悪口だったり悲観的だったり自虐だったり… 「ネガティブ」
「ネガティブ」(Negative) とは、物事を正負、陰陽、明暗、光と影、プラスとマイナスなどの二極で見た場合に、正ではなく負、陽ではなく陰、明ではなく暗、光ではなく影、プラスではなくマイナスを指して使われる言葉です。 略して 「ネガ」 とも呼びます。 対義語は 「ポジティブ」(Positive) となります。
本来は前述した正負とか前後、表裏などの一方を指すだけの言葉なのですが、負や暗、影、マイナスなどが、一方と比べて負けている、悪いものとなっている、劣っているとの意味で使われるケースが多いので、ネガティブもポジティブに対して良くないもの、ダメなものとの ニュアンス が極めて 強い言葉 となっています。
様々な 「ネガティブ」 の使われ方
代表的な使い方に、ネガティブ思考 (ネガティブシンキング/ Negative Thinking) というのがあります。 何を考えても悪い方へ悪い方へと考えを進め、未来を悲観したり、現状を良くないものとしたり、心配性で取り越し苦労をしてしまう物の考え方、思考方法、傾向となります。 マイナス思考とも呼び、対義語はポジティブ思考、プラス思考などとなります。
またこうしたネガティブな物の考え方、捉え方が言葉としてでてくるのが、ネガティブ発言 (ネガ発言) となります。 他者の悪いところだけを批判し攻撃する、悲観的な物の考え方だけを発言するという意味もありますが、「前向きでない発言」 以外の全てをネガティブ発言 (単なる愚痴や泣き言、自虐 の発言など) とする場合もあり、人によってポジティブとネガティブのしきい値や定義があいまいなので、誰かがネガティブ発言だと断定しても、それがそうではない場合も多々あります。
例えば根拠のない楽観論に対する合理的な慎重論などがそれですが、ネガティブだからダメなのではなく、ネガティブにしろポジティブにしろ、安易にレッテルが貼らずに、きちんとその中身を吟味する姿勢が大切なのでしょう。
なおライバルや他人の足を引っ張ったり、良くない情報を宣伝すること、悪口や陰口をきくことなどを ネガキャン (ネガティブ・キャンペーン) と呼びます。 こちらは本来の宣伝が自分たちのセールスポイントをアピールするキャンペーンとなっているので、自分ではなくライバルを蹴落とすための 「負の広告」 として、アメリカ大統領選挙などで使われるようになり広まった言葉です。
さらに ネガ比喩 といった使い方もあります。 それとは無関係な 趣味 や行動、物事をネガティブな喩えとして持ち出すことで、例えば空想的なたわごとを 「まるでポエム」、似合わない服装を 「まるで コスプレ だ」 と呼ぶなどです。 これは趣味でポエム作りやコスプレをしている人たちにとっては侮辱にも感じられる表現でしょう。
一方、自分自身や自分の趣味などをことさらにネガティブに表現することは自虐と呼びます。 こちらも、自分の個性に対するものならともかく、趣味や行動、自分の 属性 などに対して行うと、同じ趣味や行動、属性を持つ他者からは快く思われないでしょう。
すっかり見かけなくなった 「ネガフィルム」
ちなみにカメラや写真の世界で使われるネガフィルムというのもあります。
こちらはプリントを前提としたアナログ的な 画像 保存の一つの方式で、見た目は撮影時の 色調 を反転したような色合いのフィルムになります。 撮影時 (及びプリント時) の 色 合いと同じポジフィルムなどに対して ラチチュード (露光や 露出 の寛容度) が広く、プリント時の補正が行い易い利点があり、デジカメなどが登場する以前の銀塩カメラの時代には、カラー写真などの撮影とプリントに盛んに使われていました。