何かと複雑なニュアンスを持つ独特な言い回し 「(爆)」
「(爆)」 とは、「爆発した」 あるいは 「爆笑している」 といった ニュアンス を持つ ネットスラング のひとつです。 文章の最後のニュアンスつけとして使う場合もあれば、単独で使用する場合もあります。 またバリエーションとして 「(核爆)」 とか 「(超爆)」 といった爆発パターンに関するものと、「(笑)」 の派生パターンとなる 「(大爆笑)」 などがあります。
同じ 「爆」 の字でも、爆発と爆笑ではだいぶ違うような感じがしますが、わざわざ 「(爆)」 といった言葉を使う場合は、マンガ や アニメ、コントなどの爆発オチ (例えば 「ドリフターズ (ドリフ) の爆発ギャグ」 のように 料理が爆発 するなどして頭チリチリ、顔真っ黒、口から煙を吐くようなギャグ) のニュアンスを強く持っていますから、基本的には 「笑える」「笑った」 といった意味で使うケースが大半です。
ちなみに パソコン通信 から インターネット 初期の頃に流行った 倍角文字・併せ字 による表現では、「火暴 (爆)」 となり、派生した文字列に 「木亥火暴(核爆)」「走召火暴(超爆)」「走召木亥火暴(超核爆)」 などがあります。
ネット用語というよりは、ある種のおたく用語のような扱いも
「(爆)」 というカッコつきの表現は、「(笑)」 などと同様、雑誌や新聞、書籍類のインタビュー記事や会話のシーン、テレビ番組のテロップなどで使われている 「笑い声がしています、笑っています」 という状況説明的な言葉と同じです。 1980年代〜1990年代にかけてパソコン通信時代の 掲示板 などで 書き込み に使われるようになり、そのまま ネット で広まりました。
当時のネットは おたく な人の割合がかなり高く、実際に 草の根BBS などでつながった人と実際に会う オフ会 などは大規模なものになると コミケ に合わせた日程などが多かったものですが、この 「(爆)」 は 「(笑)」 などと並んで、口に出して喋るケースもかなり多かったですね。 「かっこばく」 みたいな。 コミケは間に TRC や 幕張 を挟みつつ、晴海 から 東京ビッグサイト に移る頃になりますが、まぁ 普通に 筆者 も口頭で 「かっこばく」 を使ってましたし、筆者のいた サークル の仲間や周りもパソ通ユーザーばかりで、そんな人が多かったです。
当然ながら 同人 の世界でも、同人誌 の余ったスペースに入れる 妄想 や フリートーク、その発展形の 対話風フリートーク などで会話のニュアンス付けに良く使われていました。 「ゲーム してたら 締め切り 過ぎてた(爆)」 といった使い方です。 こうした経緯から、ネットスラングというよりは、それも含めた広い意味の おたく用語 のような扱いをされるケースもかなりありました。
実際、筆者の観測範囲では、例えば ASCII-NET や NiftY-Serve、PC-VAN といった大手商用ホストをビジネス用途で利用しているユーザーの中には、「(笑) はいいけど、(爆) はおたくっぽくてイヤ」 みたいな人も結構いましたし (ってか、筆者とつながってる時点でどう考えても 一般人 じゃないだろお前ってのはありますが)。
汎用性が高いゆえか、使い方も難しい 「(爆)」
一方、頻繁に使われることで一部ではかなり早い段階で陳腐化し、一般人はもちろんおたくな人たちの間でも、「(爆)」 を掲示板や メール で使うのは寒い、恥ずかしいといった評価もされがちです。 これは、「(笑)」 がもっぱら 「自分が笑っています」 という説明になっているのに対し、「(爆)」 は 「自分が爆笑している」 という意味の他、前述した 「爆発」 の意味が強く、すなわち、「ちゅど〜んと爆発して オチ をつけた → 面白いだろ? 笑えるだろ?」 といったアピールになっているからです。 たいして面白くもない話の後に 「(爆)」 をつけて 「面白話アピール」「オチアピール」 をされても面白くないので笑えませんし、寒いギャグで 「笑えよ」 と押しつけられても白けるだけでしょう。
ただし 「(笑)」 と同様にとにかく使い勝手が良いので、ダサいイメージがついても構わず使い続ける人、いったんは下火になったけれど 一周回って 「あえてダサいネット用語を使う」「加齢臭がする言葉をわざと使う」 といった意図で使う人も多く、まだまだ現役の言い回しとして生き残っているようです。 このあたりは 「(笑)」 と同じで、時期や文脈によって意味やニュアンスの変化や移り変わりも生じながら、世代を超えてしぶとく生き残る言葉という感じがします。
なおこうした () つきの言葉はそれこそ無数にあり、代表的なものだけでも他に、 (爆)・ (笑)・ (泣)・ (涙)・ (悲)・ (喜)・ (汗)・(冷汗)・ (怒) などがあります。 中には普及しすぎて 「()」(かっこ) だけになったものや、他の言葉と一体化して流行語になったような言葉 (例えば スイーツ(笑) など) もあります。