初めて会うけど、趣味から性格から好みまで知り尽くした不思議な存在との出会い…オフ会
「オフ会」(OFF会) とは、パソコン通信 や インターネット で知り合った者同士が、パソコンを ネット の回線につないでいる オンライン(ON LINE) 状態ではなく、オフライン (OFF LINE) 状態で集まることです。 すなわち実際にどこかの場所に集まって、直接本人同士が会うこと、あるいはその集まりのこととなります。 「オフライン会」、あるいは 「オフラインミーティング」 略して 「オフミ」 とも呼びます。
広義では 「オフで会う」 という意味になりますが、「会」 や 「ミーティング」 とついているように、しばしば、あるいは多くの場合、不特定多数が集まるケースが多く、利用者の大勢いる商用パソコン通信ホスト局の 「フォーラム」 や 「シグ」 と呼ばれる会議室の参加者や、草の根BBS の利用者などが時間と場所を決めて集まるようなイメージでしょうか。
また最初から集まるのを前提としたようなパーソナルなネットサービスや、2人だけで会うのが前提のサービス (後の出会い系など) の集まりなどは、この呼び名は使わないケースが多いようです。 ただし大勢で集まるつもりが、参加予定者の予定が変わった、ドタキャンしたなどでどんどん脱落し人数が減り、結局残ったのは2人だけなどという場合には、寂しげに 「2人オフ」 とも呼びます (筆者 も何度か経験ありますw)。 性別問わず最初から2人だけで合うのが前提の場合は 「サシオフ」 と呼ぶこともあります。
ホテルの大宴会場を貸しきるものから、ファミレスの集いまで…
なお具体的に集まって何をするかは、その集まりがどこの何を目的とした集まりかで大きく変わりますが、大手フォーラムやシグのオフ会では、パソコン通信のホスト局の協賛や支援などもあり、大きなホテルの宴会場を使った大規模なものになるケースもありました。 一方で、そこらの安居酒屋で集まって飲み会となったり、コミケ などのような大きなイベントをきっかけに、「みんな行くのなら、どうせだから集まろう」 なんて便乗する場合もあります。
ちなみに 「オフ会」 がまだネット利用者の一部の言葉だった頃は、ネットをやってない人から見て、かなり 「異様な集まり」 に感じられたようです。 ハンドル (パソコン通信などで使うペンネームのようなもの) でお互いを呼び合う、しかも年齢がバラバラなのに、妙に互いに親しげ。 そのくせ言葉遣いは敬語だったりやたら丁寧だったり…。 当時は ニフの人 なんて言葉もありましたが、初期の頃は 「ネットをやってる人たち」 という、別の世界の人を見るような目も結構ありました。
集まるべきか、集まらざるべきか…難しいオフ会の是非
それまでネットの 掲示板 などで親しく 書き込み を交わした相手は、例え直接会うのが初めてだとしても、古くからの友人のような感じです。 書き込みを通じて 「人となり」 や 「性格」 は何となく把握できてますし、むしろ面と向かって云えないような本音の会話を交わした相手とは、妙な信頼感も生まれていたりします。
同じ 趣味 のフォーラムや会議室、コミュニティに集まっている者同士ですから、趣味や話題の好みも同じ。 しかも掲示板や チャット と違い、目の前にいるのですから、「課金」 を気にせず、とことん会話を楽しむこともできます。
こうした相手との集まりは楽しいですし、ネットの世界で仲が良かった者同士は、さらに急速に仲がよくなります。 しかし一方で、あまりに仲良く親密となると、逆に人間関係がこじれる場合もあるのは、注意が必要です。
ネットの書き込みなどは、「目の前にいない人に、文字や文章で気持ちを伝える」 という配慮が前提となっていますが、このタガが外れて、つい言い過ぎてしまったり、行き違いが発生する場合もあります。
また 「年齢」 がはっきり見えてしまうのも、ネットの世界とは大きく違う点です。 それまではフランクに対等の立場で話をしていたのが、「オフ会」 を境に、目上目下のような配慮、遠慮の関係が出来てしまい、それまでの対等な関係の維持が難しくなるケースもあります。
とりわけ強烈なのは、参加者に男女がいた場合。 パソ通やオフ会をきっかけに親密となり 結婚 するカップル、パソ婚 なんてのがある一方、いったん付き合いはじめて分かれたりすると、片方もしくは両方が、そのフォーラムなりシグなり会議室なりに居づらくなり、フォードアウトしてしまう場合もあります。 それぞれがアクティブな参加者だった場合、残されたコミュニティにとって被害は甚大です。
また 「オフ会に来た人と、来れなかった人との温度差」 もあります。 大手パソコン通信ホスト局は全国展開していましたから、北は北海道から南は九州沖縄まで、全国から参加者が集まり書き込みなどで自由に交流が図れますが、実際にどこかに集まろうということになると、大都市圏ではない地方に住む人にとっては負担が大きく、参加しづらくなります。
一度も参加してない人が疎外感を味わうのはもちろん、集まりが頻繁になると、回数の少ない人も仲間はずれのような気持ちを抱いてしまいます。 またそもそも 「オフで会うのが苦痛だ」「ネットの付き合いだけで十分なのに」 と考えているネット中心の参加者も結構いるものです。
馴れ合いによる新規参加者の激減、コミュニティが崩壊することも
そのうち積極的にオフ会に出てお互いに親密な人たちとそうでない人たち、2つの グループ、派閥のようなものが出来てしまう場合もあります。 馴れ合い などが代表的ですが、こうなるとその集まりの空気は、かなりギクシャクしたものになってしまったり、新規 の参加者が入りづらくなる場合もあります。
急速に親しくなれる 「オフ会」「オフラインの交わり」 は、それまで細く長く良好に続いて来たネットのコミュニティの人間関係を場合によっては急速に煮詰まらせ、あるいは最悪、壊してしまう危険性もあります。 「オフ会はこりごりだ」「オフ会ネタ は厳禁」「書き込みはネットで完結する ネタ だけにして欲しい」 と思うコミュニティの管理者も多く、ここらはまさに諸刃の剣といった感じでしょうか。
お姉さま方の優雅な集いの場合は…
ちなみに 腐女子 な方々が行う 「OFF会」 を、誤変換当て字 して お腐会 (汚腐会) などと呼ぶ場合もあります。