微妙過ぎて伝わらない時に色々便利な 「ニュアンス」
「ニュアンス」 とは、フランス語の Nuance のことで、言葉や色彩や音色におけるごく小さな違いや微妙に異なる部分、表面にははっきりと現れないけれど感じることはできる部分、雰囲気 といった意味の言葉です。
言葉や文章の場合、全体の文脈とか行間などにほの見える、会話や文字には現れない話し手・書き手の意図や本音を指すこともあります。 表面上は分かりにくい感情の小さな動きとか移り変わり、機微と考えても良いかもしれません。
色彩の場合、概念は異なりますが、グラデーション なども近いかもしれません。 違う 色 が混ざりあって何色かも判然としない微妙な感じ、雰囲気のある色みたいな意味で、ファッションの世界では あいまい色の他、ニュアンスカラーなどと呼ぶこともあります。
「ニュアンスを感じ取ってよー」 使いやすさから多用されがち
ニュアンスとか機微とか雰囲気、空気、行間を読むみたいな言い回しは、結論をきっぱり出すことが難しい、明瞭に言語化するのが難しいといった場合に、とても便利な万能言葉として多用されがちな傾向はあります。
白黒 はっきりするとそれで話は終わりですが、ニュアンスを込めたみたいに云うと、何やら深い考えが裏にあるような、自分自身の考えだけでなくそれを受け取る相手の考えもミックスしてより奥行きのある価値あるものに錯覚してもらえるというか。 そもそもニュアンスという言葉自体がかなりあいまいな使われ方をするため、ますますあいまいさの中で察したり忖度するような状況になりがちです。
個人的な 趣味 の話ならニュアンスがあっても良いと思いますが、仕事などで 絵 や文章や音楽などを受発注する状況では、具体的ではない抽象的なニュアンス具合が双方一致しないと悲劇を生むかもしれません。
商業 であれこれ作品を創る場合は、なるべく明瞭な言葉や具体的な作例やサンプルなどを用意して、きちんとすり合わせをするようにしましょう。 最悪、修正地獄が待っています。 同じように危険な言葉には、「いい感じで」 もあります。 どんな感じなんだよ!