クサチュー語、併せ字、倍角文字、ギャル文字…呼び名は様々です
「クサチュー語」「クサチュー文字」 とは、異なる文字キャラクタを組み合わせて別の字を作ること、あるいはそうやって作られた文字、文章のことです (クサチュー語で書くと 「勹廾千ュ―言吾」「サークル」 なら 「廾→勹儿」)。
「クサチュー語」 誕生以前の パソコン通信 の時代、倍角文字 や 併せ字 というような呼び方で異なる文字を組み合わせて違う文字にする遊びが流行っていました。 例えば 「火」 と 「暴」 で
それは、パソコン通信の場合、ホスト局によって使われる文字コードが異なり、文字化けしたり、それが原因でパソコンが誤作動するケースも考えられました。 基本的に身内やハードウェア構成が似通った人が集う 草の根ネット のような場所なら問題はあまりないのですが、大手商用パソ通ネットなどでは、半角カタカナはじめ 機種依存文字 が含まれるケースの多いこうした表現を、エチケット以前のソフトウェア上問題アリの行動としてお遊びとしても敬遠しようという 雰囲気 がありました。
1995年頃に インターネット 時代となり、1998年頃に爆発的にユーザが増えると、さらに多種多様の環境を持つ多くのユーザが結ばれるようになり、こうした問題はより切実になって行きます。
機種依存文字を排した形の文字遊び、「クサチュー語」 が誕生
そこでインターネットのいわゆるアングラ系匿名 掲示板 の住人によって、機種依存文字などを排した新しい 「倍角文字」 がまとめられました。 それが 「クサチュー文字」「クサチュー語」 です。 「クサチュー」 の語源は、この文字一覧データを制作された掲示板 「あめぞう」 の常連さん、腐れ厨房さんの 固定ハンドル名 に由来します。 「ぁゃιぃわーるど」 などとともに、旧来のパソ通ユーザが集う掲示板群はその後、2ちゃんねる 時代となって一般の人々にも一気に広まり、結果、「クサチュー語」 の各種辞書データや変換スクリプトなどが多数、「2ちゃんねる」 住人の手によって生まれました。
この 「クサチュー語」 は、例えば 「ぞ」 を 「そ~ 」「た」 を 「T=」 と表記するなど、80年代の一時期女子中高校生の間で流行った 「丸文字」「変体少女文字」「ヘタウマ字」 なんかに似たイメージを持つなかなかの秀作で、当時インターネットとパソコンの普及で初めてこうした文字列を見た人にとっては、格別のインパクトがあったんでしょうね。
そのまま 「クサチュー」 はこの手の文字遊びの代名詞となり、現在ではこうした倍角文字、併せ文字遊びのことは、「クサチュー語」「クサチュー文字」 と呼ぶのがポピュラーなようです。
そしてついに女子中高生に飛び火…? ギャル文字登場
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ポケベルから携帯電話へ…女子高生との相性は抜群 |
ちなみに女子中高生の間では、1990年代初期から中期にかけ大ブームとなった 「ポケベル」 を経て、後の 「携帯電話」(i-mode) の メール などでも、こうした言葉の組み合わせをする遊びは 「へた字」「へた文字」、あるいは 「ギャル文字」 などと呼ばれて 90年代末頃から流行りだしているようです。
初期のポケベルの時代には、扱えるのは数字だけだったので、語呂合わせなどができないと、そもそもコミュニケーションが成立しなかったんですよね。 それがそのまま、アルファベットや各種記号、ひらがな、さらには漢字が使えるようになった携帯にも影響したって感じでしょうか。
こちらはまぎれもなく 「丸文字」「変体少女文字」、あるいは 「ヘタウマ字」「マンガ文字」 なんかの直系の子孫だと思いますが、どんなものでも歴史は繰り返すってことなんでしょうか。 「絵文字」 が使えるようになると、さらに複雑怪奇化してますし。
マニアックな男性が中心となっていたパソ通やインターネットの住人たちの発想ともまた全く違う極端で特殊なもの (たとえば 「亜美(C)」 で 「亜美ちゃん」「(S)」 で 「さん」 とか、「因好き」「因ラブ」 でだいすき、大ラブ、など) も生まれてきていて、おたく や 同人、ネット の世界など無関係と思われる彼女らがどのような発想の違いを見せてくれるのか、ちょっと面白く観察しています。
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