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あなたのプレイはここで終わりです… 「ゲームオーバー」

 「ゲームオーバー」(GAME OVER) とは、ゲーム や試合などが終わること、「ゲーム終了」「試合終了」 のことです。 一般でも英語圏を中心に 普通に 使われる言葉ですが、ことアーケードゲームやコンピュータゲームの世界においては、単に 「終わり」「エンディングを迎えた」 といったフラットな意味だけでなく、「強制中途終了」「敗北」「出直せ」「やり直し」「リタイア」 といった ネガティブ な意味がついて回ります。

 もとより 「終わり」「終了」 あるいは 「The End」(一巻の終わり) や 「詰んだ」 という言葉にネガティブな比喩として使われる ニュアンス はあるのですが、とりわけアーケードゲームの場合は 「失敗しない限りずっと遊び続けられる」 ようなゲームが多かったので、この言葉には 「途中で強制的にゲームから追い出される」 という強い負のイメージがあります。

 似た表現で、「プレイヤーオーバー」(Player Over) とか、複数プレイヤーのプレイの場合、「Player 1 Over」 といった表現となる場合もあります。

アーケードゲームにおける 「強制終了」「敗北」 のイメージ

 「ゲームオーバー」 に 「強制中途終了」「敗北」 といったニュアンスが強くついた理由として、アーケードゲームとしておなじみのピンボールの存在があります。 金属製の玉を斜めの盤面上に転がし、盤面に設置されたフリッパーを操作して玉を弾き、決められた場所にぶつけたり通過させて高得点を狙うゲームで、上手な人であればいつまでも弾を落とさずにプレイを続け、高得点を狙うことができますが、失敗して玉が落ちる (通常は3つ、得点によって追加されることもある) とゲーム終了です。 その際、盤面上部の得点表示板に 「GAME OVER」 が、残念そうな音とともに表示されるのが お約束 でした。

 ピンボールは誰でも見たことがある認知度の高いゲームではあるものの、さほど世間一般でプレイヤーが大勢いるという訳ではないのですが、若者を 主人公 とした映画や映像作品などではしばしば分かりやすい心象風景として用いられるものでしょう。 すなわち、劇中で主人公がゲームセンターのピンボールをやって失敗し GAME OVER が表示されるというのは、「何をやっても上手くいかない」「思春期の憂鬱」「若者のやるせなさ」 のよくある寓意的なネガティブ表現になっていました。

 一方、パチンコやその前身でもあるスマートボールなどは、同じ店舗 運営 によるアーケード形式の遊技機ながら、ゲームオーバーの 概念 はありません。 単に玉がなくなってゲームを続けられなくなるだけです。 しかしプレイヤーに玉を買うお金がなければゲームの続行は不可能であり、明示されないものの実質的なゲームオーバー状態となります。

スペースインベーダーをはじめコンピュータゲームで一般にも浸透

 その後、「GAME OVER」 という言葉を一般にも強く 認知 させる存在が、同じアーケードゲームの世界に現れます。 1978年に株式会社タイトーによって発売・展開され、社会現象になるほどの大ヒットとなったコンピュータゲーム 「スペースインベーダー」 です。

 このゲームでは、プレイヤーがミスをして砲台が全滅しない限り9面までプレイでき、以降も最初からループを繰り返してさらなる高得点が狙えました (最初期のものは 攻略 不可 レベル難易度 まで 新規 面が現れる仕様でしたが バグ で全9面ループとなり、以降これが仕様となっています)。 すなわち、「上手な人ほど長く遊べる」「信じられない高得点を上げられる」 わけです。 「名古屋打ち」 など様々な 攻略法 が生み出される中で、100円玉1枚でどこまでプレイできるかなどが、上級者の間の話題となっていました。 こうした中、ミスによって砲台が破壊され 残機 もなく、表示される 「GAME OVER」 を空しく見つめるのは悔しいものでしょう。 カラー版のものは砲台が撃破されると画面が真っ赤になったりしますし。

 その後も様々なゲームがアーケードに登場、さらにファミコンの発売などにより、家庭内にもゲームが本格的に入ってきます。 いずれのゲームもプレイヤーが失敗して残機がなくなる、キャラユニットHP や耐久度がゼロになるなどするとその時点で強制的に終わらせられるので、ネガティブなイメージがますます強まることにもなったのでしょう。

 なお 「ゲームオーバー」 と 「エンディング」 は一見異なる概念のような気がしますが、別にゲームオーバーに 「中途強制終了」 の意味はないので、最終面をクリアしたりラス ボス を倒してエンディングを見た後に改めてゲームオーバーが表示されてコンティニュー画面に進むゲームもあります。

 とはいえ普通は、エンディングから直接コンティニューもしくはニューゲームやオープニングに進む場合がほとんどでしょう。 そこからゲームを始める場合は新規ゲーム扱いとなり、アーケードなら当然追加のお金が必要になります。 やり込み系のゲームの場合、そこからより高い難易度でのプレイが選べたり、そのまま継続してプレイ続行が可能なものもあります。

ゲームオーバーが存在しないゲームも…

 1990年代から ネット を使った オンラインゲーム (ネトゲ) が広がります。 これらのゲームには原則ゲームオーバーやゲームクリアは存在せず、プレイ上の一区切りとしてエンディングが設けられることはあっても、いつまでもずっと遊び続けることができるようになっています。

 やり込み系ゲームでは、ネットを利用しないスタンドアロンなものでもエンディングの後に継続プレイが可能なものもありましたが、ネトゲがゲームの中心となり、アーケードゲームでも オンライン と継続プレイが前提のタイトルが増え続ける中、「ゲームにおけるゲームオーバー」 は徐々に過去のものになりつつあるといった感じでしょうか。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年4月23日)
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