同人用語の基礎知識

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未知の人たちと文章で会話… 「電子掲示板」

 「掲示板」(けいじばん)、「電子掲示板」 とは、パソコンやワープロ、携帯端末などを使って インターネットパソコン通信 などの ネット を経由し、不特定多数の利用者らとテキスト (文字) でコミュニケーション、情報交換を行う 「システム」 あるいは 「場」 のことです。 英語の 「Bulletin Board System」 の略で 「BBS」 あるいは 「ボード」「板」「会議室」 とも呼びます。 返答の 書き込み のことは レス と呼びます。

 ネットを介した情報ネットワークには様々なものがあり、代表的なサービスしては メール (電子メール / e-メール)チャット、データライブラリなどがありますが、初期のパソコン通信システムでの情報の 共有、伝達システムそのものがほとんど同じ機能を実装していて (乱暴に云えば、掲示板とチャットの違いはほとんどありませんし、ネットニュースやメーリングリストとも非常に近い関係にあります)、テキストベースのパソコン通信ホスト局のシステム (ホストプログラム) そのものをBBSや掲示板と同一視していた時代もあります (個人で 運営 しているようなものは、草の根BBS などと呼ばれていました)。

 日本では 1982年頃から音響カプラを利用した接続による実験的な草の根BBSが立ち上がり始め、1985年に電々公社が民営化しNTTが発足、大幅な 「通信の自由化」 により大小さまざまなパソコン通信ホスト局が誕生。 利用者が増大すると同時に言葉としても 「電子掲示板」 が広まりました。 1990年末以降は、「電子」 を略し、単に 「掲示板」 と呼んでも、ほぼネット掲示板を指す言葉となったといって良いでしょう。

パソコン通信の時代…様々なシステムと呼称が誕生

 1980年代から90年代にかけ、ASCII-NETNiftY-ServePC-VAN、「日経MIX」「People」 などの大規模商用ホスト局が次々と誕生。 利用者が増えて交流の場が人気になると、掲示板の利用者も増大。

2ちゃんねるトップページ
2ちゃんねる」 のトップページ

 当初は個人が気楽に自分の掲示板を持つようなことはできず、シグやフォーラムといったホスト局が直接・間接に運営するコミュニティのボードがその大半でしたが、後に個人向けの掲示板も貸し出されるようになり (NiftY-Serve のホームパーティ (HP) や パティオ (PATIO) など)、数多くの個性的な掲示板が誕生するようになりました。

 1995年にインターネットがいよいよ身近なものとなってくると、1996年頃からこうしたパソコン通信ホスト局で人気を得ていた個人運用の掲示板などがインターネットに進出。

 同時期に盛り上がった 「fj」 などのニュースグループ、「ゆいちゃっと」 などの擬似 リアルタイム タイプのチャット、「自動アンケート作成」「個人ニュースサイト」 などの コメント機能 つきの特殊なコミュニティなどとともに、大手サイト が次々に出現し、ネット全体も大きく発展して行くこととなります。

 ちなみにこの 「同人用語の基礎知識」 サイトを運営している 同人サークル は、「NiftY-Serve」 の個人レンタル掲示板から誕生したサークル 《ぱら☆あみ》 が母体なのですが、1995年の最盛期の頃は、PATIO 4つに HP が1つの5ボード体制で運営していて、月々のレンタル料金だけで3万円近く掛かってました (PATIO 7.000円 X 4 + HP 500円)。 参加者でボードを分担して維持していましたが、今から考えると非常にコストがかかりましたね…。

あやしいわーるど、あめぞう、2ちゃんねる、ふたば…

 日本の掲示板の歴史、とりわけ 同人おたく に関係が深い掲示板において、特筆すべきいくつかの 「板」 の系譜を挙げるとすれば、匿名掲示板、いわゆる アングラ系 の掲示板群になると思います。

伝説に彩られた懐かしい 「セガBBS」
伝説に彩られた懐かしい 「セガBBS」
1996年末の新BBS移行直後
ふたば☆ちゃんねる
2001年運営開始のふたば☆ちゃんねる

 1996年8月21日開設の 「あやしいわーるど」(あやわー/ 1995年に NiftY-Serve のレンタル掲示板で誕生、その後インターネットに進出)、1997年8月5日開設の 「あめぞう」、1999年5月30日に 「あめぞう」 の 避難所 として誕生した 2ちゃんねる、その 「2ちゃんねる」 の避難所として2001年8月30日に登場した 「ふたば☆ちゃんねる」(ふたば/ 二次元裏@ふたば掲示板)、2002年2月に登場した 「ザ掲示板」(ザBBS/ ザザビ) などが大雑把な流れになりましょうか。

 これらとは別に、Yahoo! や excite などの大手ポータルサイト、ゲームメーカーなどが運営する掲示板などもありますが、利用者数、ネット上のその他のコミュニティへの影響力の大きさから云えば、匿名・アングラ系がその中心にあったといって良いと思います。

 ただし1996年6月より SEGA ホームページ 「Planet Cafe」 の一部として開設された 「セガ伝言板」、いわゆる 「セガBBS」 などは、ネット接続可能なゲーム機を持つセガの運営だったこともあり、インターネットの掲示板に関してはもっとも早く運営を開始したもののひとつでした。 上記アングラ系掲示板と住民が非常に似通っていて、独特の存在感や、後に ゲハード と呼ばれる激しい争いを生み出していました。

 なお匿名、名無し (ユーザー認証や、発言者の多くが特定の ハンドル を持たない掲示板) は、掲示板運用の頭痛の種、馴れ合い を防ぐためという理由が最大のものでしょう。 マスコミがいうように、悪いことをするために名前を伏せているわけではありません。

ブログ、SNSの台頭、掲示板の意味も拡散

 掲示板のシステムや形状には様々なものがあり、利用のされ方、仕方も様々です。 個人サイトにつけられたレンタルの小さい掲示板から、数百の掲示板を束ねた巨大掲示板 (メガBBS) まで、規模や利用者の人数も様々です。

 また掲示板のシステムを使ってはいないものの、ほぼ同じ利用のされ方をしている ブログコメント欄SNS のコミュニティ、個人日記のコメント欄など、厳密には掲示板ではないものも、掲示板として認識している人たちも少なくない状態となっています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1998年11月28日)
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