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服を着た男性たちの中に裸の女性が1人… 「CMNF」

 「CMNF」 とは、しっかりと 着衣 した男性 (しばしば複数) と裸 (全裸 や局部露出、あるいはそれに近い状態) の女性がおおむね一人か少数といった シチュエーション を指す言葉です。 英語の 「Clothed Males and Naked Females」 の略であり、元々は古典的な西洋 絵画 のいちスタイル、あるいはその影響を受けたか類似の表現となった エロジャンル の作品全般を指す言葉となります。

 日本においてこの言葉が使われるようになったのは比較的最近ですが、こうした言葉や 概念 が広まる前から、「服を着た大勢の男の中に裸の女の子が一人」 という状況に格別のエロスを感じると云った 趣味 や作品スタイルが存在してはいました。 それは電車内などで行われる 痴漢行為 だったり、ストリップ劇場の舞台だったり、ストリーキングだったり、性奴隷 を売買する市場だったり、輪姦 や乱交といった性行為前の演出、いじめ、何らかの偶然やハプニング、あるいはアダルトビデオのパッケージなどにも見られます。

 これらは必ずしも直接的に CMNF を意図したものではない場合も多いのですが (結果的にそうなっただけで格別なこだわりや シチュ萌え がない)、類似の構図やシチュを持つ西洋の美術絵画に著名なものがあり、全く影響がなかったのかどうかは議論の余地があります。 なお対義語や対概念は 「CFNM」(Clothed Females and Naked Males) で、そのまんまですが着衣した女性と裸体の男性という意味になります。

初めて見るとインパクトがすごいマネの 「草上の昼食」

マネの 「草上の昼食」(1863年)
エドゥアール・マネの 「草上の昼食」
(1863年/ Luncheon on the Grass/ オルセー美術館蔵)

 CMNF の西洋絵画でとくに有名なのは、印象派の先駆者・巨匠として著名な19世紀のフランス人画家 エドゥアール・マネの 「草上の昼食」(1863年) でしょう。 水辺のピクニックのひと時を描いたこの絵画には、立派なスーツを着込んだ男性2人と不釣り合いな全裸の女性が1人、木陰の草むらに腰かけており、画面の奥には水浴びする半裸の女性1人が描かれています。

 小さく描かれた奥の女性はともかく、こちらに 目線 を投げている画面中央の全裸女性の印象は強烈で、単なる裸婦像とは異なる独特の空気感を醸し出しています。

 画面全体も薄暗く、男性の着衣も黒っぽく、その中に描かれた全裸女性の裸体は嫌でも目立つ構図です。 そこには不自然さやある種の異常さ、あるいは男性と女性との描かれ方の極端な格差による女性への支配や従属の暗示を見る者に抱かせます。 当時はもちろん現在であってもアンモラルで淫靡な 雰囲気 を放っています。

 この作品は同じころに描かれたもう一つの代表作 「オランピア」 ともども神話などを モチーフテーマ とした裸婦像などとは異なる、挑発的に生身の人間の裸体をそのまま描いたものだとしてスキャンダラスな話題と強い批判を招きましたが、一方で高い芸術性から数多くの画家やクリエイターらに大きな影響を与えています。

 ちなみにこの は中高生男子が学校の美術の時間などに目にする機会も多く、同じく裸婦が描かれたフォンテーヌブロー派作家の作品 「ガブリエル・デストレとその妹」(浴槽の2人の女)(女性3人のうち手前の2人が裸で、向かって左側の女性が右側の女性の右乳首をつまんでいる) ともども、「これはなんじゃエロ過ぎだろ」 と興奮したり ネタ にしがちな作品でしょう。

 なおマネやそれぞれの作品に強い影響を与えた画家に、ルネサンス期の巨匠ティツィアーノ・ヴェチェッリオとその師とも兄弟弟子とも伝わるジョルジョーネがいます。 「草上の昼食」 は、ジョルジョーネ作をティツィアーノが完成させたとされる 「田園の合奏」(1509年頃) に着想を得ており、こちらの作品でも中心となる登場人物4人のうち2人は楽器を手に着衣した男性で、その傍らに2人の裸婦が描かれています。

「CMNF」 が戦争推進のきっかけにも?

