現像が必要ない、その場ですぐ確認できる、アダルトビデオ (AV) の存在など) からエロ撮影描写によく使われていました。 ポラロイドが用いられたり、暗室といった現像・紙焼き設備を持つ カメコ や 学校 の写真部なども使われていましたが、徐々に写メへと置き換えが進んでいます。 2009年6月に iPhone が日本で販売され急速に普及が進むと、2010年以降あたりからはスマホ (スマートフォン) にその役割はバトンタッチしています。
ガラケー衰退、カメラ写真と携帯写真の区別の意味もなくなり、もはや写メは死語に
その後写メという言葉は旧来の携帯電話 (ガラケー/ フューチャーフォン) の衰退などもありすっかり使われなくなり、若い人の間では古めかしい言葉や死語、あるいは一度も聞いたことがない言葉のような扱いになっているかもしれません。
そもそもカメラを使った普通の写真と写メとを異なる言葉で使い分ける必要があったのは、カメラ (コンパクトカメラとか一眼レフとか) を携帯とは別に持ち歩いたり使用すると云う前提があってのことです。 インスタントカメラによる写真撮影はまだ文化として比較的若い層に残っていますが、こちらはすでにチェキなどと別名詞化していますし、写真を撮るのがスマホだけになったのなら、もう写真と写メを分ける必要はありません。
またメール自体も使われなくなってきたので、その意味でも写メの言葉としての意義は喪失しているのかも知れません。 センター問合せ もめっきり聞かなくなりました。 筆者も iPhone が国内で発売されると購入し、少し遅れて登場した国産ガラケーやスマホと2台持ちしようとしたものの、性能差というか、とくに国産スマホのあまりの使い勝手の悪さに諦めてしまいました (どの機種とは云いませんが…)。 まぁ一眼レフはわりと持ち歩ていますが、区別する必要がある場合はスマホ写真などと呼んで、写メはめっきり使わなくなりました。





