持っていないと人権すらない…「人権キャラ」
「人権」 あるいは 「人権キャラ」 や 「人権アイテム・装備」 とは、ゲーム において プレイヤー なら持っているのが当たり前かのような、プレイする上で必須といえるくらい重要な キャラ や武器・装備品 といった意味の言葉です。 ただし誰でもすぐに手に入るような基本的・最低限のキャラや装備品との意味ではなく、ゲームの 難易度 を直接左右するような強いキャラ、優秀な アイテム のことを通常は指します。
なぜこのような言い回しになるのかと云えば、「これを持っていないと人間扱いされない」 すなわち 「ゲーム内において人権がないかのような状態」 になるからです。 例えば複数人で共同してプレイする ネトゲ や、他者と獲得ポイントによるランク競争をしがちなソシャゲなどでは、未所持だと他プレイヤーから 「相手にされない」 可能性がありますし、本人も 「平等・対等な競争ができない」 と感じるような状態に追い込まれてしまうでしょう。
とくに強い モンスター などを仲間と共同で狩るようなゲームでは、必須のようなキャラや装備を持っていないプレイヤーは足手まとい・雑魚 扱いされがちな厳しい状況もありますし、ゲーム内のフレンドにもなってくれなかったりします (フレンドに対して応援キャラを 設定 するようなゲームではとくに顕著)。 それでも応援しようと頑張って駆け付けても、人権キャラや装備がなく勝ちにくくなったり 周回 効率が悪くなるプレイヤーは断られたり回線切断で蹴られたりもします。 まして対戦型のゲームとなれば、こちらだけが一方的に不利な状況となってしまうでしょう。
さらにゲームの 攻略 情報なども、しばしば ガチ勢 による人権キャラ所持を前提としたような解説がなされるケースが多く、そうなると未所持プレイヤーはゲームのプレイそのものに支障すら出かねません。 仮にそれでゲームを進められても、所持プレイヤーに比べてずっと手間や時間がかかってしまうでしょう。 その結果、楽しんでいるゲームで強い疎外感や徒労感を味わうことにもなりがちです。
なお人権キャラや装備を持っていないプレイヤーが著しく不利になってまともにゲームが進められなくなったり、あるいは完全に行き詰って 詰む ようなポイントは、とくに 「持ち物検査」 と呼びます。 人権を所持していて先に進められる場合は 「持ち物検査パス」、ダメなら 「持ち物検査失格」 です。 また人権の対義語は一般に 産廃 (産業廃棄物)、人権を持っていない、あるいは現時点で入手手段のないプレイヤーは 難民 と呼びます。
人権未所持だとプレイヤー同士の話について行けない…
人権扱いされるキャラなどは性能・スペック が優れているのはもちろん、レアリティ も高く魅力的な イラスト や声優が起用されたりして、当然ながら人気も出やすいものです。 ファン が集うコミュニティで頻繁に話題になったり、同人 における 二次創作 なども活発になるでしょう。 持っていればそのキャラが特別好きでなくてもそうした話の輪に入っていけますし、推し ともなれば二次創作や ファンアート を心から楽しむことだって出来るでしょう。 しかし持っていなければ、場合によってはイライラや不満ばかりが募ることになります。
ゲームの楽しみ方には、単にプレイして楽しいという楽しみ方以外にも、友人らと同じ体験を 共有 する、ファン同士で話題にして楽しむなど、コミュニケーションを中心とした様々な形があります。 こうしたプレイ体験以外の楽しみに大きな格差をつけてしまう人権の存在は、無視できないものがあるでしょう。
次々に実装される人権キャラ、ずっと追いついて行くのも大変だったり
一般的にゲームの製作者や提供側は、「持っていないとプレイに支障がでる」 ようなキャラやアイテムはある程度きちんと入手できるよう調整するものです。 しかし 「魅力的なキャラやアイテム」 の存在がプレイヤーの 課金 を促し、ビジネス的にその効果を無視できない状況もある中、その判断は難しい場合も多いでしょう。 長く続くゲームでは新キャラや新要素の追加により徐々にキャラや武器の性能もインフレ傾向となりますし、「ガチャ にお金を払ったのに、無課金者と同じでは意味がない」 という課金者だっています。