 一方、スーツ姿の男性に囲まれた全裸女性の図案が発端となり、人種差別や民族差別の炎が燃え上がり、開戦すべしとの世論を喚起して結果的に戦争発端の一部となったケースもあります。 1898年の米西戦争です。

 新興国アメリカと衰退しつつあるスペイン帝国とが戦ったこの戦争は、同年2月にハバナ港 (キューバ) で起こったアメリカ海軍の戦艦 (装甲巡洋艦) メイン号爆沈事件を発端 (アメリカ側の口実) とします。 しかし実際は、キューバを影響下に置きたいアメリカ強硬派の思惑と、当時普及し始めていた新聞メディアが部数を伸ばすためのセンセーショナルな記事を欲していたことから利害も一致し、スペインによる破壊工作だとの大々的な戦争キャンペーンによって引き起こされたものだと云って良いでしょう (爆沈原因は諸説あるものの単なる事故だとの説が濃厚です)。 260人以上が死亡するという事故の大きさもあり、煽られ た世論も激昂。 そしてこの事故やキャンペーンの前からメディアが反スペイン・キューバのために持ちだしていたのが 「アメリカ婦人を裸にするスペイン警察」(1897年) という記事とその挿絵でした。

 内容としては、何の罪もないアメリカ人女性がスーツ姿の男性3人に取り囲まれて全裸にされ、一方的に不当で侮辱的な取り調べを受けさせられたといったものですが、その全てが捏造であり、スペインやキューバ人への憎悪や怒りを煽るために作られたものでした。 しかし効果はてきめんであり、その他の憎悪煽り記事ともどもアメリカ国内の開戦ムードを大いに高め、メイン号爆沈と世論に押されたという形で翌年4月21日から戦闘が始まります。 アメリカ議会は同日を持って正式に戦争状態に入ったとの決議を行いました (決議は同月25日、宣戦布告は遡って同月20日)。 結局戦いはアメリカが勝利し、カリブ海周辺やフィリピン・グアムをはじめ太平洋に広がる旧スペイン帝国植民地に対する管理権をアメリカが獲得する結果となりました。

 この戦争は当時はもちろん、現代にあっても日本ではやや馴染みの薄いものではありますが、有名な小説 「坂の上の雲」 にて描かれていたこと、権力と大手メディアの暴走を含めた様々なテーマで語られる内容を含んでおり、「全裸のアメリカ婦人」 ともども、世界史をまじめに勉強しなかった一般層でも比較的よく知られている事案かもしれません。 ちなみにメイン号爆沈では、コックやボーイとして乗艦していた8人の日本人のうち6人が亡くなっています。

エロマンガや同人や創作の世界における 「CMNF」

 マネの絵の影響があるのかないのか、日本においてもエロい マンガイラスト、映像作品などに、「CMNF」 の要素を持つものはかなりあります。 前述した痴漢やストリップ、ストリーキングなどが代表的ですが、一部の 露出系 の作品でも、こうしたシチュを利用した作品はよく見かけます。

 登場人物全員が全裸や半裸ならともかく、一人だけが全裸というのは前述した支配や従属だけでなく女性の無防備さや寄る辺のない弱々しさが強調されますし、嗜好が合えば魅力的な図ではあるものの、不自然で異常なシチュエーションではあるので、どう説得力を持ってその状態に持って行くかは 作家 の腕次第といった部分があります。 単に裸を男性に見られるだけでなく、露出ものにはつきものの携帯電話やスマホで恥ずかしい姿を 撮影 されるなど、より露出側に振った演出のアレンジも考えられます。 さらに描き方によって 読者 や受け取り側がどの登場人物や キャラ感情移入 するのかも変わってくるでしょう。

 強制 (力ずくや脅迫、いじめ、あるいは居眠り中に男子に脱がされる、催眠や 媚薬、魔法、時間停止など) もあれば、本人に露出願望があり自発的に行う場合、あるいは何らかの偶然やハプニング (例えば誤って男性の更衣室で着替えをしていたら男子が突然入ってきたとか)、それらが複合したもの (偶然やハプニングを装ってわざとそうした場に身を置く) もあります。 ただしやり過ぎては読後感の悪い 虐待もの になったり、逆に単なる 痴女 にもなってしまうので、そのあたりのバランスを取るのも難しそうです。

 一概には云えませんが、CMNF に 萌える ような人は 紳士 の中でもそれなりに上級者のような感じがするので、このあたりの流れにも独特なこだわりが感じられることもあります。 ニッチ な嗜好やジャンルだけに、自分の好みの作家が見つかったらこれ以上ない喜びを感じられるかも知れません。 もしそんな作家や作品が見つからなければ、頑張って自分で描くという方法もあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年1月24日)
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