同じところをひたすらぐ〜るぐる…「周回」
「周回」 とは、同じ場所をぐるぐると回ることです。 スポーツの世界で使ったり、何気ない日常生活のあれこれで 「うろつく」「徘徊する」 といった ニュアンス でも広く使う言葉でしょう。 一般的には同じルートを複数回にわたって回ることを指しますが、単に 「回った」 という行為の大げさ・過剰表現として使うこともあります。 言葉も 概念 も分かりやすいので、「周回遅れの議論」 とか 「一周回って」 といった比喩としてもよく使われます。
一方、ゲーム の世界では、同じステージやマップ、イベント や クエスト などを、何度も何度も繰り返しプレイすることを周回と呼びます。 目的は様々で、例えば キャラ の育成のために 経験値 が美味しいマップをひたすら繰り返すとか、ポイントを集めるもの、一定確率でドロップする レアアイテム などを、望みのものが出るまで回る (掘る) ことを指して使うケースが多いでしょう。 こうしたプレイスタイルのゲームは周回ゲーやハクスラ (ハック&スラッシュ (Hack and Slash) と呼ばれることがあります。
なおスクロールアクション系ゲームやシューティングのように、失敗して ゲームオーバー になっても繰り返しトライしてクリアするようなゲーム、いわゆる 「覚えゲー」 の場合、あまり周回とは呼びません。 またレーシングゲーム (レゲー) のように、コースを文字通り周回する場合に使う周回も、「何らかの目的をもって同じステージやマップをあえて何度も繰り返す」 という意味の周回とは、若干ニュアンスが異なる使い方でしょう。
プレイか、作業か、ゲームの寿命を延ばしたり縮めたり…
同じことの繰り返しはいかにも作業をしている・させられている感じがしますが、どれだけ効率よく周回するかといった最適化のための工夫の余地はありますから、その部分を突き詰めるのが楽しいという人は多いでしょう。 またずっと出なかったレアものがポロリと出てくると、周回による苦行の果てのご褒美といった感じで嬉しいですし (いわゆる 脳汁 が出る状態)、ひたすら 虚無 な気分で何も考えずに周回 (脳死周回) するのが好きだと云う人もいます (休日に釣果を気にせずのんびりする魚釣りとか、プラモ作りや手芸のような手動瞑想みたいなものでしょう)。
とはいえある程度以上の周回数を実質的に要求されるような状態になるとやらされてる感も強くなりますし、プレイ時間が取れない、周回したが望みのレアが出なかったなどが続くとモチベーションもだだ下がりしてゲームそのものをやめてしまう原因にもなりかねません。
一通りプレイしたりクリアしたら満足してプレイを終える プレイヤー が多い一方、いわゆる ネットワークゲーム の場合はサービスを続けている限りはプレイヤーをつなぎとめておきたいので、ゲームのプレイ寿命を延ばすためにかなり意図的な周回要求がされる場合もあります。 単純に 「50回 ボス を倒すこと」 とか、周回によって得られるポイントを一定量求めるような明示的な要求になる場合もあれば、ボス戦 で低確率でドロップする魅力的な アイテム を 設定 して周回せざるを得ないような状況にプレイヤーを追いやる黙示的な要求まで様々です。
その際、期間 限定 のアイテムやら称号やらを 取り返しのつかない要素 の報酬とし、何とかイベントを走らせよう、周回させようとするパターンが多いでしょう。 過去の期間 限定品 を取り続けていたら フルコンプ を継続したいと考えるプレイヤーは少なくないですし、それが義務化して 呪い のごとく重くのしかかってくるのは辛いものがあります。 買取式のコンシューマゲームでも時間がある子供なら周回はできますが、社会人のネトゲでの過剰な周回要求は、ゲーム末期になるほど ガチ勢 と 引退 の両極端になりがちでしょう。