名人芸にまで至る場合もある 「対話風フリートーク」
「対話風フリートーク」(会話風フリートーク) とは、2人もしくはそれ以上の人物による会話の形式で書かれた フリートーク のことです。 「妄想対談」(もしくはただの 妄想)、「架空対談」 などとも呼ばれます。 文章の形ではなく、簡単な四コママンガのような体裁を取る場合もあります。
「フリートーク」 とは、しばしば 同人誌 などの余ったページの穴埋めに使われる、作者 の独り言や近況報告のような文章、雑文のことですが、「対話風フリートーク」 の場合は日記形式やエッセー、コラムなどのような体裁ではなく、あたかも マンガ や小説、ショートストーリー (SS) の延長のような ノリ で、その本に登場する キャラクター と作者 (同人作家) との掛け合い漫才のような会話の形で内容が進みます。
「対話風フリートーク」 の再現
作者 | ふう…やっと 原稿 が完成しました…無事にコミケに本が間に合えばいいけど |
キャラA | ちょっと!今回あたしの出番がずいぶん少なかったけど、どうして!? |
作者 | あわわ…今回はキャラAさまの世界を発展させるために調べ物を… |
キャラA | まさか、キャラBに浮気していたんじゃないでしょうね…? |
作者 | (ぎくっ)い、いえ…そそそそんなことは…すっ…すすすいません… |
キャラB | まぁまぁ、作者さんも反省しているようですし… |
…とまぁ、ありがちな一例としては、こんな感じです。
文章力がなかったり、文章作成の時間がなくても簡単に作れる 「対話風」
こうした対話風の文章、いわゆる 「架空対談」 の形式は、文章力がなくてもセリフの羅列の形で簡単に書けます。 またマンガやSSなどを 同人 でわざわざやってる人は、文章もそれなりに書けたりはするのでしょうが、きちんと文章作成するための時間が取れなかったりもするので、締め切り ギリギリの穴埋めページ作成の作業としては、とても便利なものなのでしょう (筆者 も現実逃避を兼ねて、何度も書いてます…)。
こうした形式のフリートークを、キモい、痛い、病的で メンヘラ っぽい、あるいは手抜きだと感じる人も結構いるようですが (すっ…すいません)、一方で、マンガやSSを描いている人は登場人物のセリフを考えたり、それで話を先に進めるのが得意な人もいたりするので、「マンガやSSの本編より、むしろフリートークの方が面白い」 なんて状況になっている場合もあります。
本編とキャラ設定が同じだったり、違ったり
通常は、作者の 自虐的 な内容となりますが (入稿日 間際の愚痴や弱音、苦労話が内容の中心なので当然ですが)、登場するキャラの性格に対する 設定 などは、いろいろとバリエーションがあります。 その同人誌で扱ったキャラへの 愛 を前提に、性格設定などは本編のマンガやSSのものを踏襲しますが、逆に本編とはまるっきり逆の設定にして、「フリートーク」 の全体を 「楽屋落ち」「裏話の暴露」 のように メタ視点 で描く場合もあります。
その場合、例えば本編では かわいそう な 受け キャラだったのが、フリートークではイケイケの腹黒い 攻め キャラになって、本編で自分を襲ってきた攻めキャラや作者を攻め立てて、本編部分の逆襲・復讐をするようなケースもあります。 陵辱的 な救いのない作品などでは、後書きやフリートーク部分でその救済を図るかのようにして、バランスを取るような場合もあります (作者の言い訳だったり照れ隠しだったりもします)。
小気味良い毒舌や本音が出てきて、ブレイクすることも
中には本編部分の設定と異なる練りこんだ設定 (裏設定、フリートーク設定) をフリートーク部分に設けて独自の世界を開く場合もあり、読者 がフリートーク部分のキャラ設定が気に入って、それを元にした 二次創作 (いわゆる 「同人の同人」) を作ったり、読者から促されて作者本人がその設定で作品を作り、新しく同人誌を作るような場合もあります。
こうした形式のものは、夢小説 のような形で発展したり、同人誌を離れ、ネット の時代となって ホームページ (ウェブサイト) や ブログ などで 「日記」 の ネタ として、非常にポピュラーなものともなっています。