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ゲハード

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家庭用ゲーム機 (ゲームハード) を巡る聖戦

 「ゲハード」(Gehād) とは、イスラムの 「聖戦」(ジハード/ 本来はイスラムの教えを忠実に守るための努力といった意味) と、掲示板 2ちゃんねる のゲームハード板の略称 「ゲハ板」「ゲハ」(ゲーハーとも) とを組み合わせた造語で、主に任天堂の ファン と、ソニー、及びマイクロソフトなどの ゲーム (ハード) ファンが三つ巴で繰り広げる ネット での戦いを表す言葉です。

 イスラムにおける聖戦が 「義務」 であるように、「ゲハード」 もそれぞれのゲームファンにとっては 「ファンなら当然参加すべき聖なる義務」 ととらえられ (もちろん不謹慎な洒落としてですが…)、主戦場である 「ゲハ」 の当該 スレッド は当然として、他のスレッドや板、さらには 「2ちゃんねる」 の外でも激しい戦いを日夜繰り広げているようです。

 ただし 掲示板 上での論争やら コピペ (コピー&ペースト) による中傷合戦、荒らし 行為、あるいは 煽り 煽られはほとんど日常ともいえ、わざわざ 「ゲハード」 と呼称される場合は、通常の単なる バトル とは違った大きなイベント、集団行動の際に付けられる呼称とも云えます。

ゲハード発動により、しばしばブログやウェブサイトが炎に包まれます

 「ゲハード」 が叫ばれる中でももっとも多いのは、特定のゲームハードや、そのハードを代表するような有名人気ソフト (キラーソフト) などを (信者 から見て) 理由なくバッシングしている個人の ブログホームページ などへの批判 (とりわけその個人がゲーム関係者などの有名人だと一気に燃え盛るようです)、あるいは 「価格.com」 などへの関係者と思われる人物による 自作自演 的な特定ゲームハードへの攻撃、あるいは絶賛を発端としたもので、しばしば 炎上 とも呼ばれる状況に陥ります。

 また数年に一度の新ハード登場、次世代機争いは、まさに聖戦と呼ぶに相応しい激しい戦いが繰り広げられるようです。 自分が推すハードの絶賛 書き込み をそこら中でするのはもちろん、敵対するハードウェアの ネガキャン (ネガティブキャンペーン) は徹底して行われます。 とりわけ敵対するハードの些細な欠陥、自分が推すハードに比べ劣る部分は針小棒大に極限まで拡大し、あることないこと自作自演まで含めて激しい レス の応酬となります。

 決戦の場は掲示板だけに留まらず、敵対するハードの ファンサイト を炎上させたり、時には 田代砲 を発射したり、敵対ハードの欠点をこれでもかと強調した MADムービー や MADフラッシュを作って散布したり、まとめサイト やまとめ wiki を作ったりと、ほとんど 総力戦 の様相を呈する場合も少なくありません。

 なお参加している戦士たちは、次のような人たちと予想されます。

ゲハードに参じる戦士たちの呼称

ゲームハードメーカー
俗称・蔑称
敵対勢力による俗称・蔑称の語源・由来
任天堂ファン妊娠・妊豚任天堂信者 → 任信 → 妊娠。
妊豚は、豚がそもそも罵倒表現である上に、「ゼルダの伝説 風のタクト」 の発売日に購入列に並んでいたファン (ニュースサイト Impress の記事に掲載) を模した 「妊娠」 の AA がメガネをかけた小太りのオタクだったため。
ソニー(SCEI)ファンGKゲートキーパー (GateKeeper/ ゲートキーパーズ) の略。
ソニーの社員とおぼしき人物が、ネット上の 掲示板 や口コミサイト、blog の コメント欄 などで、ソニー社内からのアクセスと思われる 「gatekeeper○○.Sony.co.jp」 というホスト名 (プロクシサーバ の名前) を 晒し ながら書き込みをしていたため。 転じてソニーのネット工作員→ネット上でソニーを擁護する工作員→ソニーファンとなった。

なおそれ以前は 「出川」 と呼ばれており、これの由来は、タレントの出川哲朗氏が 「PS2」 のロゴが入ったTシャツを着ていたことから付けられたものです。 さらにその後、「PSP」 に接続可能なカメラを使った電車内での盗撮騒ぎがあったことから、「痴漢」 とも呼ばれるケースも出てきています。
マイクロソフトファン痴漢・痴韓「X-box」 の発売日の行列を取材したマスコミに対し、行列の先頭にいたファンが 「陵辱痴漢地獄 というエロゲーを買いにきました」 と コメント したことから 「痴漢」 となった。

さらにその後、Xbox360 の オンライン ユーザ登録の住所記入欄において、日本固有の領土 「竹島」 の登録が行えず、同島の韓国での呼び名、独島は登録可だったこと、マイクロソフトのかねてからの親韓姿勢などから、韓国の韓の字があてがわれ、「痴韓」 となった。
セガファンセガ信者宿敵任天堂、後半はソニーとも血みどろの争いを続けた聖戦士。 「お父さんがファミコンと間違えてメガドラを買ってきた」 なんてケースを除き、自ら進んでセガハードを選んだ豪の者は、「セガ志願兵」 とも呼ばれ、生え抜きの精鋭とされた。

いち早くネット通信機能搭載のハードを得たことで、ネットでの主な戦いには必ず参加していた歴戦の勇士でもあったが、ドリームキャストを最後にセガがハード事業から撤退したことにより大きく勢力を減じた。 いまは懐かしい話をしていると出てくる感じ (筆者 かよw)。

 なお 「信者」 を 「」 と書く場合もあります。 その場合は、例えば 「任天堂儲」 などのように表記します。

ゲハ板住民同士の争いだけでないことも…

 なお現在は異なるゲームハードメーカーごとに争っているような印象が強い 「ゲハード」 ですが、かつては 二次創作 を行う同人関係 (あるいはその関係の掲示板など) を苦手とするゲハ住民による対外攻撃のようなものもありました。 要するに ゲームプレイヤー とゲーム同人作者やそのファンとの戦いもあった訳です。

 ちなみに 「ゲハード」 の言葉が使われだしたのは、2001年9月11日の、アメリカ同時多発テロと、それをきっかけとするニュース報道で、ジハードという言葉が一般にもあまねく広がってからです (それ以前にもジハードという言葉自体はあちこちで使われていましたが、一般化したのはこの時以降になります)。

いくたの伝説に彩られた 「セガBBS」

伝説に彩られた懐かしい 「セガBBS」
伝説に彩られた懐かしい 「セガBBS」
これは1996年末の新BBS移行直後

 ところで 「ゲハード」 という言葉以前にゲームハードをめぐるユーザのネット上の争いはなかったのかというと、実際はかなり古い歴史をもっていたりします。

 「2ちゃんねる」 が現れる前から、似たような掲示板群でゲームハードの話題は盛んでしたし、1996年6月より SEGA ホームページ 「Planet Cafe」 の一部として開設された 「セガ伝言板」、いわゆる 「セガBBS」 などは、この時点ですでにあらゆる種類の 「荒らし」 が見られる場所となっていましたし、それはさらにさかのぼって、パソコン通信 の時代にも多かれ少なかれ見られた傾向です。

 ただし インターネット が本格的に普及し、2ちゃんねるなどの書き込みをまとめた、いわゆるコピペブログ (アフィブログ) がことさらにこうした対立書き込み (大半が、お遊びとしてわかってる同士のネタとしての争い) を煽る形で編集・掲載し、それに影響を受けたアンチがネガキャンを再生産するといった状態もあり、一部は特定のゲーム企業によるモラルに反したマーケティング (ステマステマネガキャン) の存在も疑われるなど、こうした争いを極端に嫌う一般のゲームファンもかなりいます。

 こうしたいかがわしい宣伝方法については、隠れて行うものだけに証拠をつかむことは困難で、単なる言いがかりなのか真実なのかわからないところもあります。 しかし幾つかの祭りを通じて、「偶然にしてはあまりにできすぎている」 との状況や、極めて説得力のある内部告発的な情報の流出も起きています。 ネットの普及と共にゲームの情報源が雑誌やテレビからネット媒体に移る中、それまで雑誌やテレビCMに大金を払って広告を出稿していた一部ゲーム企業が最大の広告媒体となったゲームブログなどを無視しているとは考えづらく、あまりに過激なバッシングなどは、少々懐疑的に見る目は必要かもしれません。

 ともあれ、複数のゲームハードメーカーがあり、複数のゲームハードが発売され シェア を奪い合っている限り、この 「聖戦」 は 永遠 (とわ) に続いて行くのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2006年02月05日)
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