やめたいのにやめられない… 「コンコルド効果」
「コンコルド効果」 とは、それまでに費やしたコスト (費用や労力、時間) を惜しむあまり、もはや必要がないもの、持っていても損失が膨らむばかりのものを捨て去ること (損切り) ができなくなってしまう心理的効果のことです。 一般に認知バイアスのひとつとされ、経営者や投資家が損切りの決断を下せないばかりに無駄な費用や赤字をその後もずるずると垂れ流すことになり、損失が拡大し続ける原因の一つともなります。 コンコルドの誤謬とかサンクコスト効果 (埋没費用効果) と呼ぶこともあります。
おたく や 腐女子 に近いところでは、購入した 本や グッズ、もう使わない様々なお絵描き用機材などが捨てられず部屋を圧迫してしまうとか、とっくにモチベーションがなくなった ネトゲ をやめられず、いつまでも惰性で続けたりといった行為がそう呼ばれます。 とくにある程度以上の 課金 をした ゲーム の場合、引退 と同時にそれらが全て消えてなくなってしまうため、踏ん切りがつかないまま ログボ勢 として生きながらえている プレイヤー は少なくないようです。
なおコンコルド効果という言葉の 元ネタ は、開発に莫大な費用を要したイギリス・フランス共同開発による史上初 (現状唯一) の超音速旅客機コンコルドの 商業的 な失敗に由来します。
夢の超音速旅客機と呼ばれたコンコルドだったのに…
コンコルドは、1975年に就航し翌1976年から運用開始された、当時は夢の超音速旅客機と呼ばれた機体でした。 速度は マッハ 2以上に達し、ニューヨーク・ロンドン間を2時間52分59秒で飛行することが可能でした (一般的な旅客機の場合は5時間以上かかります)。
しかし機体の調達費が高く燃費も悪く、運賃が高すぎて空席が目立ち飛ぶ度に赤字が膨らむ状況が続きます。 当然ながら航空路線も増えず、当初は夢の旅客機とされていたものの、各航空会社からの生産受注も低調で、結局試験機などを含めても生産数わずか20機という状況でした。 当初計画では採算ラインが250機とされていたため、文字通りの 爆死 だったと云えます。 音速を突破する際の衝撃波対策や 環境 に対する懸念、さらに2000年7月に墜落事故が発生するなどして評価を落とし、ついに2003年に最後のフライトを終えて全機退役となったのでした。