掲示板利用のコマンドの一種から、ある種の慣用句、形容詞化も
「age」「sage」 とは、2ちゃんねる などの 「スレッドフロート型」 の ネット の 掲示板 を利用する際に使われる、ある種のコマンドです。 通常は 書き込み の際に スレッド の書き込み欄にあるメール欄 (メ欄) に 「age」(上げ)「sage」(下げ) を入れることにより、書き込んだスレッドの掲示板内での動き、ポジションを指定するために使います。
2ちゃんねるにおける、「sage」 の記入例
メール欄に入れる 「sage」 は、掲示板内でのスレッドの位置を変化させません(結果的に下がる) |
「age」「sage」 の役割と使い方
基本的な考え方としては、「age」(上げ/ アゲ) を入れると、そのスレッドの表示位置が掲示板内で上に上がり、「sage」(下げ/ サゲ) を入れると下がります。 実際は何も入力しなくても、書き込みさえすれば勝手にスレッドは上がりますし、また 「sage」 といっても、実際にはスレッドが 「下がる」 訳ではなく、その場に留まるだけ (上がりも下がりもせず、表示位置は変わらない) です。
ただし他のスレッドに書き込みがあると、そちらの掲示板内での表示位置は上がるので、「sage」 を記入したスレッドは、同じように書き込みがあったにもかかわらず相対的には下がりますし、言葉として分かりやすいので age=上げ、sage=下げ と思っていても問題はないでしょう。
本来 「スレッドフロート型掲示板」 は、新しい書き込み (があったスレッド) が必ず掲示板全体での表示位置で最上位に移動し、常に新しい話題、人気のあるスレッドが自動的に 「上がる」 ような構造となっています。 しかし一部の掲示板では上位表示されたスレッドに 荒らし がやってきてスレッドを荒らされたり、参加者の多い掲示板などでは必要以上に目だってしまうことを避けたい場合もあります。
そこで 「下げて使いたい」(スレッド一覧表示にした時のみ表示されたり、その一覧の底の方でごく限られた参加者と内緒話がしたい…) 場合のために、スレッド表示位置を変えない「sage」 機能が実装され、「age」「sage」 という名称と、分かりやすい 「上げる」「下げる」 という考え方が生まれるようになりました。
「age進行」「sage進行」、そして 「保守」
なお常に上げた状態で進行するスレッドを 「age進行」(参加者が目立たせたいと考えている場合)、逆を 「sage進行」 と呼びます。 「sage進行」 のスレッドで、「sage」 を入れなかったり 「age」 を入れたりして表示位置を上げてしまった場合には、他の参加者に迷惑をかけたり、自分が叩かれる場合もありますので、長く続いているスレッドなどでは、板やスレッドごとの注意書きや、それらをまとめた テンプレサイト や まとめサイト、まとめwiki などに書かれているローカルルール (LR) に従うようにしましょう。
ちなみに一定期間書き込みがないスレッドが自動的に落ちる (DAT落ちなどで使えなくなる) ような仕様の掲示板の場合は、「sage」 でスレッド維持のための書き込みをします。 「保守」 と呼びます。 また書き込みが少なくてスレッド一覧内 (格納できるスレッドの限界) の下のほうに落ちている場合、新しいスレッドが立てられると、これもまた 「DAT落ち」 してしまいます。
その場合は、「sage進行」 のスレであっても、一時的に 「age」 で書き込んでスレッド順位を上げて保守する場合もあります。 ただし保守する必要のないスレ (価値のないスレ、いわゆる 「クソスレ」) を 「age」 ると、他の大切なスレッドが落ちたりして、みんなの迷惑になってしまいます。
ageます…最新の書き込みが最上位にくる 「スレッドフロート型掲示板」
掲示板のシステム (CGI) などには様々なタイプがありますが、利用者がほぼログ管理ツールを使っていた パソコン通信 の時代と違い、初期の インターネット の電子掲示板はログ管理ツールもなく、また厳密なユーザ管理を原則として行わない場合も多く、「Internet Explorer」 や 「Netscape Navigator」 などのウェブブラウザなどで閲覧する場合には、その使いにくさが指摘されていました。 基本的には、単に書き込み順に発言が並ぶだけです。
「パソ通」 の頃のように、レスアンカー (安価) を厳密に守ってブラウザ上で ツリー 構造表示に切り替えができるようなものもありましたが、インターネットでは オフライン ではなく原則 オンライン で行うため、1990年代は回線速度も遅く、動作が緩慢で重かったりして、とても使いにくかったものです (ちなみに自動巡回ソフトやログ管理ツールも色々なものが実はあったんですが、あんまり普及しませんでした)。
その改善のため、様々な方法が試行錯誤される中、いわゆる 「スレッドフロート型掲示板」(あめぞうタイプの掲示板) が、当時大人気を持っていた掲示板 「あめぞう」 で登場、人気を得ます。 このタイプの掲示板は、話題ごとに存在する数多くのスレッド (トピック/ ログ) と、それを カテゴリ ごとに格納する掲示板全体 (板/ いた) で構成されています (「2ちゃんねる」 や 「ふたば」 などの大規模掲示板は、さらにこの 「板」 をひとつのカテゴリ、さらに全体をひとつのサイトとしてまとめています)。
例えば マンガ という1つの大きな掲示板があるとしたら、その中に雑誌別、作品別、作者 別のスレッドが無数に入っている状態ですね。 膨大なスレッドが入っていると、自分が参加したいスレッドを探すのも大変ですが (掲示板付属の検索窓からの検索や、「Ctrl」+「F」 キー検索などで調べます)、このタイプの掲示板ならば、多くの人が書き込みをしているスレッドほど上の方に表示されますから、多くの人にとっては便利になるわけです。 またどのスレッドで書き込みが盛り上がっているのかも、一目瞭然です。
「age」 と 「sage」、どっちが推奨?
掲示板システム本来の使い方で云えば、「age」 が望ましいとは思うのですが、前述した 「荒らしが来ては困る」「事情を知らない新しい人が入り込んできて、せっかくのスレの 雰囲気 を壊されたくない」「固定したメンバーで内緒話をしたい」 といった使い方の ニーズ (「マターリ」 したい) もあり、ここらは難しい問題です。
また自分の面白くもない内容の レス でスレッドをいちいち上げてしまうのをためらう人もいますし (そのせいで、他の優良なスレッドが相対的に落ちて目立たなくなったり、DAT 落ちして見れなくなったりもします)、ここらはやっぱり、そのスレッドのローカルルールや、他の参加者の振る舞いを真似るのが良いでしょう。
現在は 「2ちゃんねる」 はじめ、人気のある掲示板ではログ管理ツールや専用ブラウザなども登場し、閲覧性も向上しています。 それらのソフトは基本的に 「sage」 で書き込むような初期設定がされていますし、とりわけ 2000年代初期の、スクリプトによる自動荒らしが吹き荒れた時代には、「無駄な age そのものが荒らし行為」(中身のないスレッド (クソスレ) を age て、他の良いスレッドを落とすことから) なんて意識が今よりずっと強い時代もありました。
age進行スレでsageると、工作員乙!
逆に、一部の政治的な話題を扱うニュース系の板などでは、基本 age進行の 祭り のスレなのにもかかわらず sageで書きこむ人を、都合の悪いスレッドを落とそうとしている 工作員 扱いして 叩く ようなケースすらあります (2ちゃんねるに不慣れで age sage が理解できていない職業工作員が、無駄な努力をしているように見える)。
掲示板やスレッドは、参加している人たち全てのものです。 空気を読みすぎたり、妙に遠慮しすぎる必要もありませんが、自分のことばかり考えて書き込みするのも考え物です。 たまにスレッド一覧の下の方のスレッドを眺めると、いろんなことが見えてくるかも知れません。