同情したり哀れんだり煽ったり… 「かわいそう」
「かわいそう」 とは、悲惨・みじめ・不憫 で 痛々しい 状態にある人に対して憐れみを感じ、同情せずにはいられない気持であることを指す言葉です。 漢字で 「可哀相」 とも書き、同じような意味で使われる言葉に 「気の毒」「(見ていて) いたたまれない」「見るに忍びない」「泣いちゃった」 などもあります。
ごく 普通 の日本語表現ではありますが、ネット、とくに 掲示板 や SNS、動画配信などにおける コメント欄 への 書き込み などでは、相手に対する強い侮蔑や 煽り、あるいは逆に親しみを感じる相手への軽口や冗談、いじりや ネタ のような扱いで使われることがあります。
例えば友達がいない、恋人がいない、お金がないといった状況に対して使ったり、動画サイト における ゲーム の 実況配信 などで、多くの プレイヤー にとって所持していることが当たり前のような キャラ や 装備品 (いわゆる 人権) を持たずにプレイして苦戦している状況に対してよく使われます。
単に 「かわいそう」 と コメント するだけでなく、泣き顔の 顔文字 や (泣) を末尾につけることもあります (「かわいそう(T-T)」「かわいそう(泣)」 みたいな)。 同情のあまりもらい泣きするような顔文字も良く使われます (「(´;ω;`)ブワッ」)。
また 「さすがにかわいそうになってきた (さすかわ)」 といった言い回しもあります。
「○○お持ちでない?」「かわいそう」 の様式美…
また実況時においては、しばしば 「かわいそう」 とセットになる言い回しもあります。 例えば特定の人権装備などを持っていないと思われたり、あるいは持っていないのが明々白々な場合にあえて 「○○お持ちでない?」「どうして○○がない (しない) んですか?」 などといった ツッコミ を 「かわいそう」 の前に入れるような流れです。
これは一歩間違うと煽りすら通り越して単なる批判や罵倒、叩き にもなりかねない難しい 「いじり方」 ですが、配信者 と視聴者 (リスナー) らとの間に信頼関係やそうしたいじりを許す空気がある場合は、お約束・鉄板 ネタとして機能することもあります (配信者は 「持ってねぇっていってんだろ!」 などとキレ芸でそれを罵倒するのがお約束)。
とはいえ度を超すと配信者が不快感を覚えることもありますし、そうしたいじり方を極端に嫌う配信者も少なくないので、場の 雰囲気 が掴めていない場合、あるいはそうした視聴者が多数いると思われる場合は、避けるのが無難でしょう (そもそも憎まれ口が笑い話になるような状況はネットでは現実世界以上に少ないです)。
「カアイソウ カアイソウ」 の場合は…
なおカタカナで同じような言葉である 「カアイソウ」(あるいは 「カアイソウ カアイソウ」) の場合は、1991年3月15日に三重県四日市富田で発生した三重小2女児失踪事件 (加茂前ゆきちゃん行方不明事件) において、当時8歳だった女児が失踪して3年後に家族あてに届けられた差出人不明の怪文書中のフレーズ、「カアイソウ」 から派生した言い回しとなっています。
この事件はその後も未解決のままとなっており、失踪した女児の行方もわかっていませんが、当初から謎や闇の多い事件となっていました。 失踪時の不可解な現場状況や不審な目撃情報、謎の男性からの電話もありましたが、中でも家族あてに届いた手紙は謎が多いものでした。 様々な漢字・ひらがな・カタカナを独特の使い方によって綴ったもので、意味もよくわからず、その不気味さなどからネットの時代となって以降も 「検索してはいけない言葉」「閲覧注意」 などとして折々で話題になるものでした。
なおカタカナで書かれたくだんの 「カアイソウ」 は、文中では 「ミユキ カアイソウ カアイソウ」「おっカアモアカアイソウ」「父もカアイソウ」 などと繰り返し使われています。 その独特な文体と 「トミダの股割れ」「ダッタン海キョウ」「カムチャッカノハクセツ」 などの暗号めいた不可解なキーワードの存在などから、当時から事件を知る者の間では強い印象を与えるものだったと云って良いでしょう。