女性に対するもっともありふれた誹謗中傷 「ブス」
「ブス」 とは、主に女性の容姿・外見、とくに顔の良し悪し・人相が劣っているとの意味の侮蔑・罵倒語のひとつです。 語源にはいくつか説がありますが、不細工 (細工がきちんとされていない様子から転じて、整っていない、見た目が悪い、醜いといった意味) から転じたものとする説が有力でしょうか。 一般に東日本では女性のみを指すことが多いものの、関西を中心に西日本ではさほど女性限定ではなく男性を含む言い回しがされるとの話もあります。 また時代を経るにつれ容姿以外の部分も 「性格がブス」 などとして使うケースも増えています。 また他の罵倒語と複合すること多く、とくにデブと複合したデブスはかなりポピュラーな言い回しとなっています。
罵倒語としてはかなり 強めの言葉 ですが、一方でいかにも幼稚で大人げない表現でもあり、小学生から人によっては中高生あたりまで口にする人がいる一方、ある程度の大人になればほとんど口にすることはないものでもあります。 指し示す相手を傷つけると同時に、口にした人も常識や人格を疑われ傷つく、誰も得をしない言葉でしょう。 しかし ネット などでは悪意をむき出しにする人も少なくなく、とくに女性アイドルや声優などについては、アンチ が盛んに使っている印象もあります。
なお同様の表現に不美人や前述した不細工 (ブサイク・ブサ)、醜女 (しこめ) などがあり、男性の場合はブ男とか不男、醜男 (しこお) があります。 ただし男性の場合は、一般に女性ほど容姿・容貌の美醜を問われない傾向があるためか、とくに醜男については、「荒くれ者」 の他、力強く逞しい男性を指すような使われ方もします。
男女を問わず類似の侮蔑・罵倒語として機能する言葉に キモイ・キッショ といったものがあります。 これらは対象の性別を問わず使われますし、場合によっては誉め言葉としても機能する部分がありますが、ブスやブサイク同様にまともな大人が表向きに使えるような表現ではないと見なされています。
こちらもネットでは多用されがちな傾向がありますが、口にする人の幼稚性が際立つ表現のひとつといって良いかもしれません (2ちゃんねる といった匿名系の 掲示板 などでは、あえて 露悪的 に使うケースは多いでしょう)。
容姿の良し悪し判定は、実際はかなり難しい
一般に美しい・美人だとされる容貌にはいくつかのポイントがあります。 例えば目がぱっちりとしていて大きい、鼻が大きすぎず小さすぎず程よい高さを持っている、顔の各パーツが均整の取れた配置がされ全体的にスラっとスマートある、歯並びが良いなどです。 目の大きさはとくに日本人の場合は重要視されがちですが (欧米では口元の美しさがわりと重視されがちっです)、それ以外はあまり極端な目立つポイントがなく、「これといって特徴のない平均的な顔」 が好まれやすいということでもあります。
逆に云うと、それらと異なる部分を多く持つ顔が 「あまり美しくない」「ブスだ」 になるのでしょうが、広く世間に容姿をアピールする必要がある芸能人はともかく、一般人 の場合は容姿以外に評価や重視すべきポイントがたくさんあり、とくに身近な存在になればなるほど、性格といった内面が重視されるようなるでしょう。
なお 「ブス専」 と呼ばれるような、あまり容姿で評価されない人物を好む人もいます。 これを 「ブス専=外見より内面を重視」 と考え評価する向きもありますが、単なる外見上の好みの違いなので、あまり関係はありません。 蓼食う虫も好き好きなどとも云いますが、一般的に評価されない 属性 に強い興味や関心を持つ人は少なくなく、それは個人の好みの多様性でもありますが、ブス専を標榜する人から好意を向けられても、それはそれで自分の容姿を ディス られているような気もして、特段の理由がなければフランクな恋愛対象とするのは難しいかもしれません。