一方で、本人の都合やミスによって人権キャラやアイテムの入手ができていない人が、妬みや僻みで安易に 「人権人権」 と叫んでいるだけのケースもあります。 例えば人権キャラや装備が確定報酬で手に入る過去の イベント をまともに走らなかった人とか、ある程度以上の課金が前提のゲームで無課金プレイを続けている人、ゲーム開始直後のド初心者、あるいは一度は手にしたけれど不注意でうっかり廃棄した人などの八つ当たりです。
誰かに人権扱いされていても、それが本当に人権の価値があると大勢から認められてその実力があるかどうかは、別途考える必要があるでしょう。 掲示板 や 攻略 サイトなどで 「人権人権」 と騒がれているので頑張って入手したら期待外れだった…なんてケースもわりとあったりします。 入手に大きな手間や課金などがあったら、後悔することだってあるでしょう。
またゲームバランスを壊しかねないくらい強いキャラや武器などを、一般に ぶっ壊れ・バランスブレイカーなどと呼びますが、ゲームの難易度を左右する存在だとして、これをそのまま人権扱いするケースもあります。 確かに持っていると便利であり、持ってないと大きなハンデを受けることになりますが、ぶっ壊れとまで呼ばれる性能となると存在についての賛否も様々で、必ずしも人権だとまでは云えない場合も多いものです。
ある期間を過ぎたらいきなり産廃化… 「期間限定人権」
なお特殊な人権のケースとして、期間 限定 の 特効 キャラや装備という 概念 もあります。 例えば現在開催しているイベント期間中だけとか今月だけといった日数を区切り、その間だけ能力値やポイント獲得値が極端に高くなるキャラや装備の存在です。
手持ちの既存キャラや装備品が順番に 「今回はこれが特効」 として実施される形なら、普段は倉庫の肥やしになっているようなキャラや装備に活躍の場が与えられて良いのですが、しばしば期間限定ガチャなどで 新規 に登場したキャラや装備で設定される場合も多く、「このイベントで周回数を稼いだりランキング上位を取るためには、これがないと話にならない」 ような状態になりがちです。 運営側 の集金システムとしてはそれなりに有効かもしれませんが、ユーザーからは 「金儲け主義」 が感じられたり、上位陣の 「課金疲れ」 が生じやすく、嫌われる原因にもなりがちです。 しかもこうした期間限定特効キャラ・装備は、その期間を過ぎたらおおむね雑魚・産廃になってしまうので、その反感も相当なものになります。
どのような形であれ、ユーザーが 「人権」 を感じるようなキャラや 装備 の存在は、ゲームの寿命を延ばすこともあれば、極端に縮めることもある、ある種の劇薬のような存在なのでしょう。
人権のあるなしとゲームへの向き合い方
こうした 「人権」 の使い方は、ギャグとしてかなり昔からあります。 例えば会社から支給された業務用パソコンのスペックが低すぎて仕事の効率が上がらない場合に、「メモリが〇〇とかもはや人権問題だ」 みたいな使い方もしますし、本来の 「人権」 という言葉の重みに対して、やや軽すぎる使い方がされるケースは多いでしょう。
またゲーム用語としての人権についても、ゲームへの向き合い方によっては必ずしも 「最低限」 だとは云えない場合もあります。 雰囲気 を楽しめればそれで十分なカジュアル勢やマイペースでのんびり遊ぶ エンジョイ勢 もいますし、まして、人権キャラや装備の所持・未所持で マウント を取ったり侮蔑的な言葉を投げつけるなどは、あまりお行儀のよい遊び方やコミュニケーションのあり方とも思えません。 ここでお説教的な話をしても仕方ありませんが、一緒に遊ぶのなら、相手の立場を尊重する姿勢が大切なのでしょうね。