人気ゲームブログから流行、「ありがとう○○」
「ありがとう○○」 とは、何かの固有名詞に 「ありがとう」 を接頭して、それに対し感謝する言葉です。 例えば 「ありがとう任天堂」 なら、「任天堂さん、ありがとうございました」 という意味になります。 また 「ありがとう」 という感謝の言葉を 「嫌味」「揶揄」 でわざと使って、相手に皮肉をいう、当てこすりをする使い方もあります。 もちろんここまでは、同人用語 でも おたく用語 でもない、ごく 普通 の日本語です。
ところがこの言い回しが、2009年12月頃から、ある種の ネットスラング として猛烈に広まることになりました。 当初は 元ネタ と密接な関係がある ゲーム に関する 掲示板 で盛んに使われていましたが (後述します)、その後は アニメ や マンガ などの別の ジャンル にも伝播。
さらにニュース系の掲示板などで、特定政党を罵倒する使い方 (「ありがとう民主党」 や 「ありがとう自民党」 など) で頻出。 2010年の大きな流行語のひとつともなりました。 なお略して 「あり任」 などと呼ぶ場合もあります。
元ネタは、人気大手ブログ 「忍之閻魔帳」 さんの 「ありがとう、任天堂」
元ネタですが、ゲーム関係で非常に人気のある有名な ブログ、「忍之閻魔帳」(sinobi氏の 運営 管理) において、同年末に発売され大ヒットとなった任天堂 wii のゲーム、「New スーパーマリオブラザーズWii」 を絶賛するエントリー 「ニュー・スーパーマリオブラザーズ・Wii」初日で42万本を販売」(2009年12月4日) の一節、「おかげで私の評価もうなぎ上りである。ありがとう、任天堂。」 に由来します。
このソフトを購入後、子供と一緒にプレイしているという 管理人 さん。 ゲーム ファン である以前に大人として親として、子供を フォロー しつつ引き立て役のような遊び方をする場合が多いようなのですが、それでも大人がストレスを感じることはなく、「マリオを一緒に遊んでいる」という楽しさは何物にも代え難い」 と絶賛。 おかげで子供さんも喜んでいるようで、その感想が 「おかげで私の評価もうなぎ上りである。ありがとう、任天堂。」 につながるのでした。
微笑ましいエントリーと云えますが、ゲームの世界は任天堂に限らず特定メーカーの熱狂的なファン、そして アンチ がご贔屓のゲームメーカーを押し立て、他メーカーの 信者 と骨肉の争い、ゲハード (Gehād) を繰り広げるまさに戦場。 数多くの 読者 を抱える人気ブログの、それもヒットしたソフトの売上に関するエントリーだっただけに、影響も大きかったようです。
すぐにこの 「ありがとう任天堂」 というフレーズは、任天堂に批判的なアンチなどが嫌味で掲示板 2ちゃんねる のゲーム関係の板などで、煽り として使うようになり、瞬く間に ネット の世界に 拡散。 任天堂に関するニュースなどが流れるたび、嫌味として使ったり、また掲示板以外の場所での バトル で使われたり、全く逆の意味で多用されるようになったのでした。
なお同ブログでは、同年12月8日のエントリー、「アニメだからこそ描けた距離感。映画「戦場でワルツを」 でもマリオを再び絶賛し、「親戚が集まる年末年始は、これ1本で相応盛り上がりそうな予感。」 とした上で、「何度でも言おう。ありがとう、任天堂。」 と再度このフレーズを繰り返しています。 これらの経緯はその他のゲーム関係や おたく に関連する 大手サイト なども触れ、その後の流行に拍車をかける結果ともなったようです。
ゲーム以外の話題にも飛び火、「ありがとう○○」 が炸裂
その後この 「ありがとう任天堂」 は、ゲーム以外の話題でも皮肉、当てこすりの成句として多用されるようになり、とりわけ2009年8月の衆議院選挙で大勝し政権を握った民主党の政策や法案などがニュースになるたび、反民主の人たちから、「ありがとう民主党」 が頻出。
例えば無茶な温暖化ガス削減策やら増税、規制、あるいはマニフェストの約束違反となる政策を打ち出すなどのニュースが流れると、「ありがとう民主党」「ありがとう鳩山首相」 などと スレ タイ (スレッドのタイトル、名前) などにも頻繁に使われるようになり、逆に反自民の人たちからも 「ありがとう自民党」 などのフレーズが登場。 ゲームファン以外の人たちにも2010年以降、大きく広がることになりました。