楽しんでいたはずなのに、いつしか苦痛に…?「義務化」
「義務化」 とは、法律、または何らかのサービスなりを利用する者が守らなくてはならない規約で、やらなくてはならないこと、逆にやってはならないことを定めることです。 実質的な強制と同義であり、課せられた義務が果たせなければ何らかのペナルティを科せられることとなります。
一方 おたく や 腐女子 の 界隈 では、本来は好きだからやっていること、趣味 や娯楽、息抜きとしてやっていることが、いつしか 「したい」「やりたい」 から 「しなきゃ」「やらなければ」 になり、そうした気分や強迫観念から楽しさよりも辛さが大きくなって心に負担が掛かってしまうことを指します。 またそれができない場合には、強い自責の念や激しい後悔を感じることもあります。 一種の依存症だともされます。
ずっと追い続けてきたのに、今さらやめられない
代表的な義務化といえば、長年愛読している マンガ やずっと応援しているアイドルを追い続けるなど、習慣あるいは惰性で続いているような状態でしょう。 もちろん対象が好きならば追い続けるのに問題はありませんが、改めて考えてみると別にもうそれほど好きではないし、むしろ最近は 「もういいや」 と思うこともあるのに、追うことがやめられない。 未練もあるし、「今やめたらこれまでやってきたことが無駄になる」 という損切りのできない状態 (コンコルド効果) でもあり (単にそれを理由にしがみついているだけの場合も)、典型的な義務化の姿と云えます。
あるいは自他ともに認めるおたくや腐女子で、常に新しいマンガやアニメを追っていたけれど、それに意味や意義が感じられなくなったり、「若い頃は、あるいはちょっと前までは新しい 作品 が出ると大喜びで見ていたのに、その情熱が薄れた自分」 にある種の焦りや恐怖を感じ、「俺・私は、何一つ変わってない」 ことを自分自身に証明するかのように義務感から読んだり観たりを自らに課す場合もあります。
また義務化がとくに顕著に感じられるのは、ネトゲ でしょうか。 マンガやアニメ、あるいは売り切り型の ゲーム ならば、例えその時に気が乗らなくても、後で追いつくこともできます (リアルタイム で見て友人らと語り合うような楽しみはなくなりますが)。 しかしネトゲの場合は、ログボ (ログインボーナス) を獲得するために毎日の ログイン は欠かせませんし、期間が 限定 された イベント や コラボ の ガチャ なども、いつまでも待ってはくれません。 学校や仕事がちょっと忙しくなれば、容易に追いつけなくなってしまうこともあるでしょう。
とくに ランカー のように、上位入賞のために毎日決まった量のプレイをやり続けなくてはならない状況に至ると、心理的な負担は大きなものとなります。 気が付けば、あれほど好きだったゲームやゲーム内の キャラ を見るのも辛くなるような心理状態に追い込まれることもあります。
時間は有限、人生は短い…やるべきか・やらざるべきか
「たかが趣味」「たかがゲーム」 と割りきれないところが人間の難しさでもあり、面白さでもあります。 過度な依存に陥らず適切な距離感で楽しむことができるような工夫が求められていると云えるでしょう。 またこれは依存体質気味の人間が語っても説得力のない 他責 に見えるかもしれませんが、一部のネトゲのやたら時間や手間がかかるイベントや極端な大作主義 (というより、水増ししたような引き伸ばし) は、少し見直してみても良いのではないかとは思います。
コンテンツビジネスの中心にユーザーの囲い込みや可処分時間の奪い合いが生じているのは重々承知ですし、ゲームをやる・やらないは自己責任であり、プレイヤー 次第ではあります。 しかし 「さすがにやりすぎでは?」 みたいなゲームもちらほらあります。 それで幸せになる人は 運営側 にもプレイヤー側にも、それほど多くないような気がします。 もちろんその上で、香川県の偏見まみれのゲーム規制みたいな 「お節介」 は、大きなお世話ではありますが。 結局はプレイヤー側が賢く振舞う必要があるのでしょうが、タイパ (時間当たりの満足度) が叫ばれる中、いずれは運営側により大きな不利益が生じる結果になりそうです。 焼畑農業は、そう長くは続かないものです。
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