はたから見てるとボロい商売に見える…「DLC商法」
「DLC商法」 とは、ダウンロード コンテンツ商法 (DLC/ Down Load Contents) のことです。 通常は 「DLC」 とか 「DLC方式」 などと呼びますが、「商法」 を接尾した場合にはゲームなどの追加ダウンロードコンテンツをもっぱら指し、やや ネガティブ な意味、「悪徳商法」 のような ニュアンス で使われるケースが大半です。
おたく の 界隈 で使われる場合、形式としてはネットを通じて ゲーム などのデータをダウンロード販売することを指しますが、しばしば 「追加要素」 を別料金でダウンロードさせる形式をとるため、「情報や商品、アイテム などを小出しにしてセコい金稼ぎをしている」「アイテムなどを欲しがるユーザーの足元をみたズルい商売だ」 などと、ネットの 掲示板 などで 叩き の対象になるケースも多いものです。
なおこうした販売方法をよく行うゲームメーカーなどの社名やゲームタイトルと同一視されることもあり、しばしば 「バンナム商法」(株式会社バンダイナムコゲームスに由来) とか、「アイマス商法」(ゲームソフト、アイドルマスター/ THE IDOLM@STER に由来) などと呼ばれる場合もあります。 まあここらは悪乗りしがちな ゲハード の流れもあるので、「叩き」 が正しい ファン の心情の発露ともいえない部分も、ままあったりもしますが…。
アイテム 課金 システムと、DLC商法、アンロック商法
こういった仕組みはネットが コンテンツ 配信される以前にも 「追加ディスク」「パワーアップキット」 などという名称で、それなりに見かけるものではありましたが、ネットで手軽に配信できるようになり、増加の傾向にあります。
なお 新規 にデータをダウンロードさせるのではなく、DVD などのパッケージでソフトを販売し、そのソフトのデータにすでに含まれているデータ (アイテムやステージ、クエスト) を、ネットを通じて改めて使えるようにするだけの仕組みもあります。 すでにデータは手元にあるものの、ソフトウェア的な 「鍵」 がかかっていて使うことができず、追加料金を払って使えるように鍵を解除してもらう方式ですね。 こちらは アンロック商法 などと呼ばれる場合もあり、「DLC商法」 以上に叩かれるケースの多い方式です。
「DLC」、方式としてはメリットがたくさんあるものの…
こうした方式を行うのは、割れ などの 「違法コピー対策」 の一環だったり (パワーアップキットなどは、チート のためのツール対策でもあります)、ヘビーユーザーとライトユーザーとでゲームに対する費用の分担に差をつけるなどの意味もあり、合理的でメリットも十分にあります。 ライトユーザーが、自分が遊ばないようなディープな要素の費用を払うのは無駄ですし、そのゲームをとことん遊び倒したいと考えるヘビーユーザーが、それと違った要素を費用と引き換えに新たに手に入れるのは、実に理にかなっています。
またゲームプログラムを何らかの形でネットを通じて開発元と接続するのは、不正コピーソフトを把握して対処するという使い方以外にも、ユーザーの好みや傾向を調べてより良いゲームを 開発 するヒントにしたりもできます。 ユーザーからしても、ソフトを買ったらそれで終り…ではなく、新しい要素を追加料金でどんどん 供給 してもらえれば、「好きな作品をいつまでも末永く遊べる」 ことになり、うれしいでしょう。
しかしこれがしばしば叩きの対象になるのは、過去にこうしたやり方がなかった上に、現時点でも良心的とされる企業などが無料で追加要素を 「ユーザーサービス」 として配信していたりして、それとの差が歴然としてしまうこと、何よりやり方があまりにあざとかったり、DLC商法を前提にした 「追加要素が入って初めてまともなゲームになるような不完全なゲーム」 を出すようなメーカーが出ることによる不快感があるからでしょう。 だったら最初の時点では金を取らずに無料の体験版にすべきだとの理屈も、納得できるものがあります。
また 「時間と労力を金で買え」 といわんばかりの、ゲーム内アイテムや通貨の RMT 的な 課金 などは、「RMT」(お金でアイテムなどを売買すること) などを快く思っていない熱心なゲームファンから 「RMT を肯定するのか」 と、批判を浴びるポイントにもなっています。
また好きなゲームであれば課金的な要素には寛容であったとしても、DLC特有の別の問題もあります。 すなわち 「ゲームリリースから時間が経過するとダウンロードサービスが終了してしまい、後から追加要素が入手できない」 といった問題です。
スマホゲーやソーシャルゲーといったオンラインゲームであれば、サービス終了後はアプリの入手もプレイもできなくなりますが、ゲーム本体をパッケージソフトとして発売したようなDLC要素のあるスタンドアロンなゲームは、流通在庫として市場にまだ新品が残っていたり 二次流通 で中古が出回るなど、ソフトそのものの入手やプレイがいつまでもできます。 しかしプレイ自体はできても、DLC要素のダウンロードはできないため、「遅れてきたファン」 は不十分なプレイ体験しか味わえないことになってしまいます。
これはネットワークを利用したサービスにはつきものの問題でDLC要素が悪いわけではありませんし、ビジネスとしてはやむを得ない部分も大きいのですが、ファンにとってもゲームの作り手にとっても、残念な話ではあるでしょう。
上手い方法はないんでしょうか…
仕組み自体には色々な可能性がありますし、いずれこうした方式がゲーム本体の供給方法としても主流にはなるのでしょう。 しかし何といってもユーザーあってのゲーム、そしてゲームメーカーです。 ゲーム業界も大変な時代にはなっているんですが、誰もが納得できて、気持ちよくゲームをプレイできる仕組みができると良いですよね。