意味のないことをひたすら続ける苦痛よ… 「虚無」
「虚無」 は何もないこと、空っぽなこと、あるいは何かがあったとしても本質的なものではなく、無意味で無駄なものしかないこと、それによるむなしさ、空虚なことを指す言葉です。
言葉や 概念 としては 普通 の日本語表現ですが、若者言葉や ネットスラング としてもよく使われ、自分の目的や意義を見失い茫然自失となること、思考が停止し無我の境地に至る、精神的ショックの余り意識が飛んでしまった状態などを 「虚無る」(きょむる) といった動詞化であらわすこともあります。 また 「虚無感」(意味や価値が感じられず空しい感覚、喪失感) と呼ぶこともあります。
若者言葉や ネット で慣用化される中で、派生した言葉もいくつかあります。 代表的なのは、何らかの言葉に接頭して 「無意味なもの」 という意味にする使い方でしょう。 例えば 「虚無戦」 なら勝っても負けても誰にとっても何の意味もない不毛な戦いや勝負となりますし、ひたすら同じ作業の繰り返しで自我が崩壊しそうなアルバイトを 「虚無バイト」、つまらなくて時間が無駄に過ぎる アニメ を 「虚無アニメ」、プレイしても何の面白さも意味もない空っぽで作業じみた ゲーム (作業ゲー) を 「虚無ゲー」、何度引いてもハズレしか出ない ガチャ を 「虚無ガチャ」 と呼んだりします。
思考力も心も死んだ…ただひたすら壊れたロボットのように同じことの繰り返し…
行為に対して使いやすいこともあってか、ゲームの世界ではとくによく使われます。 無駄なプレイ時間引き延ばしのための 周回 (同じことを繰り返させる) を強いることを 「虚無周回」(脳死周回) と呼ぶなどは、ゲーム用語を超えて一部では一般用語のような扱いで使われていることもあります。
元々若者言葉やネットスラング、おたく用語 などでは、感情の振れ幅を表現する際に大げさ・過剰になりがちな傾向があります。 「つまらない」「面白くない」 ではなく、わざわざ 「虚無」 を使うのは、捻った表現に面白みが感じられるからなのかも知れません。 意味は全く異なるものの、似た ニュアンス で使われる言葉には 「脳死」 や 「気絶」 などもあります